軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

大鎌の一振り

穴のあいたお腹を片手で塞ぐようにおさえているクロは、先程までとは一変してあまり調子が良くなさそうだった。

傷口自体は、急速に治りかけている。

それこそ、新聞紙ソードを自らの胎内に取り込んだときに出来た傷が、すぐに消えたのと同じように。

しかし、その治る速度は明らかに今の方が遅かった。

それは、新たな力の根源としていたユウトのものを、外へと産んだがゆえに。

とはいえ、そもそもが黒き黒の影たるクロにさえ、ユウトのそれは過ぎたる力だったのだ。

長く、胎に宿すには限界があった。

そういう意味では、白羽という形でオボロへと渡したのは、半ば本能的な選択であったとも言える。

もう、これ以上は体が持たなくなる、という根元的、そして無意識下での判断。

そして、目の前のこちらへと立ち向かってくる混沌たちを相手取るのには、力の残滓程度でクロにとっては十分であった。

七武器とされ、人と混沌から羨望と渇望の対象とされる武器を手にした混沌。

しかしそれは、ユウトの力の一滴を、ダンジョン&キングダムという中間搾取のチャネルを通して、コボルド製の武具へと宿したものに過ぎない。

ユウト自身の濃縮された力を、生のまま注ぎ込み、その残滓がまだ宿るクロが、ユウト自身がその手にしていた鎌を持っているのだ。

胎が空になるような体験をしたとはいえ、クロが負ける要素はどこにもなかった。

そしてそれは、絶対的な偉容となってクロから滲み出ている。

そんなクロを、敵わぬ頂きに君臨する相手だと理解していても、あだむといぶの息子たちは、挑む。

その先頭に立つのは、愛する妻にして、最期の七武器、「闇」を手にしたコボルドパラディンであるカラドボルグ。

すべてのダークコボルドの父たる男。

それを補佐するように隣に立つ、あだむ達の次男、カリヨン。ハイプリーストコボルドとなり、全ダークコボルドの偉大なるお方への信仰を代弁する者。

そして三男たる、フロストはその二人の背後に立ち、コボルドウィザードとしてコボルド最高峰の魔法を放たんと、杖を振り上げている。

クロは、余裕の笑みを見せながらも、その三人の覚悟を尊重するように、大鎌を両手で構える。そして、全てを刈り取るように、大鎌を横薙ぎに振るうのだった。