軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第198話 予定変更?

ブラッドが【暁】に加入したその日の夜、俺たちはフレイヤの高級レストランでブラッド歓迎会を開くことにした。

主役は俺だとブラッドが言ったのでブラッドが席順を決めた。ブラッドの両脇にはクラリスとエリーが座り、ブラッドの前の席にはカレン、その両隣にミーシャとアリスが座る。

俺はアリスの隣の一番端っこになってしまった。そして俺の目の前にはバロンがいて、バロンの隣にはミネルバだ。

くそ、ブラッドのやつめ。一番いい席に座りやがって。今に見ていろ。そんな美人、美少女侍らせているといつか絶対に刺されるぞ!

だが全てがブラッドの思う通りにはならなかった。ブラッドがクラリスとエリーの肩を抱き寄せようとすると、クラリスからは強烈なビンタが、エリーからは容赦のないグーパンがブラッドの顔に炸裂し、ブラッドの顔には綺麗にクラリスのビンタの手形が、そしてエリーに殴られた方には拳の跡がそれぞれ残っていた。

もしもここで本当にブラッドが抱き寄せていたら、雷鳴剣を抜いていたかもしれない。

「ブラ、調子に乗らない!」

「……マルスだけ……」

2人の言葉にブラッドはショックを受けていたが

「エリー、お前指に何を嵌めているんだ? その部分が相当痛かったんだが?」

ブラッドがエリーに殴られた右の頬をさすりながら聞くとエリーが急に顔を崩し

「へへへ……マルスとクラリスとお揃い……結婚する人同士……つける……一番大切な物」

左の薬指に嵌められた指輪を見ながらニヤついていた。ブラッドはニヤけているエリーにムッとし、

「なんだよ、ただの金色の指輪だろ? 俺がもっと凄い指輪をプレゼントしてやるよ!」

ブラッドが息を捲いて豪語するが、クラリスが

「ブラ、これはね。オリハルコン製なのよ? オリハルコンって知ってる?神に愛された金属なの。神に愛された金属でできた指輪をプレゼントされた女の子の気持ち、ブラには分からないでしょ? それにこれは世界に1つしかないのよ? 私の指輪は私以外がつけても大きさが変わらないのよ?」

左手の薬指の指輪をうっとり見ながらブラッドに言うと、エリーも

「オリハルコン……金属言葉……『永遠の愛』……」

よく分からない事を言い出した。金属言葉なんてあるのか? どうせ勝手に作ったんだろうが……

「じゃあ試しに姐さんとエリーの指輪を交換してみてくれよ」

ブラッドは疑っているのかクラリスとエリーにそう言うとクラリスが俺の方を見たので、俺が頷くと、

「いいわよ。あまり指輪を外したくないけど、マルスの許可も出たしね」

ブラッドに答えクラリスが指輪を外した瞬間、指輪は俺が渡した時と同じ大きさに戻り、クラリスの指輪をエリーが嵌めても指輪の大きさが変わることはなかった。

逆にエリーの指輪をクラリスが嵌めても大きさが変わることはなく、それぞれ自分の指輪を嵌めると、指輪の大きさがそれぞれの指の太さに変化した。

「ま、マジか……これがオリハルコンか……聞いたことはあったが初めて見た。とても希少価値の高い物と聞いたが……指輪に使うなんてもったいない……」

ブラッドが言うと、ミーシャが

「マルス! 私のは!? 私もそれ必要でしょ!?」

「私にも絶対に用意してよね! 絶対よ!」

カレンにも念を押されてしまった。隣にいたアリスも上目遣いで

「先輩……私の薬指にもお願いできますか? ずっと……ずっと待っていますから……」

と目を潤ませながら言ってくる。

「あ、ああ。オリハルコンが手に入ったらちゃんとみんなの分作るから」

3人の勢いに押されて思わず答えてしまったのだが、カレンとミーシャはいいとして本当にアリスも? それに簡単に手に入るようなものではないし、オリハルコンを打てるのは教皇だけだしちょっと迂闊だったかも。俺が注目されて面白くなさそうなブラッドが

「アクセサリーショップで好きな物を好きなだけ買ってやるからもうこの話は終わりだ!」

ブラッドの言葉に女性たちが盛り上がる。ブラッド、どうなっても知らないぞ? 食事の席でする話ではないと思っていたが気になる事があったのでカレンの隣に行って聞いてみた。

「なぁカレン。スザク様はもう世継ぎは決定されたのか?」

「決まったわよ。今回は少し揉めたらしいわ。というのもスザクお兄様の子供に特別優秀な子が生まれなかったらしいの。そしてイザベルお姉さまの子供の方が少しだけ優秀でどっちを後継にするか迷ったらしいけど、結局スザクお兄様の子供になったわ」

へぇー。スザクの子でも優秀とは限らないのか……

「でもそんな後継者争いとかにはならなかったんだろ?」

「ええ。でもイザベルお姉さまはあまり納得がいっていないらしくて……もともとイザベルお姉さまは私のせいでフレスバルド公爵家の中では立場があまり良くないのよ……世継ぎがイザベルお姉さまの子になれば、イザベルお姉さまの立場も少しは良くなると思っていたみたいなんだけど」

カレンが少し表情を曇らせてしまった。余計なことを聞いてしまったようだ。恐らく優秀な妹のカレンと比較でもされているのだろう。だが俺にはもう1つ聞いておきたい事があった。

「もう1つ教えてくれ。キザールさんはどうなった? 執事の人に聞いても教えてくれなかったんだけど……」

「キザールは違う所で修行中らしいわよ。マルスもフレスバルド公爵家の奴隷たちを見てわかったかもしれないけど、キザールはまだあの場にいるのが相応しくないと判断されたらしくて、別のフレスバルド家で徹底的にしごかれているらしいわ」

「やっぱりあまり芳しくないのか?」

俺が声のトーンを下げて聞くと

「とにかくみんなが口を揃えて言うのはプライドが高すぎると言っているの。その割には仕事は人並以下の事しかできないらしいわ。ただ徐々にだけど仕事の方は出来るようになっているらしいけど」

やはりキザールの更生には時間がかかるのか……眼鏡っ子先輩に会った時には何も言わないでおこう。

食事ももう食べきれないというくらい食べて、話も落ち着いたのでカレンをフレスバルド公爵家まで送ってから宿に戻った。

今日は早く寝るとしよう。明日はアクセサリーショップに寄ってからフレイヤを出発し、まずはイザークに向かう予定だ。

絶対に1人で行かないといけない店もある。期待を胸に俺は美女たちと一緒にベッドの中に潜り込んだ、

2031年4月29日

「な……なんでこんなちっせぇ金属がこんな値段するんだ? もしかしてこれ全部オリハルコン製という事はないよな?」

ブラッドがアクセサリーショップに並んでいる指輪の値段を見て驚いている。

「当然よ。ここはフレイヤでも一番のアクセサリーショップだから。あとオリハルコンがそう簡単に出回る訳ないじゃない。それにオリハルコンの事を知っている人の方が少ないわよ」

カレンが冷めた目でブラッドの事を見ながら言う。

「ブラ! ブラ! 私これでいいよ! マルスたちの指輪にかなり似てるから!」

ミーシャが俺たちのオリハルコン製の指輪と同じような色の物を指さした。アリスも同じような物を買ってほしいらしく、ミネルバはなんとバロンとのペアリングをおねだりしていた。

「ま、待て! お前ら! 昨日の俺のセリフをしっかり覚えているか?」

ブラッドが慌てて言うと、クラリスが一語一句間違えずに

「確かブラは、アクセサリーショップで好きな物を好きなだけ買ってやるからもうこの話は終わりだ。って言っていたわよね?」

「さすが姐さん! 俺は今日買うなんて一言も言ってねぇ! いつか買ってやるからそれまで待ってろ!」

とブラッドが言い訳をするとミーシャが笑いながらブー垂れていた。ミーシャも本気で買ってもらおうとは思ってなかったらしい。

アリスは買ってもらえなくて少し落ち込んでいたが……そしてミネルバの指輪はバロンが普通に買っていた。俺がカレンとミーシャ、アリスの分を買っても良かったのだが今回は買うのを見送った。

アクセサリーショップを出ると、すぐに昼ご飯を食べてから街を出ることにした。俺達がフレイヤの街から出ようとすると、1台の馬車がフレイヤに入ってきた。馬車にはリーガン公爵の紋章、本の紋章が刻まれていた。

その馬車が俺たちの隣で止まると、馬車から美しいエルフの女性が降りてきた。

「ママ!」

ミーシャが馬車から降りて先ほど降りてきた女性、ミーシャの母であるサーシャの下に走る。俺達もミーシャの後を追って馬車を降りた。サーシャはミーシャを抱きしめながら俺に向かってこう言った。

「良かった。間に合った。マルス、目的の変更をして。行先は死の森ではなく、ザルカム王国の魔の森よ」