軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

155.こん棒探し①

「それで?明日、ベイルはどうすんだ?」

「俺は、もうすぐ金が無くなりそうだから、明日こん棒探しに行って明後日から依頼受けようかな」

「そう言えば、ベイルのこん棒どうしたんですか?帰ってきてから持ち歩いているの見てませんね」

ああ、どう説明すっかなあ。秘書女に斬られて短くなったこん棒は、地竜の嬢ちゃんに喰われたんだよなあ。

「ねえ、腐様。その木食べていい?」

花見しながら酒を飲んでいると、地竜の嬢ちゃんは酔ったのか、突然訳分からない事を言って、俺のこん棒を指差した。

「これ?こん棒だぞ?食い物じゃねえ」

「大丈夫、すきっ腹で飲むよりマシ」

言っている事はよく分かんねえけど、こん棒欲しいって事だな。

「このこん棒捨てるつもりだったから、あげてもいいぜ」

そう言って地竜の嬢ちゃんに渡すと、冗談じゃなくて、マジで口に入れてバリバリ食い始めたんだ。

「おいおい、体を張った宴会芸だったら止めろよ」

「違う、胃が空っぽだから何か入れたいだけ」

ええー、こいつら何も食わなくても生きていけるんだろ?

「それとこれとは別」

もうよく分かんねえから、こいつの好きにさせよう。

「腹壊しても俺のせいにすんなよ。大体、その木硬くて食えたもんじゃねえだろ」

一応俺の責任じゃない事だけは伝えておく。地竜の嬢ちゃんがコクリと頷いたので、後でおかしな文句は言われなさそうだ。

「大丈夫、昔、食べたお城より柔らかい」

「・・・・城?」

「そうお城。凄く硬かった」

んん?今何て言った?ちょっとよく理解できなかったぞ。

頭を捻る俺に緑竜の兄ちゃんが教えてくれた。

「土のは若い時に腹減りすぎて、近くにあった城を食べた事があるんだとよ」

えええええ!食いしん坊キャラにしては、ちょっと個性出し過ぎじゃない?せめてミミズ・・・・いや、あれもねえよ!

みたいなやり取りがあって、俺のこん棒は今頃地竜の嬢ちゃんが出したうんこの中だ。

だから、こん棒を探しにいかなくちゃならねえ。オッサンが使ってた斧は俺が『身体強化』使って振っても耐えれたから、貰って来ればよかったか?いや、流石に全力で使えばあの斧も耐えられるとは思えねえし、あれだけデカい斧なら、オッサンのだってバレるから捨てておいて良かったはず。

「俺のこん棒よく見たら、ヒビ入ってたから捨てた。欠陥品売りつけやがって、今度オーガに文句言いに行かねえとな」

まあ、こういう事にしておけばいいだろ。

「そのオーガ、ベイルが殺したじゃねえか。それに殺して奪ったんだから売りつけてねえだろ」

ゲレロはうるさいなあ。細かい事はどうでもいいんだよ。

「それなら明日、私もベイルさんについていってもいいですか?」

「ああ?何でてめえがついてくるんだ?依頼じゃねえんだぞ?」

ニシアが意味分かんねえ事を言い出した。金にもならねえのについてくるとは・・・こいつ俺を人気の無い所で後ろからバッサリやるつもりだな?

「丁度いいのでこの辺の狩場について教えてもらおうかなと」

「尤もらしい事言っているが、てめえ俺を殺すつもりだろ!駄目だ!そんな奴と一緒に行動出来ねえ!」

「ええ?何で私がベイルさんを殺すってなるんですか?殺しませんよ」

「いーや、お前は顔が信用出来ねえ!」

「さっき親友って言ったじゃないですか」

「言ったかもしれねえが、エールの切れ目が縁の切れ目だ」

・・・・・・

「トレオンさん、これってここでエール奢ってもまた同じ事の繰り返しになりますよね?」

「まあ、そうだな。仕方がねえから、ベイルの扱い方を教えてやる。こいつは馬鹿で単純だが、たまに扱い間違えると暴れたりして危険だから注意が必要だ」

俺ってトレオンの中じゃ危険物なの?甲、乙、丙どの免許が必要だ!

「取り合えず俺達は今日は帰るぜ。それじゃあまた明日な」

何か言いたげなニシアを連れて、トレオンは帰っていった。俺を危険物扱いしたトレオンは後日しっかり話し合いの場を設けさせてもらおう。

「じゃあ、俺も娼館行ってくる。明日から俺達も依頼受けるからしばらく留守にするぞ。シリトラの所もだろ?」

「そうですね。私達も指名依頼が何件か来ていたので、明日から動きます。ベイルはこん棒探しですか?」

「おう、明日ゴドリックからジロウ達借りて、こん棒探しの旅だ。あいつらがいれば、多分三日もあればオーガからこん棒奪って戻って来れるだろ」

「「・・・・・」」

シリトラとゲレロがジッと俺を見てくる。な、何?俺変な事言った?

「それじゃあ、僕達が依頼終わって戻ってきたら、ベイルの自慢のこん棒見せてもらえるんだね?」

「・・ああ、見せてやるけどよ・・・モレリアが言うと卑猥な言葉にしか聞こえねえぞ」

そう言って、自分の股間に視線を落とす。

・・・・

・・・・

いやー、流石の俺でもこん棒並みとは言えねえよ。

って思った所で俺の記憶は無くなっている。

後でゲレロが笑いながら教えてくれた所によると、俺が下を向いて馬鹿な事を考え、油断していた所にモレリアの蹴りがキレイに決まったそうだ。

モレリアの奴、あの程度の冗談で、人を気絶させる蹴りを放つなんてマジで信じられねえ!

翌朝俺は馴染の宿で目を覚ました。

「痛っ!・・・頭痛ええ。昨日飲み過ぎたか?どうやって宿に戻って来たか覚えてねえ」

頭の痛みに耐えつつ、自分の財布がある事を確認して安心する。ベロベロに酔っぱらうと、たまに落としたのか、スられたのか分からねえけど、財布が無くて枕を濡らす事があるからな。今回は大丈夫なようで良かった。中身も無事だ。

そうして頭の痛みに耐えて宿の食堂に行くと、トレオンとニシア?とかいう奴が俺を待っていた。

「おーい、親父、朝飯頼む」

「今昼前ですよ?」

「ベイルはもうちょい早起きしろよ」

宿の親父に朝飯頼んでトレオン達の机に座ると、呆れた二人からこの言葉だ。どうせお前ら馬負けて暇になったんだろ。

「うるせえなあ、依頼受けてない時は好きにさせろよ。それでお前ら何の用だ?」

「今日お前のこん棒探しのついでに、ニシアに狩場説明するって言ったじゃねえか」

・・・・・言ったか?飲み過ぎて覚えてねえなあ。

「おい、親父。俺昨日どうやって帰って来た?」

丁度朝飯持ってきてくれた親父に朝飯代の500ジェリーを渡しながら、昨日の事を聞いてみる。

「昨日はベイルさん潰れてましたよ。だからエルフの女性二人・・・いや、一人がベイルさんを背負って宿まで連れてきてくれました。もう一人は流石にあの身長ではベイルさん背負えませんしね」

って事はシリトラとモレリアだろうな。あいつらと飲んでたのは覚えているけど、潰れる程飲んだ記憶がねえ。

「何だ?ベイルはまた酔い潰れたのか?」

「みたいだな。今度モレリア達に礼を言っとかねえとな」

あいつらには今度エール奢るか。

「で?お前らと、こん棒探し?俺そんな事言ったか?」

「言った、言った。ジロウ達と探すんだろ?」

あれ?ジロウ達と探すのは考えていたから、本当に約束したみたいだな。

「そんじゃあ、先にゴドリックの所に行って、ジロウ達使わせてくれないか頼んできてくれ」

「お前、それ昨日頼まれたから朝一で行ってきたぞ。ジロウ達が待ってるから急げ」

おお!昨日のうちに指示しているとか、やっぱり俺は酒飲んでいても押さえるポイントは押さえているな。

「すみませんが、先生は現在王都に行って不在です」

「そうなん?そうなると俺の頼みって無理な感じ?」

あの後トレオン達とゴドリックを尋ねたんだけど、ゴドリックは王都に行って不在で、リーゴが対応してくれた。

「いえ、先生からはベイルさんが来たら、街道の警備よりもそっちを優先するよう言われています。それに今朝連絡もあったので、ジロウ達を準備させています。ただ、オクロウは外に出したら駄目と言われています」

オクロウはさっきチラッと見たが、パンツの山で気持ちよさそうに寝てたからなあ。あいつは今じゃ性病判別機として、近隣の街や村の女から毎日パンツ与えられて第二の人生を歩んでいる。

「街道警備はいいのか?」

「ええ、最近はジロウ達も知られたからか、何も無い事が多くてジロウ達もストレスが溜まっているんです」

そう言う事なら遠慮なくジロウ達を貸してもらうか。

「・・・・ええっと・・・本当に襲わないんですよね?」

ジロウ、サブロウ、シロウが交互にニシアの臭いを嗅いで、顔を『クワッ』として去っていく度にニシアが情けない声をあげる。臭いんか?ニシア臭いんか?

「大丈夫だからビビんじゃねえ。ジロウ達は俺の言う事はしっかり守る。カルガー風に言えば『良い子っす!』だからな」

「このゴブリンもですか?良い子に全然見えないんですけど・・・」

ゴブ一は、ゴドリックから買って貰った高そうな剣を抜いて、パンパンと手で叩きながら、ニシアを下から睨みつけ、周囲の警戒に戻る。時間が経つと、今度は剣で肩をトントン叩きながら、ニシアに近づいて睨みつけてから警戒に戻る。その姿はコーバス組合員にそっくりだ。

・・・・・

うーん。なんかゴブ一、チンピラみたいだなあ。コーバスの連中の悪い影響受けたのかなあ。あいつら悪い見本だから真似しちゃ駄目なんだよ。

「多分、大丈夫。気にすんな。もし襲ってもニシアが死ぬ前には止めてやるよ」

「もうちょっと早く止めて下さい!!」

「よーし、この辺でいいだろう」

この辺の狩場だとよく拠点にしている所で足を止める。幸いこの場所に他に人や荷物はないので、ここを拠点にしても問題ない。荷物を降ろして、野営の準備だ。取り合えずここには1泊しかしねえから、荷物を降ろして、床に布敷いて、後は枯れ木集めて火起こしすれば準備完了だ。

「それで?これからどうすんだ?」

「別にどうもしねえよ。明日はもうちょい奥に行ってジロウ達にこん棒探させるだけだ。なんなら今から行ってきてもいいぞ」

冗談のつもりで言ったけど、ジロウ達は喜んで森の奥に消えていった。

・・・・あれー?

「行っちゃいましたね」

「おい、ベイル、ジロウ達、結構な強さの魔物だろ、解き放って大丈夫か?」

「大丈夫。ジロウ達はちゃんと言いつけ守って帰ってきてくれる。帰ってこなくても、あいつらは森で逞しく生きてくれるさ」

「いや、あんなヤベエのが森で逞しく生きられても困るんですけど・・・襲われたら絶対勝てないですよ」

「そん時はトレオンを餌に誘い出す」

「何で俺なんだよ!ふざけんな!ジロウ達相手じゃ洒落にならねえだろ!」

「じゃあ、ニシアにするか」

「『じゃあ』って何ですか!」

冗談じゃねえか、そんなに怒るなよ。