軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第93話 隠し事

2030年7月20日

今日はサンマリーナ侯爵領へ出発する日だ。

俺は旅の荷物を持って登校した。

教室に着き他のメンバーが来るのを待っているがバロン、ドミニク、ミネルバはもう着いているのだが肝心の【黎明】女子メンバーがまだ来ない。

俺は女子メンバーと同居しているミネルバに

「クラリスたちはまだ来ないのか?」

と聞くとミネルバが困った様子で

「なんか持っていくものを迷っているらしく遅刻するって言っていたわよ。水着も買い過ぎていてどれにしようかとか、毎日が勝負パンツだとマルス君が飽きるかもとか」

なんて奴らだ……完全に夏休みと勘違いしている……

結局女子メンバーが来たのは11時だった。

幸い【黎明】は今日からクエスト受注という事で遅刻扱いにはならなかった。

「ご、ゴメンマルス。遅れちゃった……」

クラリスが申し訳なさそうに謝ってきた。

まぁ少しは予想していたことだったからいいけど。

女子メンバーの荷物はと言うとカレンとミーシャの荷物が多かった。

クラリスとエリーは俺より少し多いくらいだった。

これも予想通りだった。

なんせクラリスとエリーは俺がかなり便利な魔法が使えることを知っている。

それに俺たち3人はアルメリア迷宮を一緒に潜っていたから旅行と言うものに少し慣れているんだと思う。

迷宮に潜る時、安全地帯があれば、安全地帯を拠点に寝泊まりするからね。

しかしカレンとミーシャは俺が魔法を使える事を知らないから仕方ないと言えば仕方ない事だった。

この旅行中に少しずつカミングアウトするとしよう。

揃ったところですぐにリーガン公爵の所に行き、出発の挨拶を済ませる。

いつもは学校側で馬車や護衛を雇ってくれるらしいのだが、俺やクラリスの方が護衛よりも強いという事が判明したので護衛はなし。

そして馬車もリスター帝国学校が用意したものではないという。

馬車は外に用意してあるとの事だったので、早速馬車の所へ向かうと……

そこには貴族が乗るような豪華絢爛な馬車があった。

いかにもこれから襲われます的な豪華さで立派な馬が2頭で引く大きなものだった。

これはカレンの父のフレスバルド公爵がフレスバルド領に来ないのであれば、せめてこの馬車を使えという事で送られてきた馬車らしい。

この馬車にはフレスバルド家の家紋の火の紋章とリーガン公爵家の家紋の本の紋章が飾られていた。

リーガン公爵が言うにはリスター連合国内でフレスバルド筆頭公爵とリーガン公爵を同時に敵に回すバカは居ないとの事なのでこの馬車は絶対に安全との事だ。

盛大なフラグありがとう……

早速俺たちは馬車に乗りサンマリーナ侯爵領へ出発した。

少し出遅れてしまったからね。

馬車の内部は相当快適らしい。

らしいというのはいつも通り俺は御者役なのだ。

夏という事もあって馬車の中は暑いのかと思いきや、魔力を流すと涼しくなる魔道具が備え付けられていた。

カレンは使えないらしいが、クラリスとミーシャが使え、どうやら水属性の魔力を流さないと涼しくならないらしい。反対に火属性の魔力を流せば暖かくなるという魔道具だ。

俺はというと俺の周りに水魔法と風魔法で涼しい空気を流し馬の速度を保っている。まぁ馬が疲れたらヒール使うんだけどね。

そしてこの馬の移動速度も異常なものだった。

12時に出発して5時間で75kmも進んだのだ……いくらヒールと風魔法、水魔法で快適な環境で走れるとはいえ5人と5人分の荷物、そしてこの無駄に豪華絢爛な馬車を考えると時速10kmが限界かと思ったのだが……

もしかしたらリーガンから尾行してきている人たちを撒けるかもな……

今日泊まる予定だった宿に着くと早速、お風呂に入ってからご飯を食べることにした。

当然街で最上級の宿だ。シャワーだけでなくお風呂が付いているのだ。

フレスバルド筆頭公爵の娘がいるからね。

しかし問題もあり、1部屋しか予約していないのである……お風呂の順番どうするべきか……俺が最初に入ると女性陣にお風呂が気持ち悪いと思われるかもしれない。

俺が最後に入ると変態的な意味で気持ち悪いと思われるかもしれない……

どうするべきか……するとクラリスが俺の思考を読んだのかテキパキと仕切り始めた。

「まずいつものようにカレンとミーシャで入って。2人とも体洗い終わったら、私たちを呼んで。私とエリーも入るから。カレンとミーシャがお風呂から上がったらマルス入ってきて。たまにはエリーと一緒にマルスの背中を流すわよ」

するとカレンとミーシャが

「え!? もうあなた達……裸の付き合いなの!?」

お怒気ながら言ってくる。するとエリーが

「……6歳から……ベッドも一緒……」

「い、いや、そんな変な意味で言ったんじゃないわよ? ベッドも一緒だったけど、特に何もないからね。そうよね? マルス?」

クラリスが赤面しながら必死に誤解を解こうと俺に合意を求めてくる。

「あ、ああ。ただ幼い頃だったからな……今はもうお互い大人になってきたから、またもうちょっと大人になったら背中を流してもらおうかな」

「そ、そうね。変な誤解を生んでもあれだしね……」

クラリスがそう言うとエリーが

「……私たち婚約者……もう別に何があっても……」

「ま、まぁそうね……信じられないけど上級貴族の中には11歳で子供を産んだという事もあったらしいから……」

カレンがエリーの言葉を肯定するが、カレンの顔は真っ赤になっている。

「……獣人では10歳……」

「と、とりあえずカレンとミーシャ先に入ってね」

クラリスがそう言うとカレンとミーシャがお風呂に入っていった。

するとクラリスが

「背中を洗うのはまた今度ね。私だけで背中を流すとエリーが怒るから2人で一緒に流すからね」

「ああ、楽しみにしておくよ」

無事に俺までお風呂に入ると宿屋の中のレストラン的な所でご飯を食べることにした。

豪華な料理に、高そうなお酒が注がれた。

ずっと疑問だったからカレンに聞いてみる。

「カレン。お酒って何歳から飲んでいいのか?」

「あら? 年齢制限なんてないわよ? 私は6歳から飲んでるわ。ただ飲み過ぎは良くないからいつもは一口だけにしているの。少量であれば、飲んだ方がよいとお父様が仰るし、貴族の世界でお酒が飲めない事は恥ずかしいことだと教わっているからね」

エリーが

「…… 小人族(ドワーフ) ……ミルク代わり……」

マジか! ドワーフって酒好きってイメージだけどそんなになのか……

みんなお酒を軽く1杯だけのんで食事を楽しんだ後、部屋に戻った。

部屋に戻るとみんなで談笑をすることになった。

俺とクラリスの出会いとか、エリーの生い立ちとかをだ。

そして将来の夢の話となると、 クラリスとエリーは俺のお嫁さんという夢、カレンとミーシャも同じなのだが、少し温度差が有るようだ。

そして俺の夢を聞かれ、正直に話した。

クラリスとエリーと結婚することはもう決まっているし、何があっても絶対に守ると誓ったら2人とも泣いて喜んでくれた。

1杯とはいえ酒の力って怖いよね……

そして誰にも話したことのない夢を語った。

「俺の将来の夢は……リムルガルドの領主になる事かな。そのために俺は上級貴族になりたいんだ。バルクス王国とザルカム王国両国の上級貴族に……」

リムルガルドとはクラリスとグランザムからイルグシアに帰ってきた途中にあった、バルクス王国とザルカム王国の国境の街、昔の首都だ。

4年前の 迷宮飽和(ラビリンス) と 魔物達の行進(スタンピード) は収まっていないらしく何組ものAランクパーティとBランクパーティで 魔物達の行進(スタンピード) を食い止めていると聞いた。

なぜリムルガルドの領主になりたいかと言うとバルクス王国とザルカム王国の戦争を止めたいからだ。リムルガルドが国境のため、ここの東リムルガルド、西リムルガルドを含めたリムルガルドの領主になれば戦争が起こることはない。

グランザムの住民とアルメリアの住民たちが争うところなんて絶対に見たくないからな。

俺の話を聞いた4人は固まっている。

少ししたらクラリスとエリーは俺の力を信じてくれているので

「マルスなら絶対に出来る。私も力になる」と言ってくれたが、カレンとミーシャはまだ俺の力を信じ切れていないのか黙っている。

「カレン、ミーシャ。今は俺の力を信じてくれなくてもいい。とりあえず俺はA級冒険者を目指すつもりなんだ。とにかくリムルガルドに関わるには冒険者ランクを上げないといけないということが最近になって分かったからね」

リムルガルドの魔物達はBランクパーティ下位だと全滅してしまう可能性が高いため、リムルガルド系のクエストを受注するにはある程度の実績が必要となると、この前サーシャに聞いたのだ。

ちなみにサーシャはリムルガルドのクエストは受けることが出来るらしいが個人ではダメらしいのでパーティを組む必要があるとの事だ。

するとミーシャが

「私はマルスの力を信じていないなんて事はない。4年前にお母さんに聞いたけど、私を助けてくれた時に戦った魔物の脅威はB-だったんでしょ? 4年後の今ならもっと強いのは容易に想像できるの……だけど2人の本気がどんなものか分からなくて……今度少しだけ私とカレンの事を信用して力の一端を見せてくれない?」

「6歳でB-を討伐? それってもう6歳の時点でB級冒険者って事じゃない!……さすがに私もマルスとクラリスだけでなくエリーの実力も見たいわね。マルスが普通じゃないというのは分かってはいたんだけどそこまでとは……」

そうか……俺たちが隠し事をしているのが分かっていたのか……

「分かった。近いうちに俺とクラリスとエリーの力の一片を見せるよ」

俺はクラリスの神聖魔法だけは本当にギリギリまで言わないつもりだからこう言ったのだ。嘘はつきたくないからね。

「ありがとう。それじゃあ寝ましょうか?」

もう21時になっていた。

俺とクラリスとエリーは事前に決めごとをしていた。

それは寝る時間だ。

リスター帝国学校のように安全ではないので寝る時間をずらす事にしていた。

俺が21時から0時まで寝て、2人が0時から6時まで寝るのだ。

「そうだね。俺はもう寝るとするよ。お前たちはどうするんだ?」

俺がそうクラリスに聞くと

「私とエリーは0時になったら寝るわ。カレンとミーシャは?」

そうクラリスが聞くと2人とも0時に寝るという事になった。

「分かった。じゃあまた明日。夜更かしは肌に悪いから早く寝ろよ。おやすみ」

俺はそう言って俺が1人で寝る部屋に向かった。

今から速攻でMPを枯渇させて寝なければ。

まぁ旅の途中でかなりMPを使っていたからすぐに枯渇できそうだけど……

そして明日に向けて俺は眠った。