軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第77話 優勝!?

ククク……これでエリーが大将で出てこなければ、俺たちの勝ちだ。

恐らく人間どもは大将を人間にするだろう。

まさか獣人同士で大将戦なんてことはしないだろうからな……万が一出てきても獣人同士で戦いたくないと言い張ればいいだけだ。

エリーはいい女になったな。

この大会で優勝したらエリーは俺が頂く。

セレアンス公爵夫人としてたくさん子供を産ませてやるから楽しみにしておけよ……

それにしてもドミニク相手に勝てるとは僥倖だったな。

そしてバロンが大将で出てくると思ったが……ドミニクがやられてバロンも熱くなっていやがったからな。

序列1位か2位のバロンを4位と言い張ってまでの工作らしいが権謀術数で俺たちに挑もうなんて100年早いわ!

さて中堅戦は……相変わらず俺たちは 悪(・) 役(・) か。まぁ勝てば官軍だ。

中堅で出てくると予想はしていたが、序列3位とは……恐らく本来はバロン1位、2位エリー、3位ドミニクで4位カレンだろうな。

他の2人は容姿が整っているだけの観客の人気取りかなんかだろう。

人間のよくやりそうなことだ。

まぁ、エリーは今日の夜俺がベッドで慰めてやろう。

この次期セレアンス公爵のブラッド・レオ様がな!

☆☆☆

会場は別の意味で騒然としていた。

それはセレアンス王立学校の選手紹介の後のエリーのアナウンスだった。

「我らがリスター帝国学校の中堅は……なんと序列3位! 次(・) 期(・) セレアンス公爵と呼ばれているエリー・レオです。会場の皆様に誤解が無いように説明させて頂きます。エリー・レオは前セレアンス公爵バーンズ・レオ様の愛娘です。バーンズ閣下は親人族派ですので、ブーイングはお辞めください! そして金獅子の圧倒的な力を皆さま是非ご覧ください!」

おいおいここまで煽るのかよ……言いたい放題じゃないか……さすがに言い過ぎだと思うが。

次期セレアンス公爵って現公爵がいるのに……それにバーンズ閣下って。この大会終わったら戦争にでもなるのかな?

観客席からエリーコールが鳴りやまない。

そして相変わらず「かわいい」とかの意味不明な声援が多い。

俺はこの戦いが始まる前にエリーに対して作戦を与えていた。

何もしなくても絶対にエリーが勝つことは分かっている。

セレアンス王立学校は1番弱い奴を中堅に当てているからな。

ただエリーには圧倒的勝利をつかませてあげたい。

少しでもバーンズへの弔い合戦が出来ればと思ったのだ。

「始め」

開始の合図と共にエリーはすぐにある行動をとった。

相手の獣人は何もせずに「参った」と言った よ(・) う(・) に(・) 見えた。

獣人は驚いている。参ったと言ったはずなのにエリーが物凄いスピードで自分に襲い掛かってきている。1発でも貰うと確実に後遺症が残る……

何度も「参った」と連呼しても誰も止めてくれない。

そして1発貰って獣人は意識を失った……

エリーは気を失っている獣人に対し追撃をしなかった。

むしろ哀しい顔をしていた。

セレアンス王立学校側に気絶した獣人を投げると一言

「……勝利アナウンス……」

とだけ言うと、ウグイス嬢はすぐに

「勝者!エリー・レオ」

会場からは「おぉーーーーー!!!!!」という大歓声が溢れる。

クラリスが戻ってきたエリーを抱きしめ、涙声で「辛かったね。よく頑張ったね」と言うとエリーも一縷の涙を流してクラリスを抱きしめた。

エリーは弔い合戦をしたいのかと思っていたのだがそうではなかったのかもしれない……音魔法まで使って相手を倒さなくても良かったのかもしれない……

2人をただずっと見つめていると、エリーが俺の所にやってきて

「……すっきりした。アドバイスありがとう……」

まだエリーの声は震えていた。これは俺への気遣いだろうか……俺はエリーの頭をポンポンと撫でるように叩き抱き寄せた。

クラリスはそれを見て笑ってくれている。

きっと間違いではなかったんだろう……

「さて、次はクラリスだな! 油断はするなよ!」

バロンがそう言うとクラリスは頷く。

俺もクラリスに

「クラリスで決めてきてくれ!」

またクラリスは頷き俺とグータッチをするとアナウンスが流れた。

「さて副将戦です。もう後がないセレアンス王立学校の副将はクロ選手です。今度はどんな卑怯な戦いをするのかが楽しみでございます」

相変わらずマイクパフォーマンスが凄い。

「そして我らがリスター帝国学校の副将は……なんと! この美しさで序列2位! クラリス・ランパードです」

すると例のごとく観客席から「可愛い」「結婚して」「連絡先教えて」など応援とは思えない言葉が飛んでくる。

クラリスもこういう扱いに慣れているとは言え、今回は父と母のグレイとエルナが応援に来ているのだ。

顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。

「始め!」

試合開始直後クラリスは 魔法の弓矢(マジックアロー) を構える。

対戦相手のクロと呼ばれていた獣人は矢が無い弓を構えているクラリスに向かって涎を垂らしながら発情している。

「痛くしないから、降参しな。俺の子供を最低10人は生ませてやるから」

完全にクロの股間が盛り上がっており、クロの頭の中も盛り上がっているようだ。

「結構です。気持ち悪いから早く降参して」

そう言うとクラリスは 魔法の弓矢(マジックアロー) を2射した。

高速で放たれる矢にクロは全く反応できずに、両足にクラリスの魔力の矢が突き刺さった。

バロンのストーンスピアは地面から槍が出てきて下から足を貫通したが、クラリスの矢は上から足を突き刺し、地面に矢が突き刺さった。

しかしクラリスの魔力の矢は実弾ではないので、すぐに拘束が解けてしまう。

だが今のクラリスにはほんの数秒だけ動きが止まるだけで良かった。

魔力を込めた 魔法の弓矢(マジックアロー) をクロに向けて射ようとしている。

やばい! さすがにこれは直撃したら死んでしまう! 俺がそう思ってクラリスを止めようと叫ぼうとしたが、遅かった。

クロはあっさりと死んでしまい、会場はシーンと静まり返ってしまった。

………

……

クロが死に、新たにクロ子が生まれてしまったのだ。

吹き飛んだクロの部分をクラリスはマジックアローで追撃しまくる。

もうすでにクロの物として……いや原型が消滅してしまった。

「あなたのような遺伝子は残さないほうが良いと思うの? まだ続けますか? クロ……子さん?」

完全にクロ子は戦意を失っている。

膝をついて「参った」と言うとウグイス嬢もこれ以上の辱めはかわいそうと思ったのか

「勝者! クラリス・ランパード!」

クラリスに対して「かわいい」とか「結婚して」とかという声はもうなかった。

入場した時に「可愛い」とか言っていた観客は皆股間を抑えている。

クラリスは帰ってくるとはにかみながら

「やり過ぎちゃった」

少しベロを出しながら言うクラリスは相変わらず可愛い。するとエリーがすかさず

「……さすがクラリス。男の股間狙うのが上手い……」

と言って、痴話喧嘩を始めた。

ほんの10分前抱き合っていた仲なのにね。

まぁこの後クラリスは股間クラッシャーとして有名になる。

貴賓席の方を見るとグレイとエルナが複雑な表情をしながらこちらに手を振っている。

まぁまさか娘が男の股間を吹っ飛ばす光景を見るとは思わないよな。

「これで我らがリスター帝国学校の武術の部の優勝! そして総合優勝も確定致しました!」

すると観客席から1人の獣人が闘技場内に降りてきて、ウグイス嬢に向かってマイクを要求した。

ウグイス嬢はリーガン公爵の方を見て反応を伺っていると獣人の男は強引にマイクを取り話し始めた。

「私はセレアンス公爵ヴィクトリー・レオだ。こっちが大人しくしておけば、いい気になりおって! まぁ弱い犬ほどよく吠えるというからな。心と器の大きい我は許さんでやらんでもない」

ヴィクトリーがそう言うと観客席から大ブーイングが起こった。

「うるさいわ! 束にならないと何も言えない雑魚共め! 文句があるなら、ここに降りてこい! そうでなければ不敬罪で全員殺すぞ!」

この言葉に会場中がシーンと静まり返った。

「さて現状1-3で我々セレアンス王立学校が負けているわけだが我は負けているとは思っていない。身体能力やスキルは我々セレアンス王立学校の方が圧倒していると自負している。そこでだ、大将戦に限って武器の使用を認めないという事でどうだろう? これが飲めないのであれば、我々セレアンス王立学校は今後この大会には出ないし、セレアンス公爵領は独立すると宣言する!」

俺に 火精霊の剣(サラマンダーソード) を使わせないという事か……まぁ誰が見てもこの剣は普通じゃないと分かるからな……するとリーガン公爵が

「我がリスター帝国学校の大将は剣聖なのです。剣聖に剣を使わせないと言うのですか?」

「あぁ。それを言うのであれば我がセレアンス王立学校の大将も斧使いだ。しかしあまりにも装備が違うと不公平ではなかろうか?」

リーガン公爵が俺の方を見て困っている。

俺は貴賓席にいるジークの方を見るとジークは俺に向かって右手を握りしめて上に突きあげている。やってこいという事か……

リーガン公爵の所に俺が歩き

「その条件で構いませんよ」

それを聞いたセレアンス公爵が

「今、勇敢なリスター帝国学校の大将が武器の使用を認めないという事を認めた。もしもこれで我々が負けたら全ての件に対し謝罪しよう」

「全ての件について謝罪というのは本当ですね?」

俺が改めて聞くとセレアンス公爵は頷いた。

リーガン公爵が慌てて俺の方を見ながら、

「何言っているの!? 剣聖が剣を持たないでどうやって戦うの!? これはマルス君だけの戦いではないのよ!」

綺麗な顔を歪ませて、激おこぷんぷん丸である。

俺はリーガン公爵をリスター帝国学校の選手が控えているところまで来てもらって話をしようとした。するとアイクがドミニクの所から戻ってきていて、まず俺に尋ねた。

「お父様は了承したんだな?」

「多分。右手を握りしめて突き上げていましたから」

俺とアイクの会話にリーガン公爵は苛立っている。するとアイクが

「ここはマルスを信じてください。 絶(・) 対(・) に(・) マルスが勝ちますから」

アイクにそう言われるとリーガン公爵は押し黙った。

うん? リーガン公爵はアイクのいう事は素直に聞くんだな。

流石この学校の番長という事か……校長すら黙らせるとは……

するとクラリスとエリーが俺たちの所にやってきてエリーが

「……公爵。マルスは武器が無くても私よりは強い……金獅子より強い者は獣人にはいない……絶対にマルスが勝つ……」

ダメ押しの一言だ。

「わかりました。認めましょう。ただしマルス君。あなたの戦い1つでこの国の未来が変わるのよ。絶対に勝って!」

「はい必ず勝ちます」

俺はそう言ってウグイス嬢のコールを待つのであった。