軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第232話 来賓

2031年11月3日17時

リスター祭初日を終えメイド喫茶内で初日のお疲れ会をする。

リーガン公爵もいるし、ドミニクとソフィアもいる。それに【紅蓮】や1年Sクラスの全員もここにいた。

ソフィアは落ち着いたのかようやく昔のように話せるようになった。それでもなかなか目を合わせてくれないのが少し寂しい。

「まずは初日お疲れさまでした。今日の反省点を生かして明日も一生懸命稼ぎ……コホン、お客様をお招きしましょう」

リーガン公爵がみんなを労う。俺達はメイド喫茶内でビュッフェスタイルの夕食を楽しみながらしばらく談笑した。

「それにしてもマルス、ブラッドがリスター帝国学校に入って【創成】に参加したことも驚いたが、2年Bクラスのみんなともいつの間にか仲良くなっていて驚いたぞ」

「アイク兄が取り持ってくれてな。おかげで楽しい学校生活が過ごせているよ」

ご飯を食べながらドミニクが話しかけてきた。

「俺たちからしたらSクラスのメンバーは全員話しかけづらかったからな。もちろんドミニクも含めてだぞ? 女性はみんな見たことのないくらい美女だしな……そりゃあ絶対に俺たちからは声をかけられないよ」

ゴンが話題に参戦してくる。

「それに北の勇者の婚約者のカレン様を奪って側室にするなんていう奴は許せなかったからな」

カールもゴンと一緒に参戦してきた。考えてみればカールはカレンにシバかれて喜んでいたな。俺とは違ってバロンやドミニクと同じようにそっち系の気質の持ち主だった。

え? マルスに交わればMになる? そう言えばそんなようなことわざが……ありません。

しかしこれはまずい雰囲気だ……少し場所を移動してミーシャがいる所に向かうと、ミーシャの周りは笑いに包まれていた。

「リーガン公爵酷いんだよ……私にマジックポーションをがぶ飲みさせて聖水作れって……おしっこしたくてトイレに行こうとしても聖水が先だって……そんなこと言われても我慢できないじゃん? よっぽど聖水におしっこ入れようかと思ったよ」

みんながミーシャのいう事に腹を抱えて笑っている。リスター帝国学校……ブラック企業過ぎるだろ。

だがこの聖水を売ろうと言ったのは他でもないミーシャだ。そこは責任をもって最後までやり遂げてくれ。

それに最後の一言には絶対に触れてはいけない。みんなも分かるだろう?

「私も相当飲んだわよ!? でも間違いなく一番飲んだのはリーガン公爵ご本人だと思うわ……Bクラスの生徒達に何回も取りに行かせていたから」

ミーシャの言葉にクラリスも同意した。そこまでやるのか……まぁリーガン公爵ならやるか……すると遠くの方からリーガン公爵が俺たちの所にやってきた。

まさかこの距離で聞こえるわけがないと思うがソフィアの地獄耳の件もある。油断はできない。

「クラリス、ミーシャ、今日はご苦労様でした。明日もいっぱい聖水を作ってもらうので今日はゆっくりしてください。

マルス。明日セレアンス公爵が来賓としてきます。セレアンス公爵が学校に見えた際には私と一緒に門まで迎えに行ってもらいます。

その後は今まで通りこの周辺の警備をお願いします。恐らくセレアンス公爵の事ですから闘技大会を観戦するか、マルスやエリーの所に行きそうですからしっかりお願いしますね」

クラリスとミーシャはもしかしたら先ほどの会話が聞かれていたのではと思っていたようで少し緊張していたようだが、何も言われなかった事で少しホッとした表情をしていた。

続けてリーガン公爵は俺の近くに来ていたドミニクとソフィアに話しかけた。

「ドミニク、ソフィア、あなた達は今日どこに泊まるのかしら? もしも泊まる場所がなければ元居た部屋を使ってもいいですよ。あと2年Sクラスと1年Sクラスの制服を着た者は、そのまま通すようにと門兵に伝えておりますので2人はいつでも大歓迎です」

「ありがとうございます。それではお言葉に甘えさせて寮に泊まらせて頂きます。一緒に来たエルハガンの冒険者たちはすでにリーガンの街の宿にいると思いますので、後で寮に泊まることを伝えに行きます」

ドミニクがリーガン公爵に頭を下げながら言うとソフィアもそれに倣い頭を下げると、リーガン公爵は満足そうに頷くとメイド服のまま退席した。

もしかしてメイド服かなり気に入っているのでは? まぁ似合っているし、目の保養にもなるからいいか。

ドミニクとソフィアが宿に戻るまでずっとメイド喫茶内で騒ぎ続けた。

2031年11月4日

今日も相変わらず大盛況だ。

朝からドミニクとソフィアもメイド喫茶で楽しく働いている。そして今日は朝からリーガン公爵がフル稼働だ。

これは来年以降もリスター祭でこれやるんだろうな……俺達がやらなくてもリーガン公爵1人でやっていそうだな……

10時くらいになるとリーガン公爵に声をかけられた。

「マルス、もうそろそろセレアンス公爵が来る時間です。行きましょう」

「え……? そのお召し物で……ですか?」

「やはり着替えた方がいいと思いますか?」

「え、ええ……僕個人としてはとても似合っていて素敵だと思いますが、リーガン公爵がそのお召し物でセレアンス公爵を迎え入れるというのは誤ったメッセージを皆に発信してしまうかもしれないと思いまして」

メイド服着て出迎えるって事はセレアンス公爵が主人と言っているような気がするからね。まぁコスプレと割り切ってしまえばいいのかもしれないけど、12公爵をコスプレで出迎えるのかという話になるわけで……

「マルスから褒められると嬉しいですね。分かりました。やはり着替えてきます。私も着替えた方がいいとは思っていたのですが、この服を着ていると若返った気がして嬉しくなってしまって……」

どっからどう見ても二十歳前後にしか見えないから若返るも何もないと思ったが、それは容姿の話であって精神年齢はもっと高いのだろうな。

リーガン公爵の精神年齢って何歳くらいなのだろうか? そんなことを考えているとリーガン公爵が着替えて戻ってきた。

リーガン公爵を護衛している数名のリーガン騎士団員と一緒にセレアンス公爵を迎えに学校の門まで迎えに行くと、何故かフレスバルド第2騎士団、烈火騎士団の団長レッカがいた。

「あなたが来てくれたのですか、レッカ」

リーガン公爵がレッカに声をかけると

「はい、スザク様とビャッコが死の森で連携を取る訓練をしておりますので私がリスター祭でのカエサル公爵の護衛を任されました。烈火騎士団数名とフレスバルド騎士団の幹部候補1人を連れてきておりますので、よろしくお願い申し上げます」

レッカがリーガン公爵に対して片膝をつきながら話すとレッカの後ろにいたフレスバルド騎士団員も片膝をつきながら頭を下げた。その中には見た顔があった。去年までこの学校にいたディバルだ。

そしてすぐにセレアンス公爵も姿を見せた。一般客がリスター帝国学校に入るために列を成しているのに対し、セレアンス公爵は特別に作られた貴族用の入場口から入ってきた。

やはりフレスバルド騎士団がセレアンス公爵の護衛をしていた。騎士団員がこんなにいるのは強みだな。

「ようこそおいで下さいました」

リーガン公爵がセレアンス公爵を迎え入れると

「ああ、少しの間だが世話になる。よろしく頼む」

言葉は雑だがセレアンス公爵がリーガン公爵に対し少しだけ頭を下げた。

2人が少し雑談をしているとレッカがセレアンス公爵に対して緊張した面持ちで挨拶をしに行き、レッカの挨拶が終わると俺もセレアンス公爵に挨拶をしにいった。

「お久しぶりでございます。長旅お疲れ様でございます」

「ああ、武神祭以来だな。今回もよろしく頼む」

一番下っ端だから挨拶もそこそこにし、護衛モードに入る。するとレッカが俺の隣に来て

「マルス、後でお前の兄のアイクを紹介してくれ。スザク様が素晴らしい人材とアイクを手放しで評価されていてな」

確かにスザクのアイクへの評価はかなり高い。

「久しぶりにアイクと戦ってみたいな。だがフレスバルド騎士団の幹部候補の俺が負けてしまうとフレスバルド騎士団の品位が落ちてしまうからなぁ……」

ディバルが話に割り込んできた。レッカとディバルはかなり仲が良さそうだ。だからこんな割り込み方ができるのであろう。

「みんなに見つからないようにやればいい。俺だって去年マルスに負けたからな」

レッカの言葉にディバルが驚く。

「レッカ様がマルスに……?」

「ああ。そして今年の武神祭でマルスとアイクは同時優勝だろう? という事はアイクは俺よりも強いという事になる。だからそれを見極めるためにも紹介してほしいのだ」

アイク大人気だな。流石俺が一番尊敬する人物だ。

「分かりました。しっかり紹介させて頂きますね」

俺達3人と烈火騎士団、リーガン騎士団で2人の公爵を護衛しながら闘技場まで行くと、闘技場周辺を警備していたライナーたちが俺と護衛を代わってくれた。

レッカとディバルも2人の公爵の警備をフレスバルド騎士団員に任せて俺と一緒に行列を横目にメイド喫茶の前まで一緒に来た。

「な、なんだ……これは……?」

レッカがメイド喫茶の中を見て驚く。そこにカレンがやってきて

「あら? レッカじゃない? 入っていく? 私が付くわよ?」

「カレン様!? なんて服をお召しになっているのですか!?」

レッカはカレンがメイド服を着ているのが信じられなかったらしい。だが少し顔がにやけているのが分かる。

「いいでしょ? 去年はかなり抵抗があったのだけれども慣れって怖いわね。今年はもうこれを着ても恥ずかしいとは思わなくなってしまったわ。レッカもディバルも座って。女の子1人くらいだったら連れて来られると思うけど誰がいい?」

「私はカレン様が居て頂ければ十分です」

「俺はクラリ……」

「ディバル、クラリスとミーシャだけはダメなのよ。今ピッチャーで水を注いでいるでしょう? あの水はクラリスが水魔法で作った水で聖水ってよんでいるの。1杯で銀貨1枚よ。だから2人は稼ぎ頭だからごめんなさいね」

ディバルはクラリスを要求したのだがカレンに断られていた。

あと先ほどカレンが言ったように聖水はピッチャーに入れて、それをコップに注いでから客に渡すやり方に変えた。

ちなみにクラリスにはドアーホ、ミーシャにはケビンのサポートがついている。

ずっとピッチャーを持ち続けるのはさすがにきついらしい。その分買ってくれたお客さんには必ず握手をする。

このやり方の方がMPを無駄に使わないし、ピッチャーに水を入れるときはお客さんの目の前でやるから疑われることもないのだ。

もちろんこの方法はリーガン公爵が考案した。

「じゃあ……うん? あのピンク色の髪の毛の子がいいな! 銀色の刺繍って事は1年生か? 随分大人っぽいけど……」

ディバルが指名したのはアリスだ。

だがアリスはかなり人気なので、呼ばれたからと言ってすぐに来られない。

またディバルが女の子を見定めているとある人物と目が合ったようだ。ディバルがその人物に手を振るとその人物がこちらに走ってやってきた。

「ディバル先輩! お久しぶりです!」

やってきたのはアイクだった。

「ああ、久しぶりだな、アイク。レッカ様、こちらがマルスの兄のアイクです」

俺が紹介するはずだったのだけれどもディバルに紹介されてしまった。アイクはレッカの名前を聞くと

「初めましてリスター帝国学校5年Sクラスのアイク・ブライアントです。もしかしたら烈火騎士団団長のレッカ様でございますか?」

「ああ。話すのは初めてだな。今度軽く手合わせ願いたいのだがいいか? もちろんここが終わってからでも構わないし、今日でなくてもいい」

アイクは頷くと指名が入ったようですぐに戻った。人気者は辛いな。

アイクが戻った後レッカはカレンと本当に嬉しそうに話をしていた。ディバルもアリスとは話せなかったものの、他のメイドさんと話せて嬉しそうだった。

闘技大会があまり面白くなかったのかセレアンス公爵がすぐにメイド喫茶にやってきた。

そしてセレアンス公爵と一緒に来たリーガン公爵はすでにメイド服を着ていた。本当にこの人はメイド服……コスプレが好きなのだな。

まぁセレアンス公爵はリーガン公爵に任せればいいか……今日も無事に一日が終わった。それだけでも良しとしよう。明日はカエサル公爵が来る日だ。しっかり気を引き締めなければ。

そしてカエサル公爵が来る11月5日を迎えた。だが来たのはカエサル公爵だけでは無かった……