軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

おい、みっともなさすぎるんだが

――終わった。

僕は諦観の感情とともに、剣を鞘に収める。

アルセウス救済党の二人。

そして元剣聖リオン・マクバ。

両者とも、地面に突っ伏したまま動かない。

もちろん今回は《拘束》が目的なので、殺しまではしていない。だが足に大きなダメージを与えておいたので、たとえ意識が戻ったとしてもすぐには動けまい。

戦いの決着はついた。

あとは――

「ひいッ!!」

僕に睨まれたユーフェアス・アルドが、真っ青な表情で椅子から転げ落ちる。

「や、やややめんかおまえたち! ワシを誰だと思っておる!!」

最後は喚き散らすのみか。

とんだ大物領主である。

「く、くそ! こんなときに他のアルセウス救済党はなにをしておるのだ! ま、守れ! ワシを守るのだ!」

「――残念ながら、構成員はほぼ全滅しましたわ」

ふいに、聞き覚えのある声が部屋中に響きわたった。

視線を向ければ、やはり見覚えのある人物――レイミラ・リィ・アルセウスの姿が。

たぶん、意図しているんだろうな。

さっきまで目深に被っていたはずの帽子を外し、姿形を明らかにしているのは。

「な、なななななななな!?」

今度こそユーフェアスは死にそうな顔をする。

「レ、レイミラ王女殿下!! な、なんで、こんなところに……!」

「あら。あなたが知る必要はありませんわ」

気づけば、レイの他にも、カヤ、ユウヤ、そしてウィーンまでがいる。

みんな無事だったようだな。

特にウィーンは見たことのない形状をしている。新しい《バトルモード》でも披露したんだろうか。遠目から見ても強そうだ。

「屋敷内にいる構成員は、私たちであらかた制圧しました。ユーフェアス・アルド。あなたを守る者はここにはいません」

「な、な……!!」

ユーフェアスがモタモタしている間に、レイは僕に小さく耳打ちしてきた。

(アリオス。エムちゃんの奴隷紋は……?)

(ああ。心配するな。問題ない)

抜け目のないお嬢様だ。

素直に感心する。

奴隷紋というのは、相手との《契約》がなくなった時点で消滅する。

エムはさっきユーフェアスから解放の言付けをもらったので、じきに奴隷紋は解消されるだろう。

ま、このままユーフェアスを拘束したとしても、エムが奴隷紋を抱えたままじゃ可哀想だからな。そのあたりの配慮だろう。

(よかった……。ありがと、アリオス)

(いや。君のほうこそ無事で良かった)

短いやり取りを済ませた後、レイは再びユーフェアスに向き直る。

こういう場面は彼女のほうが秀でてそうだしな。

「……で、ユーフェアスさん?」

「ひ、ひいッ! な、なななななんでしょうか!?」

レイの威圧に、ユーフェアスはもはや威厳の欠片もない。

「……はぁ」

さすがに呆れたんだろう。

エムの小さなため息が聞こえた。

「いい加減、教えてくれませんこと? あなたがアルセウス救済党と結託したのは、多くの女性と関係を持つためだった。じゃ、アルセウス救済党の目的はなにかしら?」

「い、いえ! 存じ上げません!」

「……では、質問を変えようかしら。あなたはなぜ、 レイファー兄様から(・・・・・・・・・) アルセウス救済党との結託を頼まれたのかしら?」

「は……?」

今度は僕が目を見開く番だった。

レイファー第一王子。

あの抜け目なさそうな王子の名が、ここで出てくるか……

「な、ななな、なにを仰ってるのか……私にはわかりませぬ……」

「……本当に?」

「は、はひっ! もちろんでございます!!」

ユーフェアスは知らぬ存ぜぬを貫くが、表情に思いっきり答えが出ている。

大物領主といえど、動揺してるんだろうな。

と。

「――そこだ!!」

僕はふいにある予感を感じ取り、瞬間的に火属性魔法を発動する。

初級魔法、ファイアランス。

僕の放った魔法が、なにもない空間に向かっていく。

火力的には心許ないが、牽制には充分だろう。

「ぬおっ……! 馬鹿な、なぜ気づかれた……!!」

突如として現れたのは、アルセウス救済党の構成員。

いや。

かつての女神のように身体が透けていることから、あれも思念体か。

さっきまでまったく気配を感じなかったことから、たったいま部屋に潜入してきたと思われる。

「アリオス・マクバ……! 貴様の気配察知能力は、いったいどうなっている……!?」