軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

013 プロローグの終わり、そして始まり

エリーゼと別れ、寮の自室に戻った俺は、一週間も眠っていたという事実を改めて噛み締めていた。

いつの間にか、ステラアカデミーの入学式はもう目前に迫っている。

正直なところ、まだ自分が転生したという実感は薄い。

なにせ、アレンに転生してからちゃんと活動したのはまだ1~2時間程度。

眠っていた時間の方が遥かに長く、未だに夢でも見ているのかと思うほどだ。

「……けど、夢じゃないんだよな」

部屋の姿鏡に映るアレン・クロードを見る。

俺は確かに、アレンに転生したのだ。

「それにしても、アレンのことをよく知るエリーゼに会えたのは運が良かったな」

おかげで、ゲーム本編や設定資料集では語られなかったアレンの境遇について知ることができた。

アレンが、他にも適性のあるであろう剣士や魔法使いではなくヒーラーを選んだ理由は、想像以上に重たいものだったが……

そこに至る経緯と決意を知れたのは、俺にとっても大きな収穫だろう。

それに、他にもわかったことがある。

エリーゼの話によると、アレンの母親が亡くなったのは今から数か月前。

本当ならそこで、彼がヒーラーとして成長する理由はなくなったはず。

しかし、それからもアレンは努力を重ね、最弱職でありながらアカデミーに入学するまでに至った。

彼の心のうちまで図ることはできないが……並々ならぬ葛藤があったことには違いない。

せめて俺にできるのは、アレンを最強のヒーラーに育ててやることだけだ。

「……決まりだな」

やること自体が特に変わるわけではないが、それでも俺は決意を新たにする。

――アレンとして、俺はこの世界で必ず最強に至ると。

「――――それじゃ、やるか!」

◇◆◇

数日後、俺はステラアカデミーの制服に身を包み、校門の前に立っていた。

奥にはゲームで幾度となく見てきた、雄大な校舎が立っており、数多くの新入生が歩いている。

今日はアカデミーの入学式当日。

ゲームではプロローグが始まるタイミングだ。

「まあ、アレンとしてのプロローグは、一足先に終わらせちゃったけどな」

ふぅと息を吐き、俺は校門を潜り抜けた。

「さあ――」

ここから本当の物語が始まる。

アレン・クロードの、そして『ダンジョン・アカデミア』の新たな幕開けだ。