軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第332話 リムルガルド城 宝物庫

「うわぁ……凄い……綺麗……」

クラリスが宝物庫を見渡し、その光景に少し興奮しながら呟く。

「……まぶしい……豪華……」

エリーまでもこの宝物庫の輝きに見惚れている。

礼拝堂の隠し階段を降りると大きな鉄の扉があり、そこを開けると今俺たちがいる宝物庫だった。広さは30m四方といった所か……正直かなり広い。魔物の気配もなく他の部屋よりもひんやりとしていた。

部屋の中央付近にはディスプレイするための台座がいくつも並んでおり、そこにジオルグが持っていたような金の宝剣、宝石、ただ豪華なだけのアクセサリーなど、俺からすればあまり価値のないようなものが綺麗に並べられていた。

そして価値のないような物に一際食いついている者がいた。ビャッコだ。

「これは……凄い……これも……あれも……」

ビャッコはジオルグが持っていた金の宝剣のようなものを物色しては顔をにやつかせていた。

「ビャッコ、もしも欲しいのであればマルスに断ってからにしてくれ。さすがにここに来られたのは100%マルスとクラリスの力だからな」

え!? ここにある物全部俺の物にしていいの? 俺自身は必要ないけどジークとマリアが喜びそうなものばかりだ。サーシャからアルメリアに戻るついでに渡してもらおうかな。

ビャッコはスザクの言葉に頷き、真剣に品定めをしている。

「クラリス、エリー、お父様とお母様に何か選んでもらえないか? あと2人が気に入ったものがあれば、遠慮なく持っていってくれ。アイク兄も義姉さんにどれかどうですか?」

俺の言葉にクラリスとエリーが2人で嬉しそうに色々選び始める。あ、これはヤバいやつかもしれない……特にクラリスのショッピングはとんでもなく長いんだった……

「ああ、じゃあ俺もお言葉に甘えて少し見させてもらおうかな。アンデッドがリポップしない程度には」

アイクが少し大きめな声で答えてくれるとアンデッドというワードを聞いたクラリスも必死になって選び始める。アイクありがとう。

俺も何か適当に手に持って鑑定してみるが、やはりディスプレイされているようなものは使い道がない。

仕方ないので無造作に壁に立てかけられている剣を手にして鑑定してみると……

【名前】氷紋剣

【攻撃】23

【特殊】魔力+2

【価値】B+

【詳細】剣に水魔法を 付与(エンチャント) すると剣先から氷の盾を出すことができる。

え? なんでこんな価値の高い剣が無造作に立てかけられているんだ? もしかしたら王族であれば、このような名剣よりも、斬れない宝剣の方が価値は高いのかもしれない。

試しに氷紋剣を手に取り、水魔法を 付与(エンチャント) すると傘を広げたように剣先から氷の盾が広がった。これ使い方によってはかなりいいかもしれない。一応これは俺が装備することにするが、また別の剣があったらクラリスに渡すか……

その後も壁に立てかけられている武器を鑑定してみたが、めぼしい物はなかった。【運】30の効果で、たまたま一発目でいい武器を 自摸(ツモ) れたのかもしれない。

もう諦めようとした時に、部屋の片隅に古びた小さい箱があるのを見つけた。それを開けて見ると指輪が種類ごとに綺麗に並べられていた。

ディスプレイされているような指輪ではなく、全てシンプルな物であったが、いきなり3ついいものが目に留まった。その3つを大事に自分のハンカチに包みポケットに入れると

「マルス! もう選んだわよ! 早く行きましょう!」

クラリスが早口で俺を急かしてくる。クラリスは一刻も早くここから……いや礼拝堂から抜け出したいのだ。まぁ仕方ない、他の物は今度改めて来た時に見ることにしよう。

みんなが何を持っていくのかは後で確認することにして、宝物庫の重い扉を閉め礼拝堂に戻り、すぐに隠し階段へ通じる穴を塞ぎ、急いで礼拝堂を後にした。

「良かった……リポップする前に戻れて……私はもう2度とここには来ないわ……」

クラリスがここに来ないと宝物庫にはもう入れないかもしれない。まぁそのときはクラリスの私物をたくさん持ち込めばいい話か。それに俺がここに来ると言うと、いやいやながらも必ずついて来てくれるのを知っている。

「クラリス、エリー、2人は自分たちのアクセサリーとか持ってこなかったのか?」

2人は宝剣を2本ずつ持っているだけで他に何も持っている様子が無かった。

「うん……見るのは好きなんだけど、実際自分でつけるのはあまり好きじゃないのよね……それに私には似合わなそうだし」

いやクラリスは何をつけても似合うと思うんだけど……まぁ俺もあまりジャラジャラするのは好きじゃない。鎖だけで十分だ。するとエリーも

「……私も……戦闘の邪魔……それにマルスから……十分……」

エリーはエリーだった。思わず抱きしめたくなってしまった。

「でもね、お義父様とお義母様にではなく、この剣は持っておきたいなというのがあるの。刀身がとても綺麗なのよ。あとで見せるわね」

そうだな。クラリスとエリーとはまた後で話せばいいしな。

「マルス……俺はこれを貰いたいのだが……」

ビャッコがそう言って心配そうに1枚の真っ赤なガウンの様な物を見せてくる。どこかの国の王様がよく来ていそうなもので、そこら中に宝石が散りばめられている。

「ええ、問題ないですよ。もともと僕の物ではないですし」

俺の言葉にホッとしたようで

「助かる。これは俺とマルスからという事でセレアンス公爵に渡しておく」

あ、確かにセレアンス公爵によく似合いそうだ。

「マルス、俺はこれだ。エーディンもああ見えて着飾らないタイプなのだが、これからパーティや舞踏会に参加する機会が増えると思ってな。その時の為の物だ」

周囲を警戒していたアイクが見せてきたのは少し大きなダイヤモンドの指輪だった。まぁみんなが思うようなダイヤモンドではないからな。綺麗にカットはされているがブリリアントカットには程遠い。

「スザク様は何も持ってこなかったのですか?」

特に何も持っていない様子のスザクに聞くと

「ああ……俺が探していた物は無かった」

探していた物? 最初から何かを探していたのか?

「実はここに来た目的の1つに去年ここで死んでしまった【朱雀】の神聖魔法使いの装備品があるかなと思っていたのだ。迷宮で死ぬと死んだ者の装備品が宝箱としてポップするというのを聞いたことがあるからな。さすがに宝物庫にあるとは思ってはいなかったが、念のため確かめておきたくてな」

俺からは何も聞かなかったが、スザクが吹っ切れた表情で話してくれた。あとで特徴とかを聞いて今度来た時に見つけたら、スザクに渡してやろう。

「よし、じゃあ戻るとするか! このまま南側に進み、騎士の間を通らずエントランスホールの東側に繋がる扉を目指す! 道中メイドルームなどがあるからしっかり確認してから戻る! あと宝物庫で手にしたもので戦闘中に邪魔なものがあれば、後衛の俺が持つ! みんなは気にせず戦ってくれ!」」

もう撤退か。まぁ俺もクラリスにラブエールを唱えまくっていたからもうMPが半分くらいだしな。エントランスホールでまたMPを消費すると考えるとちょうど頃合いかもな。

前衛3人を先頭にして今度は通路を南に真っすぐ歩きエントランスホール東側の扉を目指した。