軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ラストダイブ

俺はクロに言われるがままにダンジョン&キングダムへフルダイブしようと、自室へ戻って来ていた。

突然のクロの出現でいくつもわき出てきた疑問。

あの場では雰囲気に流されていったん置いておこうと思ったそれら。

ただ、こうして一人になって、冷静にフルダイブの準備をしていると、どうしても頭のなかではそれらの疑問について考えてしまう。

──生身のクロ、可愛かったな……。あの頭の猫耳は、もしかして本物なんだろうか? あれ、そうだとするともしかしてクロって亜人種とか、そういうの?

亜人種の存在は、ダンジョンが現れてから一部の好事家によってとても熱心に探索されてきたと聞いたことがあった。

そしていまだに見つかっていないとも。

──そういえば、あだむといぶも一種の亜人種になるのかなー。……いやいや、あだむたちはゲームの存在……だ。

そこで思い出される、今、ダンジョンいかなければ絶対に後悔します、というクロの言葉。

それはたぶん俺がフルダイブでログインしたときにいぶの死を目の当たりにして悲しんだことからのクロの言葉だというのはわかる。

──でも、それってまるでクロだけじゃなくて、あだむといぶも生きてるってことにならないか……?

手の中のフルダイブ用ヘルメットを見つめて、俺は固まってしまう。

手のひらに伝わってくるひんやりとした感覚。

──じゃあ、他のコボルドたちも? まさか、そんな訳、ないよね? だって、そしたら何万匹ものコボルドたちが本当にいるってことになるし……あと、バーナードたちだって……

ダンジョン&キングダムのなかで色々とやらかしたことを急に思い出してしまう。

──そうだ。せっかくだから試してみればいいんだよな。ゲームの世界の果てまでいってみればいいんだ。ダンジョン&キングダムが普通のゲームだったら、果てがあるか、ループしてマップの反対側に出るはずなんだから。クロの言ってた、後悔する事ってのを片付けたら、試してみよう。

俺は自分でも出来そうな確認方法を思い付くと、ちょっとだけ安心する。

やれることが明確なのは素晴らしいなと思いながらフルダイブ用ヘルメットをかぶる。

そうして、俺はダンジョン&キングダムへとダイブするのだった。