軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第172話 改修

エルハガンの北門に辿り着くと怒号が飛び交っていた!

「早く! 矢を届けろ!」

「あっちにも火が燃え移ったぞ!」

「ゴブリン共の矢を街に落とすな!」

教皇は要塞化していると言ったが、やはりイザークと比べると陳腐だ。門の高さも街壁の高さもだいたい4mから5mと言った所か……10mくらいは最低でも欲しいよな……俺がひょいと街門の上に飛びあがると冒険者たちが驚いて

「何をしている! 危ないから降りてこい!」

「どうやってあそこまで上がったんだ?」

とか下で喚いている。街の外からは俺をめがけて弓と魔法が降り注ぐ。やはりこの高さだと簡単に外から矢が届くか……魔法は風魔法で吹き飛ばし、矢も全てウィンドで落としてからクラリスたちが待つ街の方に飛び降りて

「心配かけて申し訳ございませんでした。僕たちは リ(・) ス(・) タ(・) ー(・) 連(・) 合(・) 国(・) から本日この街にやってきたBランクパーティです。北門の守りを3時間程度任せてほしいのですが代表の方はいらっしゃいますか?」

冒険者たちの方に呼びかけると、さっき下で降りてこいと叫んでいた髭を生やした冒険者が大きな声で唾を飛ばしながら答える。

「ここはヒスさんが仕切っている! ヒスさんに聞いてくれ!」

……さっきの大聖堂にいた男か。

「分かりました。ヒスさんと話してきますのでこれからよろしくお願いします」

俺が頭を下げると、後ろの女性メンバーたちも一緒に頭を下げた。意外だったのはカレンも一緒に頭を下げたことだ。東門の方も見に行ったが北門とあまり変わりはなかった。

街の中心に戻るころにはもうすっかり夜になっており、【創成】と合流できるか不安だったが、バロンたちはすぐに俺たちを見つけてくれた。

バロン曰く、俺たちが移動を開始すると他の冒険者たちも一緒に動くらしいから大体どこにいるかはすぐに分かるらしい。冒険者たちは完全に【黎明】女性陣に釘付けだからな……

「宿は取れた?」

俺がバロンに聞くとバロンが

「ああ……いつも通り3部屋取ったぞ。クエストの事を宿主に話したら値段も半額以下だ。それに一番いい部屋3つだ。観光名所の聖都という事だけあって1部屋がとても広い」

そうとういい宿が取れたらしく、バロンが満足そうに言った。

「ありがとう、バロン。宿が楽しみだな。ドミニク、聞きたいことがある。さっきいたヒスという男がどこにいるか知っているか? 知っていたら教えて欲しい。話したいことがある。出来れば今すぐ話したいのだが……」

俺がドミニクに言うとドミニクが

「ああ……多分冒険者ギルドにいると思う。今から一緒に行こう」

バロンもついて来ようとしたのだが、女性陣だけで宿に行かせるのは嫌だったのでバロンには女性陣の護衛を頼んだ。

クラリスやエリーの方が強いのだが、男が1人いるだけで避けられる争いもある。逆に男1人だから生まれる争いもあるが……

ドミニクと2人で冒険者ギルドに入ると冒険者達の輪の中心に先ほどのヒスがいた。ヒスはここの冒険者達からかなり慕われているようだ。

「ヒス。うちのクランマスターがヒスと話がしたいらしい。いいか?」

ドミニクが冒険者たちの輪の中心に向かって言うと

「……分かった。ドミニク。俺もお前と話がしたかった。3人で話すのか? それともソロン……教皇も一緒か?」

あっさり了承してくれた。ドミニクが3人でというとヒスと一緒に冒険者ギルドの2階に上がり、大部屋で話すことにした。

「まずは何の用だ? 確かマルスと言ったな?」

ヒスが俺の方を向きながら言う。

「この街の北門の守りを俺たちに3時間任せてくれませんか? その際、他の冒険者たちを近づけて欲しくないんですが……」

俺がこう言うと

「当然ダメだ。門は誰もいなくてもまだ持ちこたえられるかもしれないが、開門されたりすると困るからな。それに目的はなんだ? 一緒に守ってくれるのであれば大歓迎だが?」

やっぱ無理だよな……俺でもそう言うと思う……だがこう言われるのは想定内だった。

「分かった……じゃあ1時間……いや30分だけでもいいんです。この街の防御能力を向上させたいのですが、さっきも言いましたが、あまり見られたくないので……」

俺の話に興味を持ったのかヒスが

「防御能力の向上? 何をするつもりだ?」

身を乗り出して聞いてくる。

「まず北門の街壁の高さを10mまでかさ上げします。そして10mの壁の手前側に厚みのある9mくらいの壁をもう一枚作るつもりです。9mくらいの壁に足場を作りそこから冒険者たちが外に向かって矢を放てるようにするつもりです。なんで9mかというと10mの壁を盾替わりにする為です」

俺がヒスに向かって説明するとヒスが

「そんな事が出来るんだったら俺たちもとっくにやっているさ。そんな夢物語の為にこの街を危険にさらすわけにはいかない」

あっさり却下されてしまった。

「俺たちの仲間には優秀な土魔法使いがいるんだ。騙されたと思ってマルスの提案を受けてくれ。エルハガンの為だ。頼む!」

ドミニクがヒスに向かって懇願する。

「ドミニク……お前本気で言っているのか? こんな話、お前が俺の立場でも受けられるわけないだろう? この街を……レイが守ったこの街を俺だって守りたい! だからこんなよく分からない提案を俺が飲める訳ないだろう!?」

誰だ? レイって……? ただヒスが言いたいことはよく分かった。

「では、ヒスさんも一緒に居てもらっても構いません。ただ見たことは絶対に口外しないようにして頂けませんか?」

俺がヒスにそう言うと

「お前本気で言っているのか? 本当にそんなことが出来るのか?」

真剣な面持ちで聞いてくる。

「はい。絶対にやって見せます。僕も仲間の故郷を守りたいですから」

「……分かった。今日の21時から3時間だ。俺がこの街の冒険者に伝えておく。チャンスは1回だけだ。21時前には北門に来い。この街の冒険者を帰す時間もあるからな。もうこれでマルスの話は終わりか? だったらマルスは今から準備にかかれ。俺はドミニクと話がしたい。いいな?」

これドミニクとヒスを2人っきりにするとダメなパターンか? だがドミニクが俺に対してこう言った。

「マルス、安心してくれ。俺と、ヒス、そして教皇様は剣の師匠が一緒なんだ。さっきヒスが言っていたレイという人が俺たちの師匠だ。だからヒスは俺からすれば兄弟子という事になる。もちろん教皇様も兄弟子だ。師匠の取った弟子は俺たち3人だけなんだ。多分実力は俺が一番高いだろうがな」

ドミニクの説明で色々な違和感が無くなった……まぁなぜ教皇に挨拶する時、俺に片膝をつかせなかったのか分からないままだが……

「分かった。じゃあ21時前に北門前で!」

2人に言って部屋を出たが、先ほどのドミニクの言葉でまた2人は口喧嘩をしていた。喧嘩するほど仲がいいというのはこのことを言うのかもしれない。

俺は冒険者ギルドから出て宿に戻るともう20時近くになっていた。ちなみに3つの部屋に誰が泊っているかまだ分からないので一番広い部屋をノックすると女子全員が同じ部屋に居たようだ。

もしかしたら緊急事態が起こるかもしれないからとまだ誰もお風呂に入っていなかったようだ。事情を説明し、バロンも無事に合流するとすぐに北門に向かった。

北門に着いたのが20時30分だった。まぁ予想通り早く着いてしまったので、俺たちは近くの消火活動や道に落ちた矢などを集めることにした。

少し時間が経つとドミニクとヒスがやってきてヒスが近くの冒険者全員に撤収の命令を出した。

冒険者たちは不安な表情を見せつつ持ち場から離れていった。サーチで近くに誰もいないことを確認すると

「ヒスさん。ありがとうございます。それでは始めますね。みんな。さっき言ったとおりだ。まずはこの付近の街壁を10mにする。バロンも手伝ってくれ。その他のみんなはこの辺の警備を頼む」

俺はそう言いながら早速、土魔法で街門付近の街壁の高さを一気に10mくらいまで高くした。

もともとあった5mくらいの壁の上に高さ5m、厚さ0.5mくらいの壁が一気に100mくらい出来上がった。

当然街門も10mの高さにした。もちろん、かさ増しした素材は石でかさ増しした部分は全て雷の紋章を刻印している。

これは俺がやった証を残すというよりかは、後で街の景観を損ねるから元に戻せと言われた時に、どこから俺がかさ増ししたかが分かるようにする為だ。予想よりMPを消費しなかったので、これならもう一枚の街壁の厚さをもっと厚くできる。

俺が街壁を一気に10mまで高くすると、ヒスどころかアリスとソフィアも驚いていた。

次に10mの壁の手前にピッタリくっつくように9mくらいの街壁を作った。厚さは10mの壁の3倍の1.5mくらいの厚さだ。

これで9mの壁の上を歩いても落ちる心配はないだろう。今回は相当MPを消費した。幅100m、高さ9m、厚さ1.5mの石の壁を一気に作ったのだ。予定より壁の厚みが0.5m厚いから余計にMPを消費してしまった。9mの壁の上に登れるように石の階段を作ると俺のMPはもう2桁になっていた。

「ヒスさん……なんとか作りきりました。これから仲間たちに実際に上に登ってもらってゴブリン達を試しに倒そうと思うのですが、一緒に上ってくれませんか?」

ヒスはたった今出来上がった、新しい街壁と階段をずっと見ていた。

「あ、ああ……本当に……作れたんだな……それも今まで見たことがないような壁だ……完全にここだけ要塞と言う感じだな……」

全員で階段を上がり9mの壁の上に立った。

街の外からゴブリンアーチャーが矢を放つが、ここまではギリギリ届かないし、届いたとしてもどこかに刺さるような威力は残っていない。

だがゴブリンメイジの魔法だけは届いた。まぁ目の前には1mだけ高く積まれた壁があるから、頭を引っ込めれば全て回避できるから問題ないだろう。

壁の上から、カレン、ミネルバ、ソフィアが火魔法で連絡橋の先の方に集まっているゴブリン達を焼き殺し、クラリス、ミーシャが街門を一生懸命壊そうとしているゴブリン達を水魔法で殲滅する。ドミニクも風魔法とソニックブームで周辺の敵を倒していた。

「す、すごいな……これだったらこの街の冒険者達だけでも守り切れる! 上から矢を放つだけでいいし、ゴブリン達の攻撃は魔法以外ほぼ無力化された。マルス! 色々疑って悪かった! この調子で全ての門付近やってくれないか!?」

ヒスが必死に頭を下げてきたので俺が

「当然です。一緒にこの街を守りましょう。だけど1ついいですか? もうMPが無いので3時間ここを僕たちが守る予定でしたが、繰り上げてもらってもいいですか?」

「ああ! こんな立派なものを作ってくれたんだ!」

ヒスはそう言って階段の下に降りていくとすぐに冒険者達を連れてきてくれた。

俺たちは冒険者たちが上に上がってくるまでずっとゴブリン達を倒していたがなかなか上に上がってこなかった。

冒険者たちを見ると冒険者たちがずっと街壁を呆然として見ていた……と思ったのだが冒険者たちは俺たちを一生懸命下から覗いていた。