軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

026 ルクシアの問い

疑問は幾つもあるが、俺は改めて冷静に状況を整理することにした。

ルクシアがどうしてここにいるのか、その辺りはひとまずいい。

問題はこのままついてこられたら、本来の目的を果たせないということだ。

俺は探索を許可されていない第3階層を目指すつもりだし、ゲームの知識を駆使したギミック攻略を行うつもりでもある。

ルクシアを同行させてそれを行えば、間違いなく不審に思われるだろう。

ここは是が非でも拒絶しなければ――

(いや、待てよ)

――それ以上にまずい問題が、一つ存在する。

俺はちらりと、グレイの様子を窺う。

グレイはゲームと同様に、ミクやトールとパーティーを組んでいた。

このダンジョン実習では、主人公たちがとあるトラブルに巻き込まれる。

『ダンアカ』における、いわば一つ目のメインイベント。

そのトラブルを乗り越える過程で、主人公は覚醒し、ジョブを獲得するのだ。

なのに、だ。もしその場にルクシアがいたらどうなる?

敵が一蹴されて、主人公の覚醒フラグがへし折られてしまうだろう。

それはまずい。本当にシャレにならないくらいまずい。

そうなるくらいなら、ここは一旦ルクシアと行動し、隠しアイテムについてはまた別の機会に挑戦しに来る方が何倍もマシだ。

(……仕方ないか)

諦めた俺は、片手で額を押さえながら告げる。

「分かった。一緒に組もう、ルクシア」

「さっすがアレン! 分かってる~!」

そんな俺の心の内を知ってか知らずか、楽しそうに返事をするルクシア

こうして俺は、ルクシアと二人で行動することになった。

◇◆◇

「――はあッ!」

「ギャウン!?」「ギィィ!?」

俺が力強く短剣を振るうと、辺り一帯に魔物の悲鳴が木霊する。

ルクシアと探索を行うこと十数分。

第1階層で俺たちは、グレイウルフやスケルトンといった、5レベルにも満たない低ランクの魔物を倒していた。

……ゲームのシナリオを歪ませないためには仕方ない状況だが、勿体なさを感じてしまう。

そして、俺以上にそう思ったのはルクシアらしく、退屈そうに欠伸をしながら質問を投げかけてくる。

「ねえねえ、どうして下の階層に行かないの?」

「そりゃ、俺がヒーラーだからだけど……」

現状の 俺(アレン) の評価は、ジョブなしのグレイより一つ上の成績でアカデミーに合格した、不遇職のヒーラーでしかない。

本来の目的であった第3階層はもちろん、第2階層を探索することすら恐れて然るべきなのだ。

しかし、ルクシアは納得いかないとばかりに告げる。

「それが理由になるのかな?」

「どういう意味だ?」

「だってアレン、本当は弱くないでしょ? 今朝だって、ドロボーを軽く捻り倒してたじゃん」

「――――!?」

呼吸を忘れ、咄嗟に振り向く。

困惑する俺とは裏腹に、ルクシアは至極当然といった表情を浮かべていた。