軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二百六十四話 良い雰囲気

「ふぅー、なんとかセーフエリアまで戻ってこれましたね。ロザリーさんも動きが良くなってましたし一安心です」

「本当にご迷惑お掛け致しました……。砂漠エリアから出てからは多少でしたが動けたので良かったです」

「それにしても二十四階層は酷い。ほとんど戦闘に参加しなかった」

「それはアルナさんが言葉で伝えろって言ってくれたから、そのお言葉に甘えただけです! 体が思うように動かなかったのは本当ですしね」

アルナさんがロザリーさんを叱った後、俺達は二十四階層の階段前まで攻略してからセーフエリアへと引き返してきた。

場は上手く収まったけど、やはり精神的な問題はそう簡単には変えられるものではなく、アルナさんが今言った通りロザリーさんはその後も思うように動けずに戦闘には参加できなかった。

ただ、少しでも無理と判断した瞬間には俺達にそのことを伝えてくれたため、ロザリーさんは俺の作った植物やアイテムを使っての後衛へと回ることで、攻略は円滑に進めることが出来た。

戻っている最中は時折、前衛に移って攻撃参加もしていたため余裕も生まれてきている感じも見えたし、地上に戻らずこのまま攻略を続行しても大丈夫だと感じた。

「引き返している時は攻撃参加も出来ていましたし、俺は頑張ってくれていたと思いますよ」

「ルインさんとアルナさんのお陰で、戦闘中でも心に余裕が持てましたから! ……でも、本当に足を引っ張ってしまってごめんなさい」

「気にしなくて大丈夫です。さっきアルナさんも言ってましたが、言葉にさえしてくれれば問題ないですから! 今回はロザリーさんが動けなくなりましたが、俺が足を引っ張ることだってあるかもしれませんし、もしかしたらアルナさんが足を引っ張ることだってあるかもしれません。そんな時にみんなで支え合うのがパーティだと俺は思います」

そう伝えると、ロザリーさんは目頭に少し涙を溜めて小さく頷いた。

みんなで喜びや苦しみを分かち合いながら支え合う、【鉄の歯車】のようなパーティに少しでも近づけたら嬉しいな。

あとはアーメッドさんのように、俺が強くて全員を引っ張れるリーダーになれれば完璧なんだけど……

それはまだまだ遠い未来な気がする。

「良いムードなところ悪いけど、もうお腹空いた」

「そうですね。今日はいっぱい食べて明日に備えましょう。残っている食料的に、いっぱい食べても後三日は食料のことを考えずに攻略出来そうですからね」

俺は持ち込んだ備蓄を確認しながら伝える。

「あの……。何もしてないんですけど私も食べて大丈夫ですか?」

「当たり前ですよ! 何もしてないっていっても二十四階層までは大活躍でしたし、そもそも活躍してないからご飯は抜きで! なんて言いませんよ」

「ん。……次、自虐したら思い切りデコピンする」

「えっ! ほんのちょっと前まで、アルナさんが私を責めてたじゃないですか」

「私が責めるのはいい。でも、自虐は一々反応しなくちゃいけないから面倒臭い」

「ひ、ひどい……!」

そんな会話をしながら俺達は料理を作り、非常に良い雰囲気の状態で体を休めることが出来た。

そして、その翌日。

「左からブラックコブラが来てますね。私がブラックコブラを倒しますので、ルインさんは正面の毒針鼠の群れをお願いします!」

「了解。粘着爆弾で一網打尽にします」

ロザリーさんと連携を取りながら、魔物の群れを次々屠っていく。

戦闘だけに集中できるようになってきたのか、動きのキレも戻ってきつつあるし安心して見ていられる。

念のため、アルナさんの矢によるカバーはロザリーさんメインで行ってはいるが……。

「あ、避けて」

「ちょっと! 危ないですって!」

ロザリーさんが立ち直ったことで通常矢から魔法矢に戻したのか、かなりの確率でこうして誤射をするようになった。

そのせいで、今じゃロザリーさんよりもアルナさんの方が迷惑をかけているぐらいなんだけど、これも全員で支えればなんとかなる。

それに本当に危なくなったらアルナさんは通常矢に戻す判断をするだろうし、その辺りの心配は一切していない。

立ち直ったばかりのロザリーさんに、負担を強いている状況はちょっとあれだけどな。

そんなことを考えつつ、俺は俺の仕事をするべく毒針鼠の群れに向かって粘着爆弾を投げ、動きを一気に封じる。

粘着に引っかからなかった毒針鼠を優先的に倒しつつ、無傷のまま毒針鼠の群れを倒しきった。

「毒針鼠の群れ、全て倒しました」

「こっちもブラックコブラの討伐完了です! アルナさん、あとはドライサラマンダーの狙い射ちお願いします」

「やってる。あと二匹、一匹……。完了」

「これで群れは全て倒せましたかね? 今までで一番良かったんじゃないでしょうか!」

ロザリーさん主体で行った戦闘だったが、良い立ち回りで倒しきることが出来た。

砂漠地帯は飛行する魔物が少ないため、粘着爆弾が相変わらず効きまくりだし、ロザリーさんが立ち直ったことで渓谷エリア以上に楽に戦闘を進められている。

砂漠エリアの厄介な点は、この蒸し暑い気温と歩きづらい地面。

それから敵の魔物に毒を持つ魔物が多いことだが、歩きづらいこと以外は【プラントマスター】による植物でなんとか出来るしこのエリアとは相性がいい。

魔物の数は渓谷エリアと比べても圧倒的に少ないし、初見での対応もしやすいからロザリーさんの精神状況とアルナさんの弓への対応次第では、渓谷エリアよりも遥かに楽に攻略出来るかもしれない。

そんな期待感を持てる一戦を終え、俺達はドンドンと先へと進んでいったのだった。