軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

テイム

俺の放った全力新聞紙振りにより発生した白黒マーブルエフェクトが俺たちの住まう星から物理法則を無視した速度で伸長し、たまたまそこにあった月を串刺しにしてドーナツ状にした頃、俺はテラトータスの本体へとたどり着いていた。

「次は普通に叩いてみるか」

甲羅の上に降り立った俺は、足元を見ながら呟く。

そう選択した理由として、攻撃スキルの全力新聞紙振りが、地味だったから、というのは否めない。

──ゲーマーとしては攻撃効率を追及するべきなのだろうけど、俺なんてまあエンジョイ勢みたいなもんだしな。見た目とか重要重要。

一人用のゲームに、エンジョイ勢も何もあるわけではないのだが、俺はそんなことを考えながら足元の甲羅に新聞紙を叩きつける。

さっきの横振りの時よりかは手応えがあるが、それでも反動は軽いものだった。

それよりも、片足を失っているからだろう。俺の甲羅への叩きつけ攻撃に耐えられなかったように、結構な速さで、斜めに足元が沈み込んでいく。

「おっと」

俺は慌てて再び天駆を使用する。

テラトータスは顔面から大地に突き刺さるようにして倒れ込むところだった。

「あ、メラニーたちは……」

超大型の巨体が地面に頭が刺さる勢いで倒れたのだ。

巻き起こる砂塵は膨大なものだった。

幸いなことに、メラニーたちはドーバーナの聖女のスキルでそれらを防いで無事の様子。

遠目に見える、ダークコボルドたちの新しい拠点も、ここから見る限りは、少し砂を被っているが、問題は無さそうだった。

俺は、ほっとして、頭が地面に突き刺さり残った三本の足を力なくバタバタさせているテラトータスのもとへ。

「ちょっと邪魔だなー。ダンジョン&キングダムは部位破壊出来るゲームみたいだし、追加で叩いておくか」

俺はバタバタと地面に打ち付けられる残った三本の脚を、一つ一つ新聞紙で打ちすえていく。

そうして、最初の前足含めて三本目の足を新聞紙で叩き潰すように切り離したところで、テラトータスの動きが止まる。

まだ、生きているようだが、抵抗の意思はもう無さそうだった。

俺はそろそろとメラニーとドーバーナのいる結界に近づくと、少し離れたところから声をかける。

「あー。メラニー? あのテラトータスって 婚約破棄からの逆ハー(イケメンラッシュ) で、テイム予定だよね? あの、軽く弱らせておいたから。よかったら──」

そこまで話しかけて、メラニーの首にきつめに巻き付いた首輪が、目にはいってしまう。

それだけで一気に気恥ずかしさが増してしまった俺は、返事も聞かないで後ろを向くと、小走りでその場を離れてしまう。

「──あー、緊張した。やばい、ユシから見るとやっぱりメラニーもドーバーナも、めちゃくちゃ美人だよな……はぁ。さっさとログアウトしよっと」

俺はそんなことを呟きながらフルダイブから抜けるのだった。