軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第三十九話 補償内容

「逮捕……。そ、そんなに罪が重かったのですか?」

「当たり前だろっ!」

ギルド長が俺の発言に強く反応したところで、隣にいた受付嬢が耳元でぼそりとなにかを呟いた。

「当たり前だ……ですね。今回はたまたま生きていてくれたから良いものの、普通ならば死んでいた可能性の方が高いからな……ですから。罪的には殺人と同等の罪を受けることになるはず……思います」

取って付けたような下手くそなギルド長さんの敬語に、笑ってはいけない状況なのに笑いそうになってしまう。

恐らくだけど、受付嬢さんに敬語を使うように耳打ちされたのだろうな。

「そうなんですか。確かに一歩間違えていれば死んでましたが、そこまで重いことだとは思っていませんでした。……あと、敬語は使わなくても大丈夫ですよ。私は気にしませんので」

「……っほ、本当か。それは非常に助かる。育ちが悪く、言葉を扱えなくてすまないな。スムーズに話を進めるためにも普通に話させてもらう」

敬語を使わなくていいことを伝えると、ギルド長さんはニッと嬉しそうに笑った。

前回、鑑定してもらった時もそうだったように、この人は堅苦しいのが苦手のようだな。

「それでは話を戻させてもらう。殺人……今回は殺人未遂だが、一般常識で考えれば十分に重い罪だ。逆に殺されかけて、そこまで怒り狂っていないルインに俺は驚いてるぐらいだな」

やはり俺がおかしいのか。

長年、治療師ギルドで無能な奴が全責任を取れと教え込まされていたせいで、感覚が麻痺しているのかもしれない。

もし治療師ギルドであれば、確実に【白のフェイラー】が無能な俺を囮に逃げ帰ったことを褒められているはずだからな。

「そうなんですね。俺はちょっと認識がズレているのかもしれません」

「ああ、正直ズレすぎてるとも思う。ちなみにだが、もし今回の件で嘘を言っていたらルインが捕まることになるからな?」

「はい。事実しか申し上げていないので大丈夫です」

俺の反応があまりにも怪しかったのか、嘘の可能性を考えさせてしまったようだ。

ここは嘘をついていないことを、しっかり言っておかないと。

「嘘をついていないなら大丈夫だ。……それで二つ目の条件って言うのはなんだ?」

「二つ目は今後も冒険者の斡旋をお願いしたいと言うことです。今回の一件で斡旋してもらえなくなったら困りますので」

「……いや、これも当たり前だと思うが、もちろん斡旋させてもらうぞ。それに過去のクエスト達成から見て、出来る限り優良なパーティを選ばせて貰う。それから今後このグレゼスタでは買取と依頼に関する手数料はなし。……後は、今回の依頼失敗による依頼費用の補填も冒険者ギルドでさせていただく予定だ」

あまりの好待遇に口をあんぐりと開けてしまう。

まさに一を言ったら十が返ってきた感じ。

優良パーティの斡旋も大きいが、なによりも手数料がなくなるのが大きい。

買取は俺の生命線とも言えるからな。

「そこまでの好待遇して頂けるんですね。ありがとうございます!」

「いや……だから、ありがとうございますはおかしいんだよなぁ」

またギルド長から、疑いの視線を向けられてしまった。

でも正直、好待遇すぎて俺からしたらありがとうございますとしか言えない。

あとは……【青の同盟】さんと一緒にクエストが出来たら完璧なんだけどな。

「あの今回、【青の同盟】さんが俺を助けてくれたのは知っていますか?」

「もちろん知っている。……糞ほど、金を分捕られたからな」

「それを前提でもう一つお願いなのですが、【青の同盟】さんの追い出しをなんとかなくしては貰えないでしょうか」

俺は無茶で一人よがりの勝手なお願いと分かりつつも、ギルド長さんにそう頼んだ。

【青の同盟】の皆さんともう少し一緒にいて、色々と学びたい。

今回の一件でより、強く思ってしまったのだ。

ただ……そんな俺のお願いにギルド長さんの顔は晴れなかった。

「残念だが、それは無理な話だな。追い出しに関しては、今回の一件とはまた別種の問題なんだ。それに……【青の同盟】にとってもここにいて燻るよりかは、違う街を拠点にした方が彼らの成長に繋がると俺は思っている」

ギルド長さんはアーメッドさんが前にいたパーティのことを言っているのだろうか。

確か【蒼の宝玉】。

そこのパーティとのいざこざのせいで、Dランクに上がってはEランクに落とされているとディオンさんが言っていたもんな。

「…………そうですか。残念ですが、分かりました。今回は色々と対応頂きありがとうございました」

「もう一度謝罪させてもらうが、こちらこそ迷惑をかけてしまい本当にすまなかった。詳しい補償金などは受付嬢から聞いてほしい。それと【白のフェイラー】の状況は追って説明させてもらう。……場合によってはルインを招集することになるかもしれないから、そこだけは理解してくれ」

「分かりました。ご丁寧にありがとうございます」

俺は後ろの部屋へ戻っていくギルド長さんに、対応してくれたお礼を伝えた。

冒険者のギルド長があの人だったのは驚いたが、ブランドンとは違ってちゃんとしたギルド長だったように思えた。