軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

137.タロウとの散歩

「おお!タロウ!久しぶりだな。元気そうじゃねえか。そいつらが新人か?」

翌日はタロウと遊ぶってんで、アーリット達のハウス前で感動の再会だ。腹を見せているタロウの顔を撫でながら、カルガーの連れた3匹のワイルドウルフを顎で指す。

「そうっす。この子達が新しい家族のマル、メイ、ミミっす」

こいつらがカルガーが王都で新しく懐かせた3匹のレッサーウルフ・・・今は進化してワイルドウルフになっている。

「シーワンも久しぶりだな」

3匹を連れたシーワンにも挨拶する。当たり前だけど、3匹はシーワンに懐いてるな。

「お久しぶりです。ベイルさん。先生からもベイルさんの事は手紙で教えて貰っています。色々協力ありがとうございます。特にオークは大変だったでしょう」

「おう、あれメッチャクチャ大変だった。リーゴがヤバいぐらいキレてマジで俺らでもビビったぐらいだ」

「本当に申し訳ございませんでした」

深々と頭下げられても別にシーワンに謝って欲しい訳じゃねえんだ。一緒にいてリーゴの意図を汲んで欲しかったんだ。

「俺らも納得して受けたから気にすんな、それで?今日はシーワンもついてくるのか?」

「いえ、今日はベイルさんにお任せしますよ」

今日は久しぶりだから、タロウと一日遊ぶ予定だ。そうなると体力無い学者のシーワンは途中で絶対ダウンするから、良い判断だ。

「ゲレロさん達はどうしたっすか?」

「トレオンは馬、ゲレロは娼館、モレリアは寝てる。シリトラはしらねえ」

「コーバスにいる時と変わらないっすね」

そうだよ。俺らはどこ行っても変わらねえよ。組合員なんてそんなもんだ。

「そんじゃあ、行くか。俺がタロウ乗るぞ?」

「いいっすよ」

って言われてタロウに乗って門に向かったんだが、どうも周りの様子がおかしい。王都でもタロウの事は知られているみたいだが、その背に見た事ねえ俺が乗っているのが珍しいみたいだ。

「なあ、カルガー、何か俺目立ってねえ?」

「そりゃあ、タロウに座って、何か食べるの許されるのなんて、ベイルさんぐらいっすよ。多分、自分がやってもタロウ嫌がるっすよ」

「え?そうなん?タロウ?これ嫌だった?嫌ならワンって言え」

「・・・・・・・」

うん、何も言わねえ。逆に尻尾ブンブン振っているから喜んでいるぞ。

「外に出たけど、どこに行く?」

タロウも喜んでいるから周りの視線は気にせず外に出た所でカルガーにどこに向かうか聞いてみる。今日は一緒に遊ぶってぐらいしか聞いてねえからな。

「最初はいつもの散歩にするっす」

「おう、分かった」

って軽く返事したんだけど、カルガーの犬好きを忘れてた。まさか、いつもの散歩コースが鐘3つはかかるとは思わなかった。でも思い出した、そう言えばコーバスにいた時からカルガーは、タロウ達とこれぐらい普通に遊んでたわ。

そうして鐘3つたっぷり散歩した後、タロウはまだまだ元気だけど、ワイルドウルフ3匹は流石に息があがってる。俺も上に乗っているだけだけど疲れたぜ。

「この辺で軽く休憩してから帰るのがいつもの散歩っす」

平気そうな顔しているカルガー。こいつたまに降りて一緒に走ってたから、体力お化けだ。

「いつもの散歩ってレベルじゃねえ。がっつり鐘3つは経っているぞ」

「これでもタロウはまだ足りてないっすよ。だから休憩終わったら、行先はベイルさんに任せるっす」

任せるって言われてもなあ。今自分がどこにいるのかすら分かんねえ。ここで置いて行かれたら確実に迷子になる自信がある。そうなると、まずは自分の位置の把握だな。高い山が見えるから、まずはあそこの頂上に行ってみるか。

「カルガー、それじゃあ、あそこに見える高い山の頂上目指すぞ。そこから次の目的地を探す」

「トンガリ山っすね。何かありそうな雰囲気のある山っすけど、頂上には何もないっすよ」

頂上に剣が突き刺さってそうな山だけど、何も無いのか。山のヌシとかは?

「ヌシもいないっすよ」

聞いてないのに何で分かった?俺の思考を読むな!

結構高く険しい山だったけど、タロウの奴、軽く登りやがった。こいつ疲れる事あるのかな?

そうして登った山からの眺めは絶景だった。周りにこの山以上に高い山は無いから360度の大パノラマ。空飛べばこの景色は簡単に味わえるけど、下から登ってきたらまた違って見えるぜ

「おお!良い眺めじゃねえか!ここまで登ってきた甲斐はあったぜ」

「ずっとタロウに乗っていた人が言う言葉じゃないっす」

カルガーは細けえなあ。お前も3匹のワイルドウルフに運んでもらったじゃねえか。

「おお!あっちが王都か!結構離れてるな。ここから魔法ぶち込んだら怒られるかな?」

「ベイルさん。頼むっすから王都で冗談でもそんな不謹慎な事言っちゃ駄目っすよ。速攻処刑っす」

「冗談だって、冗談。そもそも俺魔法使えねえよ(嘘だけど)」

「マジでここはコーバスじゃないっすからね。出鱈目だとしても国に不敬な事言えば、即通報されるっすから気をつけて下さい」

「はいはい、分かってるっての」

やるつもりは無いけど、ここから全力で魔法ぶっ放せば王都は消し飛ばせるって所か・・・いや、最近鈍っているから厳しいか?・・・・うん?何か光った?

そんな事を考えて周りの景色を堪能していたら、遠くの方で何かがキラリと光った気がした。

「なあ、カルガー。今あっちの方・・・あの崖の下辺りで何か光らなかったか?」

「いえ、自分は何も見えなかったっす」

俺の指差した方は、王都からトンガリ山を挟んでほぼ対角にある崖の下。流石にあれだけ距離があるから、俺の勘違いか?

「そうか。気のせいだったか」

「タロウは見えたっすか?」

「ワン!」

・・・・・・

うん?今の『ワン』はどっちの意味だ?

「マル、メイ、ミミはどうっすか?見えたっすか?」

・・・・・・

こっちは意味分かってねえのか、首を傾げているような気がする。言葉を理解しているのか絶妙に分かんねえ。

「タロウは見えなかったんだな?」

「・・・・・」

「見えたのか?」

「ワン!」

おいおい。マジか?

カルガーと二人で顔を見合わせる。

タロウも見えたって事は、これ絶対俺の勘違いじゃねえよ。あんな森の奥の崖下に光る何かあるって事だ。もうこうなってくると、俺のセンサーにビンビン反応してる。

「カルガー!多分あそこに野盗の巣があるぞ!他の連中に取られる前に潰してお宝ゲットだぜ!」

「え?いや、ちょっと待って。もしかしたら組合員が狩りしているだけかもしれないっすよ!」

「そんな訳ねえ!王都の連中があんなところで狩りしているはずが無えんだ!俺には分かる!」

「来て4日で王都の何を分かったっすか?それにあの辺りは王都の管轄じゃないはずっす」

そうなん?でもそんなの関係ねえ。俺はもう止まらねえぞ。あの巣を潰して宝手に入れたら、持って帰れる酒が更に増えるんだ!ウイスキーを飲む俺を見て、ヒビット達が羨ましがる姿を肴にする・・・最高だ。もう誰も俺を止められねえ。

「行くぞ!タロウ!あいつらの金目の物は全部俺のものだ!!ハハハハハ!!」

「ワオーーーーン!!」

「あーもう!何で野盗よりも野盗っぽい事言ってるんっすか!ほら。タロウが悪の道に・・・本当に最悪っす」

タロウに乗って全力で駆ける俺とタロウを、カルガー達が諦めたようについてくる。別に嫌ならついてこなくていいんだぞ?

で、さっき山の上から見えた怪しい場所に着いたんだけど、誰もいねえし、怪しい場所も無い。

「あれー?この辺だと思ったけどなあ・・・違ったか?」

「何もないっすね。そもそもこの辺で最近野盗が出たって話はないっすよ」

ああ?何だよ。って事は俺の見間違いだったか。でもタロウも見えたって言ってるんだよな。

「タロウ、どっか怪しい所分かんねえか?」

・・・・・

「ワン!」

俺が聞くとタロウはテクテクと歩いて、何もない崖近くの地面で止まり一鳴きした。

「ここか?見た感じどこも怪しくねえけど・・・・いや、ちょっと待て、ここ音が違え。ここだけ地面じゃねえ。木の板だ!」

「うわ!本当っす。ここ木の板に上手に地面の絵描いてるだけっす。こんなの気付くタロウは凄いっすねえ。わしゃわしゃー」

「「「わん!わん!」」」

「ああ!マル、メイ、ミミもお利口さんっすよ。ほらー。わしゃわしゃ!」

「おい、カルガー。遊んでるなら、俺一人で中入るぞ」

「待つっす。自分も行くっす」

俺が声をかけると、慌ててタロウに運ばせていた盾や鎧を装備したカルガー。こう言う所で装備をしっかり持ってきているのは俺達の教育のおかげだな。俺?俺はこん棒があればいい。皮鎧でも動きにくいもん。

「準備完了したな。タロウ達はここで待って怪しい奴がきたら捕まえておいてくれ。そんじゃあ開けるぞ」

タロウ達へ指示を出した後、地面に置かれた観音開きになっている板を開・・・・開かねえ。

「カギかかっているっすね。こんな厳重な野盗の巣は初めてっす」

普通野盗はその辺の自然な洞窟や、廃村を根城にしているんだけど、ここは地面に穴掘ってるから、かなり手がかかっている巣だ。しかも宝があるような場所は鍵付きだったりする事もあるが、入口から鍵付きは初めて見たぜ。

「こんだけ厳重ならお宝相当貯め込んでるぞ。この巣は絶対大当たりだ」

この木の扉はこん棒で殴って破壊すれば、鍵なんて関係ねえ。そうして木の扉を破壊したら、今度はまた扉が出てきた。

「今度は鉄格子の扉かよ。しかもまた鍵付き。マジでここまで厳重な巣は初めて見た」

「どうするっすか?」

うーん。周りを見た所、人工物はないから、この鉄格子の扉は埋められているだけだ。だったら掘り起こせばいい。って事でカルガーと2人で周りの土を掘っていくと、思った通り、牢に使われているような扉付きの鉄格子が埋められていた。それをタロウ達にも手伝ってもらい、横にズラすと、地面にポッカリと穴が開いてるだけになった。

「普通扉の鍵をどうしようって考えるのに、扉自体を動かすって、どういう発想しているっすか?」

「カルガー、いつも視野を広く持てって教えただろう」

「そんな事一言も言われた事ないっす」

「常に全体をみるんだ。一つの事に囚われていては全体は見えん!さーて宝だ。宝。俺のもんだ」

「言ったそばから宝に囚われてないっすか?」

王都でツッコミだけは成長したカルガーを無視して、俺は穴に突入する。ご丁寧に設置してある梯子を降りて、しばらく進むとまた木の扉が出てきた。当然鍵付きだがこん棒でぶっ壊して先に進むと広けた場所が見えてきた。明かりはついてねえが、中から扉に鍵がかかっていたんだ、誰かがいるのは確実だ。

「悪いごはいねがあー」

「こんな所に隠れている奴は悪い奴しかいないっすよ」

「いや、もしかしたら100年に一度しか外に出ねえ、人嫌いの引きこもりがいるかもしれねえだろ」

「それ絶対人じゃないっすよ。それよりもベイルさん、軽く作戦立てるっす」