軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百七十九話 初めての宝箱

ソロダンジョン攻略二日目。

今朝の【青の同盟】の動向から、明日の朝には帰還することが予想されるため、ソロダンジョン攻略はまだ二日目だけど、恐らく一人で潜るのは今日で最後となる。

目標である第6階層は狙いつつ、無茶はせずにダンジョンに慣れることを最優先で今日はダンジョン攻略に挑む。

大きく深呼吸をしてからダンジョンへと入り、『一冊で分かるランダウストのダンジョン』の知識を体に染み込ませるように行動する。

遭遇する魔物に関してはエドワードさん式の戦闘法で即座に処理し、時間をかけないことを意識しながら立ち回った。

初日である程度体がダンジョンに慣れたのか、一昨日に初めてダンジョンに潜ったときよりも精神的に楽な状態で動けている。

それと、なんといっても暗視ポーションの効き目が凄い。

ポーションの効果を試すために、ダンジョンに潜ってからすぐに暗視ポーションを使用したのだが、真っ暗なダンジョンの内部がはっきりと見えている。

ダンジョンが暗いことには変わりないのだが、ダンジョン内が薄緑色のような色合いで見えており、なんとも言い難い感覚だ。

後は効果がどれくらい持続するのかが重要なのだが、暗視ポーションを使用してから約1時間が経過した今でも、効果が切れる気配は感じられない。

2時間程度持つのであれば値段から鑑みて、絶対に常備しておきたいアイテムになるのだが……感覚からして、2時間位ならば余裕で持続しそうな感じがある。

それから、ダンジョン慣れと暗視ポーションが合わさったお陰で、俺は前回探索を諦めた2階層を軽々突破し、あっさりと5階層まで潜ることに成功した。

俺が5階層に辿り着いたのは、ダンジョンに潜ってから約4時間半ほど。

暗視ポーションの効果はまだ切れておらず、切れる気配も未だ感じない。

銀貨7枚でこのクオリティは有用ポーション確定だし、ダンジョンに潜る際は複数本持ち歩くことが決定したな。

暗視ポーションは名前が気になり、お試し感覚で購入しただけなのだが、まさかここまでの代物だとは思っていなかった。

このポーションの発見だけで、今日のダンジョン攻略は成功したようなものだが、俺はダンジョン攻略2日目にして――とうとう宝箱を発見した。

第5階層から少しだけダンジョンの内部が変わり、洞窟っぽく視界が悪いことは同じなのだが、所々で草が生い茂っている部分が現れ始めたのだ。

その草の生い茂った部分には大抵魔物が潜んでいるのだが、そんな草の生い茂っている部分に隠れるように、置かれた宝箱を俺は見逃さなかった。

近くにいたスライムとゴブリンを処理してから、すぐに宝箱の中身の確認を行う。

宝箱で一番重要なのは、その宝箱の材質。

金>銀>銅>木……と材質によって、宝箱の中身の期待度が大きく変わるようで、金の宝箱ならば伝説級の強力なアイテムや装備、秘宝が入っている可能性が高いようなのだ。

そして話によれば、まだ一件しか確認されていないようではあるが、第1階層でも金の宝箱が発見されたケースもあるらしく、初心者の俺にとっては非常に心が湧き立つ情報なのだが……。

残念ながら、今回俺が見つけた宝箱の材質は木だった。

うーん……。流石にそんなに甘くはないよなぁ。

せめて銅が良かったが、木箱でもたまに良いアイテムが入っている可能性もあるようだし、気落ちせずに開けてみようと思う。

錠の部分を外して木箱の蓋を持ち上げると、木製特有の軋むような音を立てながら、宝箱の蓋はゆっくりと開いた。

材質は木なのだが蓋は意外な重さがあり、そのなんとも言えない重さが俺のワクワク感を引き立たせる。

宝箱の中身を覗くと、箱の中心に小さな赤い玉のようなものがポツンと置かれていた。

俺では持ち上げられない位の大きさの宝箱なのに、そんな宝箱の中身は極々小さな赤い玉のみ。

箱の中身を見て材質が木だった以上に落胆が大きいが、俺はそんな小さな赤い球を親指と人指し指で優しく摘まんで取り出す。

宙にかざしてよく見てみるが、赤く光り輝いているだけで結局何のアイテムなのかは分からないまま。

……これはハズレアイテムの香りがぷんぷんと臭ってくる。

ダンジョン内でずっと見てる訳にもいかないため、俺は赤い玉をまんまる印のホルダーにしまい、第5階層の探索を続行した。

それから特に苦戦することも珍しいことも起こらないまま5階層、6階層と攻略をし終え、俺は6階層の階段前へと辿り着いた。

この階段を下りた先が第7階層で、所謂ボスフロアと呼ばれる階層となる。

7階層のボスはミノタウロスという魔物。

牛の頭に筋骨隆々の人間のような肉体を持った魔物で、体長は3m超もあると本には記載されている。

ダンジョンモニターの映像でも何度か確認したことはあるが、ソロで挑めばかなり苦戦することが見て分かった。

装備している巨斧の振りが、速い上に一撃が非常に重いようで、大盾を持ったタンクが真正面から受け止めても吹き飛ばされるほど。

ただ、さすがに低階層のボスということだけあって攻略法は確立しているようで、パーティを組めさえすれば、役割を割り振ることで楽々と突破している姿の方が多く映し出されている。

折角6階層まで降りたのだし、お試しで戦ってみたい気持ちが湧いてくるが……今日はここで攻略を止めようと思う。

目標であった第6階層の攻略を達成できた上に、木箱ではあるが宝箱も見つけることが出来たしな。

現在も効果が持続している暗視ポーションの有用性も分かったし、なんといっても明日はいよいよ【青の同盟】さん達との久々の再会を果たせる日。

下手にミノタウロスに挑んで怪我でもしたら、折角の会う機会を逃してしまう可能性もある。

なんなら、二度と会えない可能性も無きにしも非ずだからな。

そんな考えから今日はここで攻略を終え、俺は地上への帰還を目指したのだった。