軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第256話 合体魔法

コロシアムに着くとすでに試合が終わっており、誰もいなかった。

普通に考えればみんな鑑定されたくはないからすぐに人目に付かないところに戻るよな。

そのためリーガン騎士団がコロシアムを封鎖して自由に使う事が出来た。

「コディ早速だが始めようか」

「分かった。マルス、手加減はいらないぞ」

俺の言葉にコディが答える。さすがに手加減しないと殺してしまうからコディの言葉には答えなかった。

「フレア!」

いきなりコディが自慢のフレアを唱えてくる。

(ウィンド)

無詠唱でウィンドを唱えるとコディのフレアをウィンドが相殺した。

「は!? マルス何やった?」

コディの質問に答えようとしたが

「マルスは無詠唱で魔法を使う事が出来るんだ。これだけでも十分普通じゃないと分かったろ? コディ俺も参戦していいか?」

アイクがコディの隣に立ってコディの質問に答えると

「アイク様は前衛だろ? 魔法使えるのか?」

「まぁそれなりにはな」

「じゃあ、頼む」

今度は2人相手に魔法戦をするが、2人のフレアをウィンドで相殺できる以上俺が押し負ける事はない。

ちなみにコディの方が魔力は高いが、アイクは 火の腕輪(フレイムブレスレット) を装備しているため、フレアの威力は同じくらいだ。

コディはアイクのフレアの威力に驚いているようで

「その威力で本当に前衛なのか?」

アイクに尋ねるが今度はアイクではなくミーシャがコディの隣に立ち

「義兄さんは本当に前衛だよ! 私も参戦するね! クラリスがいればマルスも結構本気になってくれると思うんだけどクラリスはMP使わないって言っていたし、カレンもスザク様に火魔法を見てもらっているから私たち3人でやるよ! コディは私たち【黎明】のリーダーの強さをしっかりと見ておいて!」

ミーシャも水魔法を使い参加してきたので、対オーガ戦を考えるとなかなかいい訓練になる。

3人の魔法をウィンドだけで相殺しながら戦うと最初にコディのMPが無くなりそうになった。ミーシャの方がMPは低いのだが、フレアの方が消費MP高いからな。

「もう無理だ! 魔力が高いのも凄いが3人を相手にしても切れないMP量ってどんだけ化け物なんだよ!?」

コディは分かってくれたらしいので今日の所はこれでいいだろう。

他の者たちもそれぞれ訓練をしていたが、興味深かったのはライナーだ。

なんとライナーも二刀流の練習をしていたのだ。

実はローマンに来る前にライナーにはドミニクから返してもらったソニックブームを渡していた。

ライナーはソニックブームと氷の刃で二刀流をしているのだ。

アイクも槍と剣でなんとか二刀流が出来ないかを模索しているので【暁】は今二刀流ブームなのかもしれない。

みんなの訓練をそれぞれ見ていたが、珍しくクラリスが訓練をしていなかったのでクラリスの下に行き声をかけた。

「どうした? 何か悩み事?」

クラリスは俺の気配に気づいていなかったのか体をビクンとさせ驚いた表情で

「急に脅かさないでよ。ちょっとエリアヒールの事を考えていてね。試したいことがあるんだけど……だから医務室に一緒に来てもらってもいいかな?」

クラリスの言葉に頷くとエリーも呼んでコロシアムの医務室に向かった。

「マルス、ベッドにうつ伏せになって」

俺がいつもマッサージを受ける態勢になると、エリーが嬉しそうな顔をして俺の横に来ようとするが

「エリー、ちょっと待って。私が先でいいかしら? どうしても試したいことがあって」

「……分かった……」

少し残念そうにエリーが言うとクラリスが

「マルス、ちょっと重いかもしれないけど我慢してね」

なんといきなりうつ伏せ状態の俺の上にピタッと被さった。

こ、この背中に感じる2つの感触は……

「ちょっと、変な事考えないでよね。私はまじめにやっているんだから」

そうは言われても意識がどうしてもそこにいってしまうのは男の性だと思うのだが……しかもクラリスは俺の耳元で言うもんだから息が耳にかかって……

「もう少し辛抱してね?」

もう少しどころかずっとこのままでもいいんだが取り敢えず「うん」とだけ答えておいた。

「じゃあ、いくわね。ヒール!」

するとクラリスの体全体からヒールの温かい感覚が伝わってきた。

部屋がヒールの光で包まれているのが分かる。

き、気持ちいい……

「エリー、ヒールを受けた感じがした?」

「……うん……暖かかった……愛を感じた……」

クラリスの問いにエリーが答えるとクラリスは嬉しそうにベッドから降りた。

「もう掴んだのか? どうやったの?」

なんとなくどう発現させたか分かったが一応聞いてみた。

俺もエリーと同じように暖かさと同時に愛情を感じたからだ。

「ホーリーの時と同じよ。今回はマルスの事を思いながらエリーの事も思って体全体からヒールを発現させるイメージでやってみたの」

やっぱりな。神聖魔法ってそういうような魔法なのかもしれないな。

(じゃあ俺もやってみたいからクラリス、うつ伏せになってくれないか?)

と言いたかったが、これを言うとただの変質者に成り下がりそうだからやめておいた。

だってそうだろう? 美女がうつ伏せになってその上に男が覆い被さるんだぞ? 俺みたいな紳士がそんなことを口に出来るわけが無い。

その後クラリスは一生懸命医務室でエリアヒールを唱えるが 1(・) 人(・) で(・) は(・) 成功しなかった。

必ず俺と触れてないと発現しないらしく、それも手を触るだけとか、触れる範囲が少ないと範囲も狭くなり、先ほどのように触れている面が広いとエリアヒールの範囲も広くなるという事が分かった。

正面から抱きしめ合うとエリアヒールの範囲が広くなるという事が分かったが、そうすると俺の相棒がクラリスに対し千本ノックをするので、当分はクラリスが俺を後ろから抱きしめてエリアヒールを使うことになった。

俺としてはエリアヒールの度にクラリスと触れることが出来るから嬉しい。

まぁこのエリアヒールはまだ検証しないといけないことがたくさんあるからな。

例えば周囲の魔物まで一緒に回復してしまったら困るし、本当にエリア内全員が回復するのか、人数制限があるのか分からないからな。

ちなみに俺は何度やってもエリアヒールが発現しなかった。

まずはクラリスたちをマッサージするところから始めないといけないのかもしれない。

び、美女をマッサージ……これ以上考えるのはやめておこう。俺の紳士なイメージが損なわれてしまうからな。

エリアヒールの検証が終わったのでコロシアムに戻る。

エリーが放置されて可哀想? 安心してくれ、今エリーはいつものように俺の首に腕を回して左首筋を一生懸命吸っている。

医務室で相当時間を使ってしまったらしく、みんなはもう訓練を切り上げていた。

宿に戻ってから風呂に入り、ご飯を食べて俺は今、カレンとミーシャの部屋でベッドに横たわっている。マッサージを受けながら明日の対戦相手の情報をカレンに聞くためにだ。

「明日の相手は前衛よりの万能タイプの剣士ね。ステータスはマルスを大幅に弱体化させたような感じね。正直私やミーシャでもいい勝負になるレベルだと思う。これが詳細よ」

カレンがマッサージをしながら紙を見せてくれる。

確かにミーシャと同じくらいのステータスだが、装備は恐らくミーシャの方がいいから直接対決するとミーシャに軍配が上がりそうだな

「ねぇカレン? もしかして今回私たちも出ていたら、かなりいい所までいけたりしたのかなぁ?」

ミーシャも俺にマッサージをしながら興味深そうにカレンに問う。

「うーん……私とミーシャだったら1回戦は勝てるけど2回戦は運次第ってところじゃないかしら? マルスの2回戦の相手であれば勝てると思うけど……それに例年であればここで勝ち残ったとしても最後にA級冒険者に勝たないといけないから、やっぱり今年はA級冒険者になりやすいというのは事実のようね。ちなみにクラリスであればAブロック以外では優勝を狙えるような気がするわ。はっきりとしたクラリスのステータスを私が知らないから何とも言えないのだけれども、クラリスの場合はスキルも高いからね」

クラリスが来年A級冒険者試験受けるのもありだよな。

「そう言えばマルス、コロシアムでクラリスとエリーとどこかに行ったでしょ? どこで何をしていたのよ?」

ミーシャが俺に問いかけた時だった。部屋のドアがノックされてミーシャが「はーい」と答えると部屋の外からちょうど話題に上がっていたクラリスの声が聞こえた。

クラリスが部屋の中に入ってくると

「ごめんね。2人にも話しておきたいことがあって。ちょっと新しい魔法を覚えたから見てもらいたいんだけどいいかな?」

「もしかしてエリアヒール?」

「そう、でも発現条件がちょっとあれだから……マルス、ちょっと来てもらえる?」

ミーシャの言葉にクラリスが答える。

クラリスの言葉に従ってベッドから起き上がりクラリスの所まで行くと、クラリスが後ろから抱き着いてくる。

その瞬間にヒールの光が部屋を包み込む。

「あったかい……これがエリアヒールなのね」

カレンはこう言ったが、ミーシャはどうやら違う印象を受けたようで

「確かに暖かいけどなんか愛情の方をより感じるような気がする……これはエリアヒールと言うよりも……合体魔法ラブラブヒールって感じね!」

ラブラブヒール? なんだそのネーミングは?

しかしクラリスは別の所に引っ掛かりを感じたようだ。

「ミーシャやめてよ! 合体魔法って……」

顔を赤くしてクラリスが否定している。

あ、そっちを想像したのね。

「なんにせよクラリスがラブラブヒールを覚えてくれたおかげで、より一層私たちは安全に魔物達と戦えるわね」

カレンもラブラブヒール派のようだ。

この後クラリスもマッサージに加わってくれてたのだが、ずっとクラリスがミーシャとカレンに弄られ続けていたのは言うまでもない。