軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

リッター医師の報告

土曜の昼前にドケーシス公爵家の専属医セイン・ソテリアから、王城内にある医務室に居たリッター・メンテ医師に手紙が届いた。

その手紙には、クレア・ドケーシス公爵令嬢が自死を謀ったが一命は取り留めた事の詳細

そしてクレア嬢自身に起きている事の詳細が記されていた。

リッター医師は直ぐ国王陛下に緊急の接見を申し入れ。[陛下の私室で話したい]と伝えてもらう。

私室=内密と言う意味である。

これにより人払いされた状態で話す事が出来る。

お目通りの知らせが来るまでにリッター医師は、王城内にある医務室の続き部屋の研究室にある資料棚を漁って、解離性同一障害に関する資料を集める。

時間が取れたと知らせが来れば、資料を抱えて陛下の私室へ急ぐ

「失礼します!」

「どうした…そんなに緊急か?」

手配通り陛下の私室は陛下とリッター医師の二人だけになる。

「………クレア嬢が自ら命を断とうとしたそうです」

「なんだと?!」

ソファに座っていた陛下は立ち上がりリッター医師の方へ詰め寄る

「どう言う事だ?!何故そんな事に?!」

両陛下はいずれ自分達の義娘になるクレアをとても気に入っていた。

王妃とクレアの母親が学園時代からの友人で、お互いが結婚してからも親密に交流があり

お互いの子供が同じ年に産まれたのもあって、クレアの事は赤子の頃から見て来たから、既に実の娘の様に思ってもいた。

「ドケーシス公爵家の専属医から書簡が届きました。理由は分かりません。先日…金曜の夕方、クレア嬢の自室の浴室で…睡眠薬を飲んで入水したようです。

発見が早く、救命措置も的確で。一命を取り留めたと記されてます。

睡眠薬も弱い物だったので影響は残らないとの見解で…衰弱してますが体に問題は無いそうです」

「………そうか」

「ただ…深刻な問題がありました」

そう言いながらリッター医師は抱えていた資料をローテーブルに置いた。

「義娘が死にそうになった以上の問題などあるのか?」

「……クレア嬢は解離性同一障害だと記されてました」

「…?何だそれは?初めて聞く。それが 深(・) 刻(・) な(・) 問題なのか?」

「……はい。………クレア嬢がこの 障(・) 害(・) を患っているなら…婚約は解消になるでしょう」

「!?」

陛下は驚きと困惑で言葉が出ない

「……これから私はドケーシス公爵家に向かい、クレア嬢の診察をして参ります。陛下はこちらの資料をお読み下さい……解離性同一障害の症例の記録と見解です」

「………分かった……戻ったら報告を。何時になっても構わない。寝ていれば起こしてくれて構わないから…報告を」

「畏まりました。…行って参ります」

リッター医師は深く頭を下げてから部屋を出ていく。

陛下は長い溜め息を吐いてソファに座った。

侍従を呼び、午後の公務を全て後日に回す様に言い付け、沢山の資料に手を伸ばした。

◇◇◇

リッター医師が王城に戻って来たのは日を跨いで数時間が経った頃だった。

「失礼します」

国王陛下の私室の扉を開けるリッター医師

「リッター先生!クレアは?クレアの容態は大丈夫でしたか?」

最初にそう尋ねたのは王妃だった。

「妃陛下も待っておられたのですね……クレア様は… お(・) 体(・) の(・) 方(・) は心配いりません」

「 体(・) の(・) 方(・) は(・) と言うことは…この 資(・) 料(・) の様な事の心配はあると言う事だな?」

そう話したのは国王陛下だった

「……診察結果を報告致します。………妃殿下、お座り下さい。長くなりますし……きっとショックを受けられる」

「……分かったわ」

リッター医師は公爵家で見聞きし、問診した見解を報告した

◇◇◇

リッターの報告が終わった。陛下は痛む頭を押さえている

王妃は何とか冷静を保とうと歯を食いしばり過ぎて唇の色が悪い

「それで………リッターの見解は?」

「ウィリアム殿下とクレア嬢の婚約維持は無理でしょう」

「そんな!」

流石の王妃もリッター医師の こ(・) の(・) 言葉には平静が崩れてしまった

「ですが、 レ(・) イ(・) ナ(・) 嬢は婚約解消したく な(・) い(・) そうです」

「「!」」

両陛下は驚きで固まった

「ドケーシス公爵からレイナ嬢の意向を認めた書簡を預かって参りました」

そう言ってリッター医師は懐から手紙を取り出して陛下に渡す。

陛下は渡された手紙を読んだ後

「………月曜の午前中に時間が空く様に公務を調整させる。正確な時間は…また追って。…リッターはまた公爵家に戻るのだろう?その様に伝えておいてくれ」

「畏まりました」

リッター医師は挨拶をしてから部屋を下がった。

「………………ハァ……」

リッター医師が部屋を出て直ぐ、王妃が両手で顔を覆って大きく溜め息をついた。体はカタカタカタカタと震えている

「ウィリアムが………ウィリアムが ま(・) た(・) クレアを傷つけたのかしら……」

そう言う王妃の声は涙声で震えていた

「……どうだろうな…」

陛下は王妃にそっと寄り添って肩を摩る。

「………どうしましょう……どうなるのでしょう…」

「…先ずは クレア(レイナ) の提案を聞こう」

陛下夫妻はこの後眠る事が出来ずに朝を迎えた。

◇◇◇

日曜

朝、レイナが目を覚ますと両隣に両親が寝ていた…

「?…ん〜〜っと。これはどう言う状況かしら?」