軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

星霊界編 九人目の隊長格?

「それで、実際どうする?」

シアが友人の狂化(ある意味で)を阻止すべく決意しているのを横目に、ハジメが話を戻した。

エリック達との再会はできないのか、というミュウの問いに対する答えを促す。

「そ、そうでございますね……」

シアの燃えるような眼差しに、ちょっと頬を染めつつも咳払いを一つ。

「エリック達を、ここに招くことは出来かねます」

至極真面目な表情で、そう結論を出した。

「えっとね、ダリアお姉さん。王様達、もう大丈夫だって、皆反省したって言ってたの」

「ダリアさんの献身は確かに実っているとも言ってましたよ?」

ミュウが眉を八の字にして訴えると、シアもまたダリアの肩に手を置いて優しく微笑む――寸前に、瞳孔の開いた眼差しが視界の端に!

あぶな~~い!! と笑顔も手も引っ込める。真面目な顔で〝事実だけを伝えてます〟スタンスを取る。これにはユエ様もにっこり。

「そうなのですね……良かった。本当に……」

ダリアは心底安堵した様子で胸を撫で下ろした。遠き地にいても、ダリアの心はずっと祖国や人の世への憂慮でいっぱいだったのだろう。

「この二年、わたくし共も必死でございました。生活の安定と、禁足地の調査と監視、対応策の模索……とても国の様子まで調べる余裕はございませんでしたから」

来年には一度、各国の状況を確認しようという話がちょうど出ているらしい。

生活基盤の安定と、調査報告書が必要十分と判断できるレベルになってきたからだ。

「良き知らせをありがとうございます。そして、ミュウ様、シア様。ご心配なく。エリック達との再会を拒絶しているわけではございません」

つまり、自ら会いに行くなら問題はないらしい。それは取りも直さず、この地に、あるいは、この里にエリック達を呼びたくないということだ。

「もちろん、その場合は〝訪問〟であり〝帰郷〟とはなりませんが……」

「〝里長〟としての責務故に、じゃな?」

ティオの確認に、微笑を浮べて頷くダリア。優花が少し申し訳なさそうに挙手する。

「あの……話の途中にごめんなさい。そもそも、どうしてダリアさん達は、こんな危険な場所に?」

「新天地が必要だったのでございます。各国の捜索の手が容易に伸びない新たな故郷が」

「……新たな故郷、ですか?」

「はい。精霊獣が大陸から去ったなら、今の禁足地はただの未開の土地だと考えたのですが……」

頬に手を添えて困り顔になるダリア。禁足地独自の生態系の特殊さ、危険さは想定外だったらしい。

しかし、ならば別の地を見つければ良かったはずだ。そもそも、〝新たな故郷〟とは……人の世が落ち着くまで、一時的に離れただけだったのでは?

その疑問は当然、誰もが抱いた。ハジメが代表して問う。

「この里には結構な人数がいたようだが……彼等は? 聖女の熱心な信者がついてきちまった感じか?」

「いいえ、陛下。むしろ、わたくしの存在はここの方々にとって不愉快な存在だったとすら言えるでしょう」

どういうことだ? とハジメ達は顔を見合わせる。里の者達からダリアへの敵意など欠片も感じなかった。それどころか、寄り道の道中に感じたのは信頼と敬愛ばかり。

ダリアは微笑に少しの苦さを加えたような表情になった。

「現在、この地は三千人ほどの方々が暮らしております」

「「「そんなに!?」」」

淳史、昇、龍太郎の声が重なった。思っていた以上の人数にハジメ達も目を丸くする。

「〝里〟以外にも拠点はあるのです。東西南北に一つずつ、ネームドクラスの進化体を監視する拠点や、更に奥地を調査する際に使う中継拠点。いざという時の避難用拠点などでございます」

本拠地たる〝里〟にも千人はいないらしい。昼間は調査に出ている者も多いのでなおさら。

「その約三千人の方々は皆……神罰により大切な人を亡くされた方々なのでございます」

「あ……」

と声を漏らしたのは誰か。優花達の誰かだった気もするし、ハッと目を見開いているシアだったような気もする。

話には聞いていたけれど、今の今まで特に意識していなかった、けれど確かにあった多くの犠牲。

それに気が付いて、龍太郎達も愛で続けていたお土産の武器をそっと置いた。浮かれていた自分達を思い出し気まずそうな表情になる。ミュウもきゅっと口元を引き結んだ。

給仕をしていたダリアが「どうかお気になさらず」と柔らかな声音を響かせながら席についた。固くならなくていいと率先して伝えるように、自ら入れたお茶を美味しそうに一口。

「贖罪と試練の新時代。ですが、全ての人がそれを受け入れられたわけではありません」

女神の深い愛も、神罰の執行が魂を引き裂かれるような苦渋の決断だったことも世界中に伝わっている。

だから、分かっている。誰もが頭では理解しているのだ。

仕方のないことだったと。人の業が神に決断を強いたのだと。

分かっている。

けれど、心は理屈だけで定まるわけではないから。大切な人を失った者達が、そのまま前だけを向いて生きていけるかと問われれば、まして神や自然への敬意を胸にとなれば……

無理だ――という人達がいるのもまた自然なことだったのだ。

「同じ過ちを繰り返さぬよう神の教えを説く日々の中で、そういった人達の苦しみを、ままならぬ想いを何度も感じてきました」

傷ついた心に、ダリアの言葉は届かなかった。

それどころか、なぜ〝聖女様〟の教えに反発するのか、なぜ人類の未来のために賛同・協力できないのか、それは新時代に対する不適合者・背信者の言動ではないか? という無言の同調圧力が日々高まっていくようで、彼等の苦悩は日々深まっていたという。

「不幸中の幸い、というべきでしょうか? わたくしの存在は人の世にとって邪魔になりつつありましたので」

「モテモテだったって聞いたんですけど……不幸中の幸いって」

奈々がなんとも言えない表情で言うが、実際、ダリアにとって多くの求婚は頭痛の種でしかなく、人の世を離れるべき状況は幸いだったのだ。

「……だから、居場所のない彼等を引き連れて、いっそ新天地を目指そう。って?」

「はい、ユエ様」

「……地位も名誉も、親しい人達との日常も捨てて?」

「はい、ユエ様」

真っ直ぐ見つめるユエに、ダリアもまた真っ直ぐな眼差しで返した。

そうか、とハジメ達は納得した。ダリアが国を去ったのは、何も自分が邪魔になると思ったからだけではないのだ。

多くの大切なものを捨てて、新時代に馴染めない者達と少しでも同じ境遇に自分を置くことで、彼等に心から寄り添うためだったのだ。

「新時代に馴染めないから、同じ方向を見て歩けないから、だから切り捨てる? 未来のために排斥する? あり得ません。それでは以前と同じ。相互理解、共存……それらを諦めないことこそが新時代に必要なことなのですから」

人の世は、エリック達がどうにかしてくれる。そう思えるくらいには多くのものを残せたはずだ。

ならば、自分の役目は人の世から外れてしまいそうな者達に、とことん寄り添うこと。

「約三千人……皆様は多いと驚かれたようですが、いいえ、まったくそんなことはございません。〝たった三千人〟でございます」

悲しみを背負ってなお、前を向いて新時代の価値観に寄り添って生きようという人達の方が、むしろずっと多いのだ。

「ならば、その少しの方々に寄り添うくらいできなくてどうします。わたくし達に最後まで寄り添ってくださった恩人に顔向けできないではありませんか」

「ダリアさん……」

ダリアが優しい眼差しをシアに送る。シアもまた、困ったような、それでいて嬉しそうな眼差しを返す。

ジッと、それはもうジッと見つめ合う……うるうる……

「……話はまだ続いているが?」

「「あ、はい。すみません」」

ユエ様は厳しい。ダリアとシアはさっと居住まいを正した。

「なるほど。それはダリアの一存でエリック達を呼ぶわけにはいかないな。少なくとも合議の結果としてでないとな」

「ご理解、感謝します、陛下」

新時代の価値観を推し進めるトップ陣が、突然、自分達が苦労して作り上げた新天地に土足で踏み込んできたら、それは動揺もするだろう。

ダリアの配慮はまったくもって当然のことだった。

「あの、ダリアさん。私の、私達の存在って大丈夫です? あと神々が見守っている証拠的なこと言ってましたけど……」

「シア様は、その神を止めた存在ですから。むしろみな、強い感謝の念を抱いています。中には信仰している者もいるくらいです」

「し、信仰!? それはちょっと……」

「神々の件も、どこへ行こうが神が見ているという事実は忘れることなかれという戒めであり、度々口にしていることでございます」

「その上で、いつも通り堂々と過ごせ、ね。ここの人達に、貴方達に恥じることは何もないと断言してあげているわけね。多数と同調できなくても、神意に背く存在じゃないって」

「雫様の仰る通りでございます」

やっぱり、この人マジで〝聖女〟だなぁと、優花達も、愛子やリリアーナ、香織達までダリアに感心と敬意の入り交じった表情を見せる。

そんな中、ミュウが唐突にキラキラした瞳でダリアに言葉を向けた。

「ダリアお姉さんは、やっぱり優しくて強くて素敵な人なの」

「まぁ! ミュウ様、過分なお言葉、恐れ入ります」

胸に手を当て、嬉しそうに一礼するダリア。ミュウは「でも……」と続けた。

「ここの人達も優しい人達なの」

「? なぜ、そのように思われたのですか?」

「だって、新天地が欲しいだけなら、やっぱりここじゃなくていいと思うの。それでも、皆がここにいるのは、国の人達が危険な目に遭わないようにと思ったからでしょう? たくさんの便利なものを調べてるのも、皆の役に立てばいいって思ったから」

一緒には居られない。同じ国で、同じ価値観をもとに生きていくことはできない。

けれど、祖国の人達が不幸になればいいなんて思ってるわけじゃない。

遠き地にいても、祖国と人々の未来が明るくあればいいと思う。

それは、ダリアと同じ気持ちだ。同じ、人の未来を想う心だ。

「それは、すっごく優しい気持ちなの! 素敵な人達なの!」

「ミュウ様……」

ダリアの瞳が潤んだ。この地で手を取り合って、支え合って生きていた彼等・彼女等はもはや家族も同然。

そんな家族の気持ちと努力を理解し、素敵だと言ってくれた幼子に温かい感情が込み上げているようだ。

「流石は陛下のご息女様。このダリア、感服と感謝を捧げます」

「みゅ?」

なぜ感謝されるか、あと単純に〝かんぷく?〟となって首を傾げるミュウ。レミアが、そんな娘にとびっきり優しい眼差しを向けながら良い子良い子と頭を撫でる。

少し気まずそうだった龍太郎達もほっこりした様子だ。

と、そこで物凄く恐る恐るといった様子でノックがされた。ダリアが返事をすると、これまたそろぉ~~っと扉が開かれる。

清潔そうな白い繋ぎ服にエプロン、ベレー帽を被った三十代半ばくらいの女性が顔を出した。

「し、失礼します。ダリアさん、準備ができましたので、いつでも――」

食事にできると報告するつもりだったのだろう。

その視線がシアを捉えるまでは。

「ふわぁっ、ほんとに救世主様が!? ウサミミもふもふっ、なんてお美しいお顔っ。想像の千倍、素敵ッッ」

「え? あ、えっと、どうも、です?」

「あ、ああああああ、あたしにお返事を!? あっ、あっ、あっ」

オタク文化に精通しているハジメ、ミュウ、香織は思った。なんて絵に描いたような〝限界化〟だろうと。完全に推しのアイドルに出会ったファンの有様だ。

ダリアが苦笑しながら軽く紹介してくれる。この〝里〟の料理長らしい。いち早く、この地の動植物の調理法を効能まで含めて開発し、里の発展を支えた立役者の一人だとか。

「ほぇ~、凄い方なんですね!」

「んっひゅぅっ!?」

なんか変な声が漏れ出た。顔は真っ赤で、今にも倒れそう。見た目は中性的な顔立ちの美人さんなのに、動揺しまくりの様子がなんとも微笑ましい。

(この方、さっきダリアさんが言っていた〝信仰している人〟の一人では?)

(王宮でも思いましたけど……シアさん、本当に女性ファンが多いですね)

リリアーナと愛子がコソコソと言葉を交わす。スキンヘッドおじさん達も畏まってはいたが、ここまで動揺する様子はなかったのでなおさらそう思ってしまう。

「あの、お世話になるのはこちらですし、突然の訪問でお仕事させちゃったのもこちらですから、そんなに畏まらないでください」

「ヒッ!?」

「なんで怯えるんです!?」

立ち上がって近づきながらなだめるように言うシアに、料理長さんは後退った。決して目は合わせない。両手を突き出して、まるで拒絶しているかのよう。

普通にショックを受けるシアに、料理長さんは叫んだ。

「 あたしの推し(きゅうせいしゅさま) が尊すぎてムリィッ」

「どういう意味ですっ!?」

「「「「分かるぅ~」」」」

「どういう意味ですぅ!?」

分かったのはやはり、ハジメとミュウと香織だった。もちろん、香織の推しはずっとハジメである。

一人多いのはユエだ。オタク文化への理解も、オタク文化を楽しむハジメを全肯定する心構えもあるが、同じ熱量で共感できるかと言われれば困り顔になるわけで。

だがしかし、香織と同じく〝ハジメ推し〟なのは確かであるから、〝尊すぎて無理〟という気持ちは、とってもすっごくよく分かるのだ!

それこそ毎日、感じてるからぁっ!!

ユエ&香織の内心の熱量に気が付いてか、ティオや雫達が若干引いている気がしないでもない――おや、優花が何やら「なるほど。これが〝尊い〟なのね……」みたいな納得顔で頷き、かと思えばハジメを見て頬をほんのり染めて……

分かるのか、優花! みたいな視線がユエと香織からギュンッと。優花はギュンッと光の速さで視線を逸らした。

その間にもシアは料理長さんに接近し、壁際に追い詰められた料理長さん(追い詰めてない)に、気を取り直し笑顔で握手を求めた。

「ぜひ、仲良く――」

「仲良く!? あ、あああああっ、あたしと!?」

「え、ええ。私も料理が趣味なので、ぜひこちらの料理を教えてもらえたら――」

「手取り足取り!? 組んずほぐれつ!?」

「いや、そこまで言ってない――」

「や、やはり、あの噂は本当だったんですね……。救世主様は男より女好き! だからバルテッドが誇る地位も名誉もあるイケメン四人に目もくれず、ダリア様を愛したと!!」

「なんですその噂ぁあああっ!?」

ギュンッとシアの視線がダリアに向いた。ダリアは両手で顔を覆った。

どうやら、噂があるのは本当らしい。

奈々と妙子の表情がイキイキし出す!

「「謎は全て解けた!!」」

「え、なに? どうしたの二人共!?」

隣の鈴が突然の大声にビクッとなる。奈々と妙子は、まるで真実を突き止めた探偵のような得意顔になった。

「王宮で、何度もループ挨拶してきた女達のことだよ、鈴っち」

「彼女達は、ただ救世主を一目見たかっただけじゃないってこと! そう、つまり――」

「つ、つまり?」

「「ワンチャン狙ってたってことさ!!」」

「な、なんだってぇーーーっ!?」

ノリの良い鈴は、取り敢えず乗った。でも、そんなまさか。王宮で出会った彼女達が、こぞって第二、第三のダリアの立場を、つまりシアに見初められた愛人的な立場を狙っていたなんてこと……

と思いつつ、鈴だけでなくその場の全員がダリアを見る。

するとダリアは、顔を両手で覆ったまま蚊の鳴くような声で……

「……シア様のことを話す時は、わたくし、つい熱が入ってしまって……いつの間にか、そんな噂が……陛下――ハジメ様という旦那様がいると説明したのですが……」

情報は正確に!

という精神のもと、他の妻の方々とも大変、仲睦まじいことも律儀に説明したせいか、噂はいつしか〝シア様は女性ハーレムを築いていらっしゃる〟〝男で唯一侍ることを認められた旦那様、マジですげぇ〟という内容に変化したらしい。

そして、気が付いた時には止められなくなっていたとか。

「おっふ……」

シアから間の抜けた声が漏れ出た。

「そうか……俺達はシアのハーレムメンバーだったのか」

「盲点じゃったな。ご主人様と結婚したつもりが、実はシアの嫁にされておったとは」

「……ん、気が付いたらシアに貰われていた件」

「からかわないでください!」

ハジメ、ティオ、ユエが至極真面目な顔で頷き合っている。シアは真っ赤な顔で咆えた。

「シ、シア……もしかして、私のこともそんな目でっ」

「シアさん、優しくしてください、ね?」

「香織さんもリリィさんもぶっ飛ばしますよ? レベルⅦくらいで」

やめてください。香織はともかく、私は死んでしまいます……と即座に謝罪するリリアーナ。雫と愛子が自分達も悪ノリしようかと口を開きかけるも慌てて閉じた。

「そ、そう言えば、ダリアお姉さんはシアお姉ちゃんについていく気だろうって、王様達が言ってたの! そうなんですか? なの!」

「ミュウちゃん……なんて空気が読める子なの」

なんか優花が目を見張っているが、というか、ここ最近、南雲家のあれこれをいろいろ学びとろうと積極的な面が見え隠れしているが、それはさておき。

あと、奈々と妙子が「お、優花っち。超スローペースだけど頑張ってるっぽい?」とニコニコしているが、それもさておき。

「ふふ、そう断言したことはありませんけれど、見抜かれていたようですね」

「ほほぅ? ダリアは俺達の世界に来たいと?」

何やらハジメさんの目がキランッと光った気がした。リリアーナが超速反応する! 細かな言動も見抜いて見せると言わんばかりに凝視! だが、

「そうでございますね。しかし、それはずっと先の未来に見る夢でございます」

「まだまだ、やらねばならないことがあるからですね?」

ダリアの言葉に、最初に反応、否、共感したのもリリアーナだった。同じ立場、同じ選択をする者同士、通じ合うものがあるのかもしれない。

ダリアもまたリリアーナに視線を合わせると、共感の眼差しと共に深く頷いた。

そして、そっと胸元に手を添えると、少女が憧れの人との未来を夢想するような表情で瞑目し、

「十年か、二十年か、あるいはもっと先か。わたくしの役目が終わったと感じられたその時、そうですね……きっと、南雲家にも家族が増えていることでしょうから、お世話係の末席にでも加えていただけたなら、これ以上はない素敵な人生だと、そう夢想しているのでございます」

そんな風に己の望みを告白した。

それがあまりに純粋で、謙虚で、胸の裡が温かくなるような夢だったから。

そして、夢を語るダリアがあまりにも清らかな人に見えて、なんだか侵しがたい神聖な雰囲気さえ感じたから、誰も何も言えなくて。

少しして最初に口を開いたのは、やはりというべきか。シアだった。

「叶いますよ、絶対。私が保証します」

「シア様……ふふ、ありがとうございます」

シアが静かな声音で請け合い、ダリアが嬉しそうに微笑む。

シアがハジメをチラ見し始めた。何を言いたいかなど分かりきったことで。

「任せろ!」

「あ、ありがとうございます。……でも、なんかやけに力強い返事のような」

「気のせいだよ!」

「なんか口調もおかしいような」

「……シア、ほんとに気にしなくていい」

「そ、そうですか?」

予想外にやる気に満ちているハジメさんに、シアは訝しんだ。でも、リリアーナの方がもぉ~~~っと訝しんだ。

ユエが執り成したので、まぁいいか……と流したが、ちょっと釈然としない。だって、なんとなくユエの瞳に呆れの色が混じっているような気がしたし。

まぁ、それはそれとして。

「あのぅ~、それでお食事の方はどうすれば……」

「「「「「あ……」」」」」

部屋の隅で、料理長さんがベレー帽を胸元で握り締めて所在なさげにしている。すっかり存在を忘れていた。そのおかげ(?)か落ち着いたようだが。

同時に、大変タイミングの良いことに。

――くきゅ~~~~~っ

と可愛らしい音が盛大に響いた。ミュウが頬を赤くしてお腹に手を添えている。

お腹がたぷたぷになるまでお茶を飲んだのに、腹の虫はまったくちっとも気が収まらなかったらしい。育ち盛りなので自然なことだが、お腹の虫まで空気を読んでいるかのようだ。

「話の続きは食事をしながら、ということに致しましょうか」

ダリアが相好を崩しながら立ち上がる。

異論はもちろん、出なかった。

それから。

ダリアの五年間や、この後の旅行の方針なんかを賑やかに話しつつ、滝や崖下の景色が一望できるテラスのような食事場で期待通りのモンハ○飯風の昼食を楽しんだハジメ達。

その間に、救世主一行の来訪にざわついていた里の人々も落ち着きを取り戻したようで。

改めて来訪目的を説明し、〝里〟に悪い影響はないことを伝えれば……

後は、言わずもがな。

救世主一行の来訪に、里はやんややんやの大喝采&お祭り騒ぎとなった。

シアを中心に参拝の如き行列ができたり、お立ち台で軽く演説すれば新興宗教の誕生かと思うような雰囲気になったり。

香織と愛子の「仲間♪ 仲間♪」みたいな視線を頑張って無視して、新宗教樹立をどうにか思いとどまらせつつ、改めて里の設備――鍛冶場や調合施設、動植物の研究所、訓練場を見学して周ったり。

龍太郎達が、せっかくだからと進化体素材の武器で一狩りしに行ったり。

ミュウが双剣使いの人達と意気投合したり。

ハジメはハジメで鉱物学者の人達と熱量たっぷりな談義をしたり、あるいはお土産に特殊な鉱物を譲り受けたり。

エミリーのお土産にと、なんだかんだ頻繁に連絡を取り合っているらしい優花が植物や特殊な虫の効能を教えてもらいつつ、やっぱりお土産に貰ったり。

陽が沈む頃には、他の拠点からも駆けつけた人達も交えて盛大な宴が始まった。

ダリアが歌を披露すれば、祭りの雰囲気に当てられてか。

一夜限定、ミラクル・アイとプリティ・リリィが復活!! 復活!! 復活!!

マジカル・ミュウを筆頭に、愛子にとっての悪夢――じゃなくて、ウルの町で繰り広げられた奇蹟のアイドル魔法少女ユニットが歌と踊りを披露した。

もちろん、宴は大盛り上がりだ。

そこで、優花に熱い視線を送っている愛娘に気が付いて、ハジメパパが暴走。流体金属の擬態機能を使って、優花を魔法少女ユウカちゃんに強制変身させるという暴挙に出た。

魔法少女ユウカちゃんは、もちろんキレた。ハジメにナイフが乱れ飛んだ。

それを笑いながら弾き返せば、結果として、かつて復興中のハイリヒ王国の人々を湧かせに湧かせた超絶大道芸をしている形になり、場の雰囲気は最高潮に。

そこからは、もうやけくそだ。

優花は全力でユウカちゃんしてやった。親友二人が腹を抱えて笑い転げていたが、淳史達が爆笑しながら写真を撮っていたが(もちろん、野菜スティックの餌食にした)……

愛子とリリアーナもミュウのために全力で歌って踊っているのだ!

ハジメも期待の目で見ているのだ!

何より、ミュウちゃん「ユウカお姉ちゃんが断るはずないの!」という謎の信頼を寄せて、既に四人目のメンバーとして紹介しちゃってるのだ!

空気読みは得意な優花に、拒絶の選択肢など既になかった。

結果として、その夜は〝里〟にとって、否、彼等がそう遠くない未来で人の世に語り継いだので星霊界にとって、伝説の夜となったようだ。

「うぅ、南雲めぇ。覚えてなさいよぉ」

すっかり日付も変わり、夜も更けきった頃合い。

里の者達も、ハジメ達も騒ぎ疲れて眠っているだろう時間に、一人、崖側の外縁をなぞるように設置されている外廊下を歩く優花の姿があった。

中々寝付けなくて、もう一度お風呂に入ればリラックスできるだろうと崖上に作られている露天風呂をいただいてきたところだ。

だが、そうして一人でいると却っていろいろ思い出してしまうもので。

「ミュウちゃんを喜ばせたいからって、私にあんな恰好させて……」

大きなまん丸のお月様をなんとなしに見る。冴え冴えとした月明かりだ。光源などなくてもまったく困らない。

だから、風呂上がりの熱とはまた違った熱で頬が染まっている優花の姿も、冴え冴えとよく見えた。

「ま、まぁ、似合ってるって言葉は悪い気はしなかったけど……」

いや、待って。それにしたって恥ずかった。ミュウちゃんが好きな魔法少女アニメのキャラらしいけど、小学生キャラでしょう? こっちは大学生なんだけど? そもそも小学生で、なんであんな際どい衣装なのよ! 最近の魔法少女どうなってんのよ! ……でも、菫さんや愁さんもコスプレは好きだったって話だし、やっぱり南雲もコスプレに抵抗のない女が好みだったり? 途中で謝って元の格好に戻そうとしてくれたけど、すごく残念そうな顔してたし……やっぱり私だから似合うと思って、ついあの衣装を着せちゃった的な? だとしたら……

つらつら、つらつらと、やっぱり眠れそうにないくらいいろいろ考えちゃう優花ちゃん。

が、一人百面相しながらの物思いも、とある人影を見つけるまでだった。

「……ん? あれは、ダリアさん?」

建物の裏にひっそりと消えていくメイド服の女性。間違いなくダリアだ。

「こんな夜更けにどうしたのかしら?」

なんとなく、人目を気にしていたような気がしないでもない。

気になる。とても。

「……念のため。あくまで安全確認のためだから」

と、自分に言い訳しつつ優花は欄干を軽やかに飛び越えた。足音を極力消して、そっと建物の裏を覗き込む。

「ッ!!?」

声を出さなかった自分を、この時ばかりは褒めてあげたかった。それくらい驚いたのだ。

だって、ダリアは密会をしていたから。しかも、その相手は――

「陛下……」

「ダリア」

ハジメだった! 思わず口元を押さえて顔を引っ込める。壁に強く背を押し当て、バクバクと太鼓を打つような心音を必死に抑える。

深呼吸を一回。

(な、何を動揺しているのよっ、私! 別になんでもないでしょ! 何か用事があったとか、そんな感じよ!)

人目につかない建物の裏で、夜更けにこっそり? と、もう一人の自分が冷静にツッコミを入れてくる。

確かめないわけにはいかない。まさか、南雲に限ってそんなことあるわけないんだから! と心の中で声を張り上げながら、もう一度、こっそり壁際から顔を覗かせる。

優花が動揺している間に、少し奥の方へ行ってしまったらしい。声がかなり遠い。だが、断片は聞こえてくる。

「……を求めてる。ダリアなら――だ。お前が望むなら、俺は――」

「へ、陛下……ですか? しかし、わたくしはっ――」

「大丈夫だ、問題ない。周囲にばれずに――それに、時間の確保も…………」

「本当に良いのですか? シア様はこのことを――」

「――だから、まだ内緒だ。――他言無用…………一緒にいられる――」

「…………嬉しいですっ。このダリア――――陛下のご こ(・) う(・) い(・) 、受けさせていただきますっ」

(だめぇーーーーっ、これ完全に、そういう話でしょ! ダリアさん、すっごく嬉しそうだし! 南雲ぉ! 見損なったわ! メイドに手を出すなんて! 浮気者ぉっ)

最低よ! よりによってシアの友達なんて! メイドだからなの? そんなにメイドがいいの!? 確かにダリアさんは素敵なメイドさんだけど!

でも、だからって……

そう、そうよ! ユエさんが黙ってるはずが――

「ちなみに、ユエは承知の上だ」

(ユエさぁーーーーーーーーーんんっ!! 心が広いにも程があるでしょぉ!!)

優花の内心の絶叫は止まらない。なんだか涙も溢れてきた。

そう言えば、昼間やけにダリアに絡んでいたのも、新しいお嫁さんとして相応しいか確かめるためだった? と勝手に想像して勝手に得心してしまう。

(ダリアさんは求めるのに、私には何も――いや、ちがぁうっ。そうじゃない!)

再び顔を引っ込めて、ぶんぶんっと頭を振る優花。

いつの間にか会話が止まっていて、ハジメが「あいつ、さっきから何してんだ?」と訝しむ目を向けてきているのだが、というか、たった今、こちらに歩き出したのだが……

(そうじゃないけど、けど…………うぅ、うわぁーーーーんっ、もうこんなところにはいられない! 部屋に帰るわっ)

なんか翌朝には死体で見つかりそうなセリフを心の中で盛大に吐いて、優花は猛ダッシュで去っていった。

「あの、陛下。状況が状況ですし、もしや誤解されたのでは?」

「誤解? ……ああ、そういう。はぁ、あいつ……」

「ふふ、可愛らしい方ですね?」

「……まぁ、否定はしない」

なんて会話がされているなんて、知る由もなく。

そうして。

「奈々! 妙子ぉ!」

「うひゃぁ!? な、なに!?」

「敵襲!?」

飛び起きる奈々と妙子。将来エージェントを目指しているので心構えが違うのか、寝ぼけ気味の奈々と違い、妙子の覚醒は素早い。

だが、そんな妙子の警戒は一瞬で払拭された。ついでに、寝ぼけ気味の奈々は一瞬で覚醒した。

「わ、私、もうメイドになるしかないかもしれないっ」

涙目で訴える親友を見て、奈々と妙子は顔を見合わせた。

一拍おいて、ニヤァッと笑う。叩き起こされた不機嫌さなど皆無。こいつは面白くなってきたぜっと言わんばかり。

なので、答えは一つだった。

「「任せな!!」」

翌日の優花の服装が今、決まった。

※おまけ

ハジメとダリアの密会を目撃し、優花が去った後のこと。

同じ月明かりの下、女神ルトリアは星樹の根本にて嘆願を受けていた。

「どうかっ、どうかご再考をっ。偉大なる女神の膝元に侍る栄誉を、今一度お与えくださいますよう!!」

五体投地の勢いで伏して願うのは、背に翼を持つ種族――天人だった。二人いる。一人は若い女、もう一人は年配の男だ。

必死に願いを口にしているのは若い女の方で、月明かりに輝く姫カットの銀髪と、如何にもプライドの高そうな目つきが特徴的だ。

男性の方は六十代くらいでカイゼル髭が似合っている。おそらく少女のお目付役なのだろう。横目にチラチラと心配そうな目を向けつつも、女神の不興を買わないかとハラハラしている様子だ。

二人は神官だった。孤島への立ち入りを原則として禁止された天人族と女神ルトリアを唯一繋ぐ神職。メッセンジャーだ。

「我等は有史以来、常に神意と共にあったはずですっ。それはこの先も変わりませぬ! だのに、何故……何故、我等を遠ざけられるのです!」

泣きそうな顔で必死に訴えてくる女に、ルトリアは溜息を吐きたくなった。

この子は神意を理解していないのだな、と。

(何事にも例外はつきものですが……)

多くの天人は、もちろん天王も、聖地の外で暮らすことの意味を理解している。ルトリアの心と願いに納得している。

だが、神の使徒という甘美な称号に溺れてしまっている者も確かにいて、目の前の女も、その一人というわけだ。

「愚かな人間共の管理ならば完璧に致します! 正しく神意を実行致します! ですから、どうか――」

「 天王(アストルス) の娘。理解なさい。その言葉こそが我が意を理解していないことの証明であると」

「――っ」

神官という大事な役目に、王が己の娘を据えることは不思議ではない。とはいえ、あまりにも教育を怠っているのではないか。

女神ルトリアの中に少しの呆れと憂慮が浮かぶ。

凝り固まった選民思想から脱却できていない者を神官に据えるとは、目が曇ったか、それとも天王も娘の前では愚かになるのか。

(いえ、だからこそ、でしょうか? 次代を担う者の意識を変えるために、あえて?)

とはいえ、それは神に娘の教育を願うような、ある種の不敬だ。

なんとも言えない表情になるルトリア。

王女にして神官の女が、更に何かを言い募ろうと口を開きかける。流石にこれ以上はと、止めに入ろうとする年配の男性神官。

だが、結果的に止める必要はなかった。

「シアーーーっはどこぉ! 私はここよぉーーっ!!」

なんか星樹の根本から出てきたから。ペカーッと輝きながら、なぜかモデル歩きで。

言わずもがな、駄ソレ――ではなくソアレだった。実は、ずっと星樹の根本で、根の繭に包まれるようにして封じられていたのだ。ルトリアによって。

それが今、封印を破って飛び出してきた。うるさいし、ハジメ達が次の世界に行くまでは反省を促すためにも閉じ込めておうこうと思っていたのに……

星樹の根を焼失させて出てくるとは。

ルトリアお母さんの目が死ぬ。貴女が今焼いたの、ほんの一部とはいえ星樹ですよ? と。状況によっては神への反逆なんですけど? と。

「ソアレ、誰が出ていいと――」

「お母様! シアは 何処(いずこ) へ?」

話を聞けよ……と一瞬イラッとするルトリアお母さん。唖然としている神官二人を横目に、咳払いを一つ。

「貴女が騒ぐと思い、封じている間に出発してもらいました。もちろん、追いかけることなど言語道断ですからね?」

キョロキョロと恋い焦がれる乙女のように周囲を見回していたソアレは、その瞬間、ビタッと止まった。

そして、

「ヒッ」

「――っ、ひ、姫様、お下がりくださいっ」

王女神官とおじ様神官が恐怖に震え上がるほど、ソアレはコキッコキッコキッと壊れた玩具みたいな動きで首を回した。

「ソ、ソアレ? 貴女は今一度、以前の己を思い出すよう――」

「――どうしてそんなことするの?」

母たる女神の言葉を遮るという不敬。だが、それを咎める前に、ルトリアお母さんは思った。

こ、これはちょっと不味い……やも? と。

だって、それくらいソアレの目が暗黒だったから。敬愛する母を見る目じゃない。ルトリアの背後でウダルとライラがスタンバーイッ。オロスはソアレの背後に回り込んで、ひょこっと大地から顔を出している。

と、そこで更に場を混沌に落とす来客が。

不意に生まれる楕円形の輝き。〝ゲート〟から人影が出現する。

「女神ルトリア、ちょっと頼みたいことがある。ダリア・シュワイクだけ特別に異世界へ連れていかせてくれないか? こう、異世界大使的に行き来させたい。もちろん、秘匿の面を筆頭に種々の条件はあるだろうから、そこは相談させてもらいたい……ああ、もちろん、最初の条件は理解してる。あんたの我が子を外に出したくないって気持ちも分かってるつもりだ。けどな、俺達とあんたを繋ぐ架け橋的な人材も必要かと思うんだよ。女神の巫女みたいな感じでさ。あ、こっちだと神官だっけか? で、その場合、これまた特別に彼女だけ霊素を戻してやりたいんだが、いいか?」

やって来るなり、いきなり約束を反故にするような願いをペラペラとまくし立てる不敬という概念が具現化したような存在――ハジメさんだった。

女神ルトリアの頬がヒクヒクッと引き攣る。冷静を心がけて、苦言の一つも言ってやろうと口を開きかける――前に、

「なっ、お前は父上や軍の皆を苦しめた、否っ、我等が見放された原因になった男ッ!! しかもダリア・シュワイクを神官に、ですって!? 神官とは神の代弁者。この世で最も名誉あるお役目!! それを、それをっ、許せない!!」

「南雲ハジメ! なぜ一人で来たのです!! まったく気の利かない! 来るならシアと一緒に、でしょうがぁ!!」

「あ? なんだお前等」

にわかに騒がしくなった星樹の根本。

ルトリアは思った。

昔はこんなんじゃなかった。 神霊(こども) 達が反抗するなんてこと一度もなかったし、人の子が意見するなんてこともなかった。

己の姿を一目見ただけで感涙を流し平伏するのが当たり前だった。

まして、こんな友達感覚でお願いしてくる異世界の理不尽野郎と出会うこと自体、想像だにしていなかった……

なのに、今はこの有様。

女神の威厳、どこいった?

「ルトリア様! どうかご照覧あれ! たとえ、この身が滅びようとも、あの化け物に一矢報いてみせます故! 我が勇姿を以て、どうか此度の嘆願、叶えていただけますよう!!」

「ひ、姫様おやめくださいっ」

「南雲ハジメ、シアを呼ぶのです。さぁ、早くっ。まだろくに話してもいないのですよ! さぁさぁ! ハリーハリーッ!!」

「うっせぇなぁ。今、大事な話してんだよ。……それで、女神ルトリア、何事にも例外はつきものだし、とりま本人と面談だけでもどうだ? 直接話せば信頼できる人の子だと思うはずだ。ゲートの直ぐ外にいるからさ」

例外はつきもの。先程、自分も思ったことを 揶揄(やゆ) されているみたいで微妙にイラッとしちゃう。

「いざっ、尋常に!!」

「お止めください、姫様ぁーーっ」

「南雲ハジメ! シアを! 早くシアぉ!」

本来なら静寂に満ちた己の聖域の騒がしさに、女神はふか~い溜息を吐いた。

そして、

「……どうしてこうなった」

まぁ、だいたいこいつのせいだろう。

と、ルトリアは、飛びかかってきた王女神官を(ついでに、うるさいのでソアレも)容赦なく男女平等パンチで叩き落としたハジメを見やった。

「あ……これはあれだ。そう、正当防衛だ。オレ、被害者。だから、私の愛しい子をよくも~みたいな文句はなしで頼む。で、ダリア、呼んでいい?」

相談とか言いながら意見を押し通すまで帰らないのだろうなぁ。

女神ルトリアの眼差しには、そんな展開を悟りきった、心の底から嫌そぉ~~~っな感情が滲み出ていた。