軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

27.温室とマンドラコラ

念願の(?)ダイイングメッセージアクションを手に入れたぞ。

倒して奪い取ったわけではないけど、若干の良心の呵責はなきにしもあらず。

さて次はどこへいこうかな。

スクショ地図を確認して、近そうなので温室へいってみることに。

学園都市の温室はいろいろな植物があるようなので気になっていたのだ。『農業』の足しにもなるかもしれないし、本を読むだけではわからない知識に期待だ。

やってきたガラス張りの温室は、思ったよりはるかに大きくて、まるで植物園のようだった。ガラスで出来た城のように組まれた芸術的な様相、さすがゲームといったところ。耐震構造とか必要ないもんね。

『ガラス』じゃなくて『硝子』だったりするのかな、などと思いつつ、中へ。観覧は学生なら自由。

「おお……」

光が燦々と差し込む温室は、ガラスの反射があるのか外より眩しい気すらする。暖かい。

入り口から大きな木がたくさん生えているが、近づけないように柵が張られているので、何の木なのか微妙にわからない。木は根本に『鑑定』しないと結果が出ないのだ。

温室に生えてる木なんだし、南の暖かい地域の木なんだろうね。

さらに進むとなんだか見覚えのある畑が……。

スポーンと出てきたそれは白い大根。こいつは白ラコラ、じゃないな、マンドラコラかな? どの種類かまでは、猫は詳しくないのでわからない。

敵対はしてないけど、向こうも戸惑ってるような気配。やがて抜き足、差し足でピャーッと逃げ出していってしまった。土に帰ればよかったのに……。

マンドラコラかー。

実は猫の畑でのマンドラコラ栽培は行き詰まっている。モリーとラモにお任せしてるんだけど、何かが足りないみたいで、葉っぱは出たけど歩きだして来ないのだ。白ラコラならとっくに頭を出している頃なんだけどな。

マンドラコラの栽培をしている人から話を聞いてみたいところだが、温室に 人気(ひとけ) はまったくない。残念。

あ、よく見たらトレントもいる。やはりセットなんだな、トレントとマンドラコラって。トレントは猫の方をじっと見て、るかどうかはわからないけどウロの穴をこちらへ向けて佇んでいる。警戒されているんだろうか。猫にはトレントの言葉はわからない。

モリーを連れてきたら会話できたりするんだろうか? ……いや、猫はモリーの言葉もわからないが。

でもトレントのモリーを連れてくるのはいい考えのような気がする。モリーも、この温室のような場所なら歩いてみたいかもしれないし。

というわけで、畑からモリーを連れてくることにした。ついでにラモとレモも回収、農業PTにしてしまう。

マイルームへ一旦モリーたちを移して、猫が移動すればモリーの移動が遅いのも問題にならない。魔法学校はマイルーム開けるしね。

モリー、ラモ、レモ、ルイのPTで温室へ戻ってきた。

早速モリーがトレントへ近づいて、身振り手振りでなにか会話している。ふきだしは出るけど、はてなが多い。質問しているのかな?

しばらくすると相手トレントが今度は身振り手振り。こっちは従魔じゃないのでふきだしはでなくてさっぱり。でも途中で、トレントが何かを掬うようにしてかける動きをした。

モリーから「!」とふきだしが出る。エウレカしたっぽい。猫の方に来て何かを求めている。時計の絵文字が出たぞ。時計??

時計……、農業で使う時計。

「『タイムパス』にゃ?」

「!」

ワッサワッサとモリーがうなずく。そして自分を枝先で指す。

「モリーに『タイムパス』するにゃ!?」

「!」

そう! といいたげなワッサワッサ。

えええ。モリーに『タイムパス』をかけるという発想はなかったぞ。どういうことなんだろ。モリーが成長すると、マンドラコラにいいことがあるのか?

とりあえず今は学校の温室なので、ここでかけるわけにもいかない。後でもよさそうなので、先に温室の観光を終えてしまうことに。

マンドラコラはモリーがいると猫を警戒しないようで、土の上でうらうらと日向ぼっこしていた。白ラコラと違うのは、柔軟性があるところかな。マンドラコラのお腹(?)はなんで曲がるんだ……不思議だ。

ラモとレモが花に集っていったり、モリーが普通の木と会話し始めたりとなかなか面白い。その木、喋るのか…。近づける木だったので鑑定してみると『知恵の木』とあった。なかなか侮れない。猫も話してみたい!と幹に手を当ててみたりしたが、全然ダメでした。木としか会話してくれない『知恵の木』、誰がどうやって名付けたんだろうか。面白い。

温室の中には他の蝶もいて、やはりレモとラモくらい大きい。魔物の蝶なんだろう。蝶らしく特に縄張り意識とかはないようで、我関せずといった様子だった。

ぐるっと温室を一周、それほど広くないのであっという間だ。柵が張られていて道と植物が離れているので、思うように鑑定出来ないのがちょいちょいストレス。でも盗られたりしないようにするためなんだろうし、仕方なし。

温室の観光を終えたら、畑へ戻る。

「ほんとにいいにゃん?」

最終確認としてモリーに尋ねると、サムズアップの絵文字が出てきた。やる気満々である。

本人がやれというのだから、猫もやるしかない。やるぞ!

「『タイムパス』!」

ひとまず通常でかけると、もっともっと! というように枝葉を振るモリー。仲間になり始めた頃は疎らだった葉っぱも今では立派にもさもさしているので、枝を大きく振るとなかなか重量級の音がする。

何度か掛けても変化がなく、モリーも求めるばかりで埒が明かないようなので、拡大『タイムパス』を試す。

すると少し変化があった。紅葉したのだ。モリーのテンションも上がる。

「にゃあ、紅葉したいにゃ?」

「!」

モリーがうなずくので、様子を見つつ拡大『タイムパス』をかける。完全に紅葉してもまだまだ欲しいようだったので更にかけると、ついに落葉した。

モリーは落ちた葉を枝でかき集め、ラコラの葉がロゼットのようになっている上に積もらせる。

試しに猫も一枚拾わせてもらうと、『トレントの落葉』とある。トレントの素材だと『トレントの葉』になるので、普通に倒した場合のドロップにはないアイテムだ。

このアイテムがあると、マンドラコラが育つ??

「楽しみにゃんね~」

あまりマンドラコラばかり増えすぎても白ラコラの二の舞になるので、畑に植えているマンドラコラは10本ほどだ。失敗したときのことも考えてちょっと多め。

これでちゃんと育ってくれるといいのだが。

一方、夏だというのに葉が落ちて丸裸になってしまったモリーは気の毒なので更に『タイムパス』をかけて、葉を戻しておいた。モリーは喜んでいた。

トレントは元々長寿種族だからか、『タイムパス』に忌避感がないみたい。むしろ猫の方がドキドキしてしまった。

マンドラコラの方には『タイムパス』を掛けない方がいいみたいで、モリーに止められた。こっちは見守り。そのうち出てくるといいな。

……本当にいいのか?という気はしなくもないが、白ラコラほど暴れないだろうし。猫が見たマンドラコラはみんなシャイだったので、信じているぞ。

畑に来たついでに一通りお手入れ。といっても新しい場所にいくこともあって放置準備してたので、植えてるのは『ポンポン草』と『薬草』くらい。

ちょうど収穫期だった『薬草若葉』を収穫したら、あとは水やりだけして終わりかな。たまにはこういう日もある。

モリーとラモを畑に置いて、レモをマイルームの庭へ戻す。

魔法学校から出てしまったし、次は屋台のオススメだった神殿へいってみよう。

予定を立てて行動していないので、ついつい行き当たりばったりになってしまう。まあそういう適当さも時にはいいもの。

ルイと一緒にぽくぽく歩く。

神殿は魔法学校とは別の方角にあって、これまた大きな建物だ。当たり前といえばそうなんだけど、自由都市の神殿と似ている。

魔法学校は学校の塀のなかに緑があったけど、神殿は違う。まわりに緑があって、中に神殿が立っている。鎮守の森みたいなものだろうと勝手に想像している。

学園都市の総合神殿は、本当にごっちゃごちゃで善なる神も悪なる神もいるって話だったな。知識神が治めていて、この神さまが知識以外に興味がないから管理が適当、とかいう。

その点自由都市を治めている幸運神は、適当に見えてオールオッケーなわけじゃなくて、ちゃんと悪神を祓っているという話。

緑の木々たちのアーチをくぐって神殿へ辿り着くと、白亜の柱群が出迎える。中の建築は自由都市とだいぶ違う様相。まさに神殿といった雰囲気で、白い柱がずらりと立ち並び、円形に柱廊が伸びている。役割は全然違うんだけど、コロッセオっぽい造りといえば伝わるだろうか。

白い柱にはそれぞれ彫刻がしてあって、神々が屋根を支えているように作られている。苦行を課されているわけではなく、片手で支えていたり、剣や槍の先で軽々と持ち上げていたりする。

神殿内はさすがに騎乗NGなので、ルイから降りる。一緒に歩くのはオッケーみたい。

中央、入ったところにある大きな神像はたぶん、知識の神。男性神が本を読んでいる神像。天井を支えているのは背後にある本の柱。積ん読タワーだろうか。いや読み終わってるのかもしれないけど。

知識神の神像は初めて見る。捧げ物はやはり本かな、と思わなくもないけど、本は高いし一点ものなので捧げられる本などない。よって参拝は素手!

でも加護は欲しいッ! とお祈りアクションをしてみたが、やはりというかなんというか反応はなかった。残念。

神像巡礼は自由都市でしてきちゃったから、たぶん新しい神さま以外は加護もらえないんだよね。とはいえ、ここで反応があったら逆に悪神かもしれない。悪事はしていないはずだけど、妙なところで引っ掛かったりしそうで怖い。変な加護はつけないに限る。

明らかにコレ!とわかる神像にだけお祈りしていこうかな。たとえば裁縫神なんかは腕が6本あるのでわかりやすい。蜘蛛の神さまだもんね。

お祈りアクション。

『よき縁を育みなさい』

お。お言葉もらえたの久しぶり。幸先がいい。裁縫というよりは、縁結びの神としてもらえたみたいで嬉しい。ルイとレト、ロニたち精霊ももらえたみたいだ。やったぜ。

次々いくぞ。

柱の神像を見上げてぐるっと進んでいく。本当にいろいろな神様がいるもんだよねえ。

猫は学園都市の神殿には、錬金術の神様を期待している。絶対いると思うので、ぜひ加護をもらいたい。頼むぞ。

半屋外とはいえ神殿内、ルイに乗るわけにもいかずてくてくと歩く。ちょっと疲れてきたので休憩。

うーん。

うん、気のせいかなと思っていたけど、やはり着いてきてたな、足音。猫が足を止めたら止まったので、間違いなさそう。

例の『霧の迷子』とやらが現れたみたいだ。