軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

30.賞金首

「・・・あ、あれは?」

いつもの様にフリーの討伐依頼で鳥を狩って街に帰ってきた俺はとあるものを見てしまった。

「ハハハ。たくさん食べていいからね」

「まだまだ肉は一杯あるんだぜ」

俺の目の前には『全てに打ち勝つ』の連中。それだけなら別に驚く事は無かったのだが、あいつら以外にみすぼらしい恰好をした小さい子供がたくさんいて、みんなでBBQをしてやがる!

おいおい!孤児共とBBQなんて定番イベントすっかり忘れていた!俺の知っている話だとこれすると何かすげえ良い事が起こるはずだ。

「よお、何してんだ?」

「あっ。ベイルさん。お疲れさまです。今日僕たち初めて牙タウロスを倒したんですよ。だからその肉を孤児院の子供達と食べている所です」

何しているのかなんて一目見れば分かるが、探りを入れる為にアーリットに声をかけてみる。・・・ザリアがダッシュで逃げていったのは何でだ?

「へえ。牙タウロスをもう倒したのか。お前ら優秀だな」

「へへへ。俺達なら楽勝だぜ」

「もう、そうやって油断していると危ないのよ」

クイトとエルメトラ神も話に加わってきた。クイトが調子に乗っているが気持ちは分かる。俺がしょっちゅう狩っている牙タウロスや、豚や鳥は3級に上がる為の試験のひとつで、こいつらを倒した実績がないと3級には上がれないからな。

そしてこの流れ、完璧によくある話の流れじゃねえか。エフィル仲間にした時といい、スライム仲間にした時といい、こいつら狙ってやっている訳じゃないのに、素で主人公ムーブしてんな。

「へえー。孤児共にも食わせるなんて偉いじゃねえか。他にも誰か食べに来た奴いるのか?」

BBQって俺は言ってるけど、やっている事は外で肉焼いて食っているだけだ。そこまで珍しい事でもない。ただ、孤児共と一緒ってなるとかなり珍しい。まあエフィルがいるからだろうけど、普通は孤児共にタダで飯を奢る奴なんていないからな。その珍しい光景に寄ってきた奴がいるんじゃないかと思い聞いてみたんだ。すると、

「さっきまで王都から来たっていう商人がいたぜ。良く分かんねえけど俺達褒められたんだぜ」

おお!こいつら既にイベント発生してるじゃねえか!その王都の商人、絶対お助けキャラだよ。こいつらがもし王都に行った時に色々助けてくれる奴だ。

くそー。俺だって孤児達に飯奢るってイベント覚えていたら絶対やってたのに!・・・いや、まだだ!一歩出遅れたが、まだ巻き返せるはず!俺はこれ似た別パターンを知っている。放っておいたらアーリット達がまたやりそうだから、その前に俺がやって、美味しい所だけもらって、面倒くさそうな所はこいつらか他の連中に押し付ければいい。

そう決めたは俺は一心不乱に働いた。

「おお、ベイル。もう戻ってきたのか?早いな」

街に戻れば門番にこう言われ。

「ベイルさん。普段からこれぐらい真面目ならいいんですけどねえ」

受付嬢からもこう言われる。極めつけは、

「おいおい、最近のベイルおかしくねえか。真面目に仕事して酒も飲まずに帰ってんぞ」

「真面目に仕事しておかしいって言われるのは流石ベイルだなあ」

「あいつ何で最近休みなく働いてんの?借金でもしたのか?」

組合員までも真面目に金を稼ぐ俺を見ておかしいとか言いやがる。

だけど俺はそういう声を無視して真面目に働きついに目標金額を貯めた。ただ、貯めたのはいいが、それだけじゃ駄目だ。これはタイミングが大事だ。って事で何か祝い事でもあればいいんだけど、そう簡単にある訳ねえしな。面倒くせえけど自分の足で『賞金首』でも探して狩るか。

この辺で賞金首はオークの『胸傷』、鳥の『二本爪』、黒大蛙の『斑』、毒蜥蜴の『紫』辺りが3級でも狙えそうなのだな。取り敢えず『紫』は毒の沼地対策が面倒だからパス。

他3匹は森を走り回ってればそのうち会えるだろ。

そう考えて森の中を探し回っていると、二日目で『二本爪』と『斑』を見つけちまった。強翼鶏の『二本爪』は片足の指が二本しかないのがその名の由来だ。黒大蛙の『斑』も黒い体表の一部が濃い黒になって斑に見える事がその名の由来となっている。二匹とも賞金懸かってるって事は今まで何人もの組合員を殺ってるって事だ。普通ならどっちも警戒しなきゃいけない相手だけど、俺にはそんなの関係ねえ。逆に一度に二匹とは、こりゃあ、とうとう俺にも運が回ってきたみたいだ。

何か争っていた二匹だけど、俺が姿を見せると、標的を俺に変えやがった。魔物同士で争うのも珍しくはないが、どんだけ争っていても人がいればそっちを最優先目標にするってのはどの魔物も共通だな。

そして賞金首で二つ名がついてようが、結局はただの鶏だ。いつもの鶏と同じように『二本爪』が飛び掛かってきたので、俺はそれを躱して足を殴って終わり・・・のはずだった。

狙いを定めた所で空気を裂く音が聞こえた。

「チッ!」

慌てて飛びのくと、今まで俺がいた場所を黒い何かが通り過ぎ、後ろの地面が大きく陥没した。・・・・『斑』の舌の攻撃だ。さっきまで争っていた癖にしっかり連携とってきやがる。

「おっと!」

そこに更に『二本爪』が嘴で襲ってきたので、再び後ろに飛んで距離をとる。

「むっ!」

更に着地の瞬間を狙ってまたまた『斑』の舌攻撃が飛んでくる。流石に躱せないので、こん棒でガードすると、舌がぬるりとこん棒に絡みついてきた。気持ち悪いな!

そこからこん棒を奪おうとする『斑』と奪われまいと踏ん張る俺との力比べだ。・・・ってなればいいんだけど、『二本爪』が追撃してくる。流石に鬱陶しいぞ。やっぱり『賞金首』2匹相手だと素の状態じゃきついか。仕方ねえ、こいつら肉片になるかもしれねえけど身体強化使うか。

身体強化を使う事に決めて体に魔力を巡らせると、いい感じで拮抗していたこん棒の引っぱり合いが、片手でも余裕になる。空いた手で腰に提げた大鉈を握り『斑』の舌を斬り飛ばす。これでこん棒が自由に振り回せるぜ。そんで、くそ生意気に調子に乗って俺に突っつき攻撃を仕掛けてこようとする『二本爪』にカウンターでこん棒を当てると、首がぐるりと一回転して絶命した。

よし!顔が弾け飛ばなかった!『ゴブ一』捕獲の時の経験が生きて、手加減出来てる!偉いぞ!俺!

今までは身体強化使うと大抵の魔物が肉片に変わって素材が駄目になるから、あんまり使わないようにしてたんだけど、大分手加減が出来るようになってきた。これなら使っても大丈夫そうだけど、あんまり使う機会はねえんだよなあ。オーガとか竜種とか強い魔物なら手加減しなくてもいいんだけど、この辺じゃ滅多にいないし、コーバス周辺なら素の力で十分だからな。

さて、これで残りは『斑』だけ、まーた俺のこん棒奪おうと舌を絡めてきやがった。

「俺のこん棒が欲しいのか?なら離さずしっかり握っておけよ!アハハ!」

絡まれた状態でハンマー投げみたいに『斑』を振り回しながら、周辺の木にぶちあて、木々をへし折っていく。どこで諦めるか楽しみだぜ

「おらああ!!」

しばらく振り回していると舌の力が弱くなったので、近くにある一際デカい木にブチ当てると、流石の『斑』も息絶えていた。そして周りの風景はというと、

・・・・

うーーーーーん。ちょっとはしゃぎ過ぎちまったか。

気付いたら辺りの木が全部根本からへし折れて、森の中なのにそこだけ折れた木が転がり光の射す広い空間が生まれていた。

流石にこの光景は、死闘を繰り広げたにしてはちょっと異常だな。・・・これ絶対、組合や領主から調査が入る案件になるよなあ。もしかしたら俺がやったってバレて色々聞かれるかもしれねえ。

・・・・・

よし!こういう場合は更に混乱させればいいだけだ!俺の知っている話でもバレそうなら可能な限り混乱させろってあるからな。って事で更に異常な光景にしてから俺は街に戻った。

「おお!マジかよ!賞金首じゃねえか!しかも二匹も!どうしたんだ?」

大八車に無理やり二匹を乗せて街に戻って、買取場に二匹を持って行くと馴染のおっさんがすぐに二匹に気付いて駆け寄ってきた。

「丁度二匹が争ってたんで、そこを狙ったんだ。運が良かっただけだ」

本当は余裕でブッ倒したって自慢してえけど、流石に3級の俺が賞金首2匹余裕で倒すのはちょっとおかしいからな。かなり運良くハイエナできたって言っとかねえとな。

「おお、うまい事やったじゃねえか!『二本爪』は確か賞金が70万で『斑』が50万だったか?かなりの死闘だったみたいだけど、そのボロボロの装備新品に変えてもお釣りがくるな」

・・・悪いな、オヤジ。このボロボロに見える防具は激闘だった雰囲気を出したくて、帰りに地面にヘッドスライングしたり、草むらにダイブしたりしてたらこうなっただけで、別に壊れちゃいねえんだ。どっちかというと最近酷使している大八車の方がヤバいんだ。

「いつもみたいに鳥は肉をひと固まりだけ残して後は全部売りだ。蛙は全部売りで頼む」

「そんじゃあ、素材入れて全部で・・・キリの良い所で160万ジェリーって所でどうだ?」

「高くねえ?鳥がいっつも10~13ぐらいで蛙もそんな変わんねえだろ?」

賞金抜くと素材だけで40万になるから通常の買い取りより高い。俺は二匹で25ぐらいかなあって思ったし。

「そりゃあ、『賞金首』の素材はちょい高めで売れるんだよ。噂じゃこういうの集めるのが趣味のお貴族様がいるって話だ。それを貴族の集まりなんかで自慢するんだとよ」

ああ、そういや、そんな貴族が故郷にもいたなあ。趣味は人それぞれだし、それで俺の取り分が増えるなら文句はねえ。オヤジから木札を受け取って俺は組合に向かった。

しかし、賞金首二匹で俺が真面目に働いた一月の稼ぎと同じかあ、そりゃあティッチの所みたいに賞金首ばっかり狙う連中がいるのも分かる。稼ぎが全然違えしな。ただ確実に獲物が被るから取り合いになって、揉める事も多いって話だし、俺は今まで通りのスタイルで行くつもりだ。

「よお、いい稼ぎだったみてえじゃねえか?」

「おっと、騒ぐなよ。騒いだら腹に穴が空いちまうからな。へへへ」

ボケーっと考え事しながら組合に向かっていたら急に肩を組まれて話しかけられた。見ると両脇から俺の肩を組んでいる悪人顔の二人。空いた手には二人ともダガーを握っている。そんでそれを隠すように前を歩く二人。

・・・・4人か・・・乞食鳥なんて久しぶりだな。しかも見ねえ顔だから余所から来た奴らか。

折角の稼ぎを奪おうとする連中は乞食鳥と言われる。由来は死んだ魔物の肉を横から掻っ攫っていく鳥からだ。この鳥自体は全く金にならねえし、討伐依頼も無いからゴブリンなんかと違って全ての級の組合員から忌み嫌われている。

そんな乞食鳥と同じように呼ばれるこの連中は、解体場から組合までの間で組合員から木札を奪って討伐報酬をかすめ取る輩だ。大体は解体場に入れる組合員で、昔はコーバスにも結構いたんだけど、ティッチ達のおかげか今じゃほとんど見なくなったからな。俺も絡まれるの久しぶり過ぎて懐かしさとか感じまったぜ。

「お前ら余所モンだろ。悪い事は言わねえから乞食鳥の真似はやめとけ。美人だけど頭の固い姉ちゃんにボコボコにされたくねえだろ。今ならまだ俺も見なかった事にしてやるよ」

「うるせえ!黙って歩け!」

忠告はしたからな。後でティッチに言ってやろう。あいつは悪人にはとことん容赦しねえからな。ボコボコにして裸に剥いて門限ギリギリで街から追い出すって所かな。

これからのこいつらの未来を考えながらついていくと、人が来ない路地のドンつまり、いわゆるカツアゲの定番みたいな場所に連れてこられた。

「さっき解体場で見てたぜ。運よく賞金首狩ったみてえだな?」

分かってはいたが、解体場にいたって事はこいつらやっぱり余所の組合員か。解体場は組合員しか入れねえから、そこで俺に目をつけたらしい。極稀にスラムの連中やならず者が絡んでくる事もあるけど、魔物と命掛けで戦っている組合員相手に勝てる訳がねえ。ほとんど返り討ちにされるので、乞食鳥ってのは同業の組合員がやっている事が多く、こいつらも例に漏れず組合員みたいだ。

そして組合は組合の外でのトラブルは基本ノータッチだからな。木札を奪われたって訴えても無駄なだけだ。だからそうならない為にも組合まではパーティで行動したり、顔見知り同士で固まって移動しろって教わる。組合に着けば金を預ける事も出来るので安心なんだが、最近平和過ぎてすっかり油断したぜ。

「お前、何級だ?・・・え?4・・・じゃねえ3級か。しっかし汚ねえ印証だな」

首から下げて服の中に入れていた印証を隣の奴が引っ張り出して勝手に確認する。汚ねえってのは余計だ。

「おいおい、こいつ4級から3回も降格したって噂の『3落ち』じゃねえか?」

「ギャハハハ!こいつがかよ!噂通り3級止まりってツラしてんな」

3級止まりのツラってどんなツラだよ!それよりもこいつら俺が3級って分かってもビビってねえな。って事は同じか4級か?・・・いや、4級は乞食鳥より自分で稼いだ方が早いだろ。

「まあ、いいか。取り敢えず大八車を壊したくねえんだけど、隅に置かしてもらっていいか?」

「ああ?てめえ、舐めてんのか?あんまりふざけた事言ってると、こっちも手元が狂って腹に穴が空いちまうぞ」

「別にふざけてねんだけどな」

「くそがあ!てめえ何なんだ!」

残った乞食鳥の一人が近付く俺に喚きたて、その周囲には気絶している3人が寝転がっている。乞食鳥なんてやってる奴らなんてこんなもんだろう。

「何って3級組合員だよ」

「ふざけんな!こっちも3級なんだ!それが何でこうも一方的に・・・・」

「ハハハ、情報収集が不十分だな。この街には俺も含め絶対に因縁つけたら駄目な組合員って奴がいるんだぜ。この街の乞食鳥の間じゃ常識だ。尤も、今じゃこの街に乞食鳥なんていないから知らねえのは仕方ねえけどな」

怯える最後の一人の顎を揺らして乞食鳥達の相手は終了だ。気を失った4人を縄で縛って大八車に乗せて組合に向かう。

「よお、リリーこれの処理頼むわ」

いつものようにリリーに木札を渡すと、木札を読んだリリーが一瞬だけ眉間に皺を寄せた。反応はそれだけ、流石ベテラン、周りに悟られる様子もなくその後は淡々と処理を行っている。

「はい、処理完了です。お疲れ様でした」

「サンキュー。そう言えばリリー。ティッチの所の奴らって今日来ているか?」

結構話題になる賞金首の討伐だったけど、何事も無いかのように処理を終えたリリーにティッチ達の事を聞いてみる。

「訓練場にいると思いますけど?どうかしましたか?」

「久しぶりに乞食鳥が出からティッチ達に預けようと思ってな」

俺の言葉に納得したリリーを見て、俺は訓練場に向かった。

「ほら、エル。どんどん行くよ~」

「し、師匠!これ以上は~」

「ハッハッハッ。何言ってるんだいエル。まだ片手じゃないか」

訓練場に向かい俺が目にした光景は当り前だけどエロい光景じゃなかった。モレリアの指先から水色の光が伸び、逆にエルメトラ神の指先からは赤い光が伸びて互いに絡み合い優位に立とうと蠢き合っていた。お前らジェダイの騎士でも目指してんのか?

「改めてみるとモレリアの魔法の技術は凄いな。全員見ながらでもいいから真似してみるんだ」

そしてそれを取り囲んで真面目な顔で見ているティッチ達『柔軟に行こう』の面々。

「何してんだ?」

「やあ、ベイル。暇だからエルの修行に付き合っているだけだよ」

俺が声を掛けると何事も無いように答えてくるモレリア。ただ、相手しているエルメトラ神は辛そうなんだけど?大丈夫か?

「いや、モレリアじゃなくてティッチ達に用事なんだ」

涼しい顔しているモレリアにドン引きしながらティッチに声をかける。

「何だ?今は少し忙しい、後にしてくれないか?」

ティッチの奴はモレリア達の修行を一心不乱に書き殴っている。何か役に立つのか?

「・・・乞食鳥捕まえたぞ」

「・・・・・ほう?」

一心不乱に描いていた手を止めて邪悪な笑みで俺を見てくるティッチ。怖えよその顔。

「組合の外の俺の大八車に縛って置いてある。数は4人。3級らしい。大八車は壊すなよ」

俺の言葉に更に笑みを深めるティッチ。だから怖えって。

「全員!緊急任務!乞食鳥!パターン20!各自作業に当たれ!」

すぐに大声でメンバーに指示を出すティッチ。そしてそれを聞いて動き出すメンバー達。パターン20って・・・どんだけパターンあんだよ。しかもそれ聞いて迷わず動き出すってこいつら訓練されすぎだろ。

「ハァ!ハァ!し、師匠。全く顔色変えてませんし、どれだけ凄いんですか?」

「うーん。こういうのは才能よりも慣れだからねえ。日々の訓練を怠らないのがコツかなあ」

ティッチ達が去ってしばらくするとモレリア達の修行も終わったみたいだ。良く分からんが、モレリアの圧勝だったみたいだ。当り前だけどこいつ唯の風俗好きな巨乳ってだけじゃないんだな。流石は4級組合員。

「それじゃあ、僕たちは戻るけど、ベイルはどうする?ここで訓練でもするのかい?」

「いや、俺も戻るぜ」

今頃は『二本爪』と『斑』の手配書に×がつけられて騒ぎになっているだろうから、時間潰しもこんぐらいで大丈夫だろう。

って事でモレリア達と組合に戻ると、思っていた通り騒ぎになっていた。

「ついにやりやがったか」

「あーあ、出会ってたら俺が倒してたのによー」

「お前じゃ無理だよ」

「おっ!何だ喧嘩売ってんのか?」

手配書の前に人だかりで出来てワイワイ騒いでいる。ククク、計画通りだぜ。後は倒したのは俺だってバラシて、チヤホヤされた所で機嫌よく今日は俺の奢りって言えば俺の計画は完成だ。物語の中じゃ大金入ったら、周りの連中に奢ると、そこから何かしらの良イベントが発生するってのがよくある話だからな。俺はそれを狙ってたんだ。

「よお、何騒いでんだ?」

手配書前で騒いでいる一人に声を掛ける。

「ああ、今日賞金首が倒されたんだよ」

知っているぜ。しかも二匹。倒したの俺。

「しかも三匹だぜ!三匹!凄くねえ」

・・・・・・あれ?

「ちょ、ちょっと待て。何で三匹?二匹の間違いだろ?」

「いや、三匹で間違ってねえよ。手配書見てみろよ」

言われて掲示板に張ってある手配書を見ると、並んだ手配書の中にある『二本爪』と『斑』には間違いなく×がついている。そしてもう一つ×のついたかなり古い手配書。

「だ・・・『達磨』だと・・・」

もう一枚の×のついた手配書に俺は自分の目を疑った。こいつは俺がコーバスに来た時から賞金が懸けられていた太ったオーガの事だ。オーガだってのもあるが、こいつはコーバス以外でも暴れ回って被害がでかいので、賞金額は最初俺が見た時は50万だったが、どんどん釣り上げられて今じゃ200万となっている。

これだけの額だと『達磨』を狙う奴らも多いが、中々尻尾を掴ませねえ頭のいい奴だ。そんな『達磨』を誰かが倒した。・・・おいおい、俺の方の話題がかなり薄くなったじゃねえか。

「しかもこの三匹全部コーバスの組合員が倒したんだってよ」

「ま、マジか!」

二匹は俺だけど『達磨』もコーバスなのか?どっか別の街の組合員が倒したって連絡が来たから×ついたんじゃねえのか?

「更にだ!聞いて驚け!あの『達磨』を討伐したのは何とあの『全てに打ち勝つ』だ!あいつら2級なのにヤバくねえ?」

またあいつらか!ヤバい!この流れはヤバいぞ!あいつら絶対主人公ムーブかましてくる。その前に先に俺が・・・・。

「しかも喜べ!ベイル!今日はあいつらの奢りだってよ!」

・・・・・・

・・・・・

ぎゃあああああああああああああ!

「おいおい、泣くほど嬉しいのか?ベイルって『達磨』に恨みでもあったのか?」

「ああ、『達磨』にはたった今、恨みが出来たぜ」

「?」

せめて後一日だけ倒されねえでいてくれるだけで良かったのに、『達磨』の馬鹿野郎!