軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

集まりし力

戦場を包む熱気は、まさに燃え上がるようだった。

絶対の主たる偉大なるお方からの直接のご下命に、命を燃やすようにして戦い始める混沌たち。これまでどこか抑えていた力がまさにタガが外れたように解き放たれ、混沌の一体一体が、あらん限りの意思で、目の前の敵へと襲いかかる。

それも、混沌の圧倒的多数を占めるのが、そもそもが集団行動を得意とするコボルド族なのだ。

個々の尽力がまるで一本の撚り糸に収斂するように統合されていく。その収斂する流れは、コボルド族以外の混沌たる他種族たちも巻き込み、まるで巨大な一つの生き物のように軍が有機的に運用されていく。

しかし、それに対する因果律の使途、魂の簒奪者たる巨大な赤子も負けてはいなかった。

全世界で消失したダンジョンを構成していた魔素が因果律によって注ぎ込まれ、生まれでた赤子たち。その一体一体は、ダンジョンそのものと言っても過言ではない力を持って生まれた存在だった。

そして何より、白くヌメヌメと動く姿はまとまって動いていると、遠目に例のものを想起させる見た目だった。

そう、ユウトが苦手とする、ナメクジに見えるのだ。

ユウトがコボルドとして顕現しているのも、良くなかった。

視界より嗅覚優位のコボルトの視線だと、ユウトから見て、進撃して近づいてくるナメクジの大群のように見えてしまっていたのだ。

そのため、ユウトは申し訳なく思いながらも、魂の簒奪者の相手は混沌たちにお任せすることに決める。

もちろん、内心では大いに混沌達の活躍を応援しながら。

そんな風にユウトが戦場からそっと視界を外していると、気がつけば物見台の上にいるのはユウト、一人だった。

「あだむといぶは……そうか、みんなと戦いにいったのか」

少し、寂しそうに呟くユウト。

決して、遠目に苦手な例の生き物のように見える敵がいるからではない。

ただ、もう少しだけ、このダンジョン&キングダムで最も長い付き合いの二人と話してみたかっただけなのだ。

ユウト自身は明確に意識してはいなかったが、無意識下の領域で、このフルダイブがダンジョン&キングダムをプレイする最後になるのではという予感を感じていたのだ。

このフルダイブが終わったあとには、すべてが変わってしまっているという、予感。

そんな予感が沸き上がりかけるも、圧し殺して、ユウトは目をつぶると大きく深呼吸をする。

コボルド族の鼻を活かした、状況把握方法。

そこで、ユウトは嗅いではいけない匂いを嗅いでしまう。

「──なんで、なんで……早川の匂いが、するんだ……早川の血の匂い、がっ!」

戦場で漂ってくるにはあまりに不吉なその匂いに、普段のユウトであれば発することのない、激情のこもった大声をあげてしまう。

その声は複数のスキルで拡大強化され、声自体に強き力が込められていく。

ユウトの怒声が、戦場に轟く。