軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1.巡礼の旅~ドゥーア・アルテザ

夏である。

夏は夏野菜が育つ。

いや冬だって野菜は育つんだけど、夏は巨大化する傾向にある、らしい。夏野菜が強い。

ヒールミニトマトは夏に育てるとヒールトマトになる。

「えっ??」てなるよね。でもこのトマトでトマトソースを作るのが農家の定番らしいので、猫も頑張りたい。

出来れば夏は農家で過ごしていたいのだけども、しかしそうもいかない事情がある。

お金がないのである……!

いや、待って、素寒貧じゃないのよ。まだちょっとある。100万くらいはある。でもあれだけあったはずのお金が、あっという間になくなりそうでびっくりだ。

素寒貧になる前に、猫にはやっておかなければならないことがある。

そう、巡礼である。

属性変換クエスト、覚えているだろうか。すでに生活魔法で光属性が出ている猫はやらなくてもいいっちゃいいんだけど、せっかく神官になるならやっておきたいじゃないか、巡礼の旅。

もちろんそれだけではなくて、なんだかんだで行きそびれてやりそこねているあれやこれやを片付ける目的もある。たとえば隠者の村とか、ポーツの隠れ島とかね。

さすがに徒歩旅は大変なので、お金のあるうちに 転移施設(ポータルポート) で飛び回ろうというわけだ。忘れないうちに行っておかないとね!

そんなわけで今日からは自由都市の畑生活をいったん休止して、巡礼の旅を始めようと思う。

ルイネの巡礼はクリアしているので、まずはドゥーアから。

ドゥーアでは『地底王国の鍵』があったっけ。あとは忘れちゃいけない、チャノキを見つける予定。

冒険者ギルドの隣から 転移施設(ポータルポート) 経由でドゥーア着。相変わらず洞窟の中にある都は、自由都市からやってくるとやはりちょっと薄暗い。

巡礼の神像はGPSがあるのであっさり発見、クリア。眠りの神でも目覚めの神でもない、やはりGPSがなければ見逃しそうな小さな神像だった。

『あなたの上に導きがありますように――』

文言はルイネと変わらず。次の巡礼地のGPSをもらった。

さて目的は果たしたので、地底王国へ行ってみよう。鍵は持ってるけど、鍵をどこで使うのかを聞き忘れていた。しまったな。

困ったときは行政施設の図書館だ。そういえばここにはミニチュアサイズの本棚があった。早速レトがミニチュアソファに座り、絵本を取り出して目を輝かせる。そしてサッとカードを出した。

「よ」

「読めるぞ…!」

レトが読めるぞと言っているだろうことが猫にも読めるぞ…!

初めて成立したコミュニケーションにほんわかしつつ、猫は地底王国の本を、と思ったらレトが2匹に増えた。いや、1匹はレトじゃない、てことはマルモ……じゃないな、地鼠族だ。

しかし猫に気づくと、サッと姿を消してしまう。ミニチュア部屋の後ろに小さな扉が開くのが見えた。

むむ、これが地底王国の扉、だとしたらとても入ることは出来なさそうなんだが。

「レトなら入れそうにゃん?」

「ま」

また、「ま」か……。ううん、任せろ、とか?

ためしに入ってみるようお願いしてみると、レトはふんすと胸を張ったあと、消えた扉に手を当てた。

『『地底王国の鍵』を使いますか?』

「はい」

『使用条件を満たしていません』

「あにゃあ……」

残念。まあたしかに猫は入れないサイズだから仕方ないか。レトもしょんぼりだ。

一応掲示板で調べてみたところ、情報の断片を発見した。どうやら『地底王国の鍵』を持っていても、PT内に地人族、地属性魔法の純魔、地鼠族のいずれかがいないと地底王国には入れないんだそうだ。

この内、地鼠族を伴っているときは専用マップになるんだって。地人族でも地属性魔法師でもない場合の探索マップだそう。

思い出して屋台の裏メニュー『金平糖』を買いに行き、うろうろすると地鼠族に会うことが出来た。

市女笠を被ってお出かけ中だった地鼠族さんは、『金平糖』をあげると喜んで話を聞いてくれた。

「なるほど、これは我らの縁ですね。よければわたくしが案内しましょう」

「お願いするにゃん~」

地底王国の専用マップへは最初のダンジョンから移動になった。PTを組んで一緒に行く。地鼠族さんの名前はイチメさんと大変わかりやすかった。

道中の敵を倒しつつ行き着いた先は、古びた坑道だ。『地底王国外縁』。地鼠族を伴っているときのみ入れる専用マップ。採掘や採集、売店などがあるらしい。ちょっとレアなアイテムが掘れたり採れたりする。

ちゃんと猫も用意してきました、新しいツルハシを…! ついに初心者装備を卒業したぞ。

これでレアも掘れる! 『魔鉄』『地鉱石』『魔銀』などを手に入れた。いい感じ。

採掘マップ以外にも採集マップもあり、『ドゥーアの赤土』『発光茸』『闇ホタル草』などを手に入れた。『発光茸』とかはここで採れるアイテムだったんだな。

更に奥へ行くと、今度はチャノキがあって茶摘みができた。ここで出来たのか! てことはケータくんはあのときすでに地鼠族に縁があった…? いや、他のところでも採れるのかな?

「ドゥーアのチャノキはここにあったにゃんね」

「この洞窟チャノキは、山にあった木を代々慈しんで育てて参りましたのよ」

山にもあるらしい。洞窟チャノキの葉っぱは白っぽく、これを深蒸しした茶はドゥーアでは高級品として扱われているのだって。

「にゃあ~、是非買いたいにゃん」

「では売店にも是非寄っていってね」

というわけでまんまと売店にも寄り、お土産を購入。商人としての血がこれは特産品だからよそでさばくといい値がつくやつ、と言っているけど買ったら最後、自分用に消費する未来しか見えない。ので購入は仕入れではなく、ごくふつうに控えめに…、でもちょっと多めに。だって試飲、甘くておいしかったのだ。

売店を終えた頃には、ヨシヒサさんの遣いとやらが来てくれたので『キラのゴーレム』を返却した。報酬として5万zがもらえた。

『地底王国の鍵』は回収されずに手元に残ったので、また何回でも来られるみたい。その都度、地鼠族をナンパする必要はあるが…。

地人族と地属性魔法師と一緒だとまた違うマップらしいので気になるところだ。

地底王国へ行ったのでドゥーアはおしまいかな。

おっと、忘れちゃいけない採掘士のランクアップ。『駆け出し採掘士』になった。

お土産に、ドゥーア内の茶葉店も探して購入、お茶菓子として『金平糖』も購入して、次はアルテザへ!

転移施設(ポータルポート) を通ってアルテザへやってきた。

暗い道を通ってドアを開けるとぱっと景色が変わっているのは、何度みてもワクワクする。

ドゥーアは落ち着いた、というか暗めの色調だったが、アルテザのファンシーな佇まいは明るくて華やかだ。

忘れないうちに、早速GPSの導きに従ってアルテザの神像を巡礼。

おや、この神像は前のふたつと違って結構大きい。これまでの神像は石の塊という感じで何もわからなかったけど、これは明確に人型をしているのがわかる。

木に寄りかかっている女性の像だ。木は葉や実がなくてわからないけど、なんとなく林檎の木かなあ、なんて。メタ読みです。

『あなたの上に導きがありますように――』

お祈りをすると例の文言が返ってきて終了。

アルテザでは特にやり残したことはない。何度か人形連合との会合で来ているしね。

ただお金のあるうちに、装備の更新をしたい。店売り装備で更新するなら学園都市だけど、プレイヤーメイドで更新するならアルテザが最先端だ。

そんなわけで、お久しぶりにやってきたのはぬいぐるみの立ち並ぶアルテザの露店通り。やあ、相変わらずファンシーだこと。ぬいぐるみ店主のサイズが明らかに大きいんだよなあ…。

自由都市にもぬいぐるみ店主は多いんだけど、中身入りもそれなりにいるし、無人もいるしで、やはりアルテザとは雰囲気が違う。アルテザみたいに個性のあるぬいぐるみは少ないしね。店売りとカスタムメイドの違いだろう。

とりあえず買いたいのはルイの新しい荷鞍と蹄。それから従魔の装備……より前に猫の装備か。予算が足りれば従魔のも変更したいが、プレイヤーメイドは高い。

あちこち調べて、ルイの荷鞍は無事新しいのを購入。馬用の荷鞍をロバ用に加工してもらうのにちょっと余計にかかったけど、まあ予算内。

荷鞍の容量が2倍になったぞ! すごい! というか猫がそれだけ装備更新をサボってたということだ。反省!

まあ鞄アクセサリーだから、なかなか新しいアイテムに出会えなかったというのももちろんある。鞄は意外とマイナーなのだ。

革工士さんで鞄作成出来る職人さんだったので、ついでにリューツー入りの『カーバンクルの魔法鞄』も修理してもらう。黒革のポシェットで、ボタンがリューツー入りの精霊石となっている。金の 内包物(インクルージョン) がチカチカして綺麗だ。

「いい鞄を持ってるねえ! 上級者になっても重宝するから、大事にするといいよ」

「にゃふん、ありがとうにゃん~」

リューツーが『カーバンクルの魔宝石』に入ってランクアップしたからか、ふつうの『カーバンクルの魔法鞄』よりちょっと容量が大きいんだって。

すっかり耐久値も直って、ようやく装備が出来る。これまで装備していた『探検家のリュック』はお役御免。モリーなら装備しても減衰が少なそうなので、かれに移動となった。生産用従魔の装備も揃えないとな…!

鞄アイテムの更新を終えたら、今度は装備を更新。

やっぱり欲しいのはMP増強装備かなあ。防御力とか元々紙だし、猫は当たる前に倒せればよかろうな遠距離攻撃だ。器用値には不足を感じていないし、そうなるとやはりMP欲しいなってなっちゃう。

頭装備のゴーグルこと『ドラゴンフライ・グラス』はそのまま維持するとして、うーん、空賊スタイルをやめるとしたら、エンジニアスタイルかなあ。

ツナギとか、オーバーオールとかどうだろう。意外と似合うんじゃない?

などと考えつつ露店通りをウロウロ。見つけました、オーバーオール。『鞣し革のオーバーオール』だって。しかもMP増強装備だ。生産はMP使うから、胴体装備のMP増強はありがたかったりする。

これと学園都市装備のサッシュベルトを組み合わせたら、お部屋着のMP増強値を抜ける。お買い上げ!

さすがにプレイヤーメイドの人気装備だけあってちょっとお値段するけど、予算ちょっとオーバーだけど、よかろうなのだ。こういうのは一期一会よ。逃したら会えないかもしれないアイテムは買うに限る。

それに予算オーバーではあるが、いい買い物だった。なぜなら本来ならもっと高くてもおかしくないからね、胴体装備のMP増強装備。

というのも『鞣し革のオーバーオール』は上半身下半身セットの胴体装備で、下にシャツなどは装備できない。人族だとかなりセクシーになってしまうので、着る人を選ぶタイプの装備だったのだ。その点、猫なら安心。もふもふ毛皮があるからね。多少脱げてても許される。

いろいろ言い訳は尽きないけど、MP増強650は大きい! 自由になるMPがいっぱい増えたぞ。

ついでに樵ギルドに寄ってランクアップ。こちらも『駆け出し樵』になった。木はなかなか伐る機会がないので、積極的に伐れる木を探していかないとなあ。