軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

2.鉱山の街ドゥーア

ドゥーアへはルイの荷車でぽくぽく移動。街間の移動はよほど急ぎじゃない限り、のんびり行くのが猫流だ。旅をしてる感が出る。

アルテザとドゥーアの間には山があり、大まかにこれを避ける迷いの森ルートと、山の中の洞窟を行く最初のダンジョンルートとある。

猫が行くのは迷いの森ルートだ。

なぜかというとこの迷いの森、すでに有志によって完全マップがあり、最短ルートを行けばダンジョン通るより近いのである。なんと慣れれば5分で移動できるらしい。

物理法則どうなってんの?て感じだけど、迷いの森もまた異界である、というのが考証勢の話だ。

ダンジョンのような「定まらない異界」ではなく、たぶん妖精界のような「定まった異界」に通じているのでダンジョンとは呼ばれないのではないか、という話。

この辺ややこしいんだけど、要は開いた穴の先が定まった場所ならオッケー、ダンジョンではない、という考え方らしい。

この定まった異界というのも、実は全種類はまだわかっていない。たぶん北欧神話のように世界樹でつながる多層世界をモデルにしていると考えられている。すでに出ているものでいえば精霊界や妖精界、それからプレイヤーのリアル世界なんかも「定まった異界」。それ以外はほぼ謎。名前だけ出てるのもあるらしいけどね。

そんなわけで迷いの森は、おそらく妖精界と繋がってるんじゃないかな~といわれる森だ。妖精型の敵も多い。

迷いの森で出るのはピクシーのような小さい、いかにも妖精といった感じの魔物だ。名前もそのまま『森ピクシー』で、羽根の色で使ってくるデバフが違う。

厄介なのが多いけど、基本的にHPが低い。当たりさえすればポコポコ倒せる。そして廃都エリアは初心者エリアなので、猫でもそう苦労はしなかったりする。

ほんとに当たればそれで倒せるので、武器も『コズミックシュート』に変えてペチペチ。手数が少ないのが難だが、ラージも大きくなった体を生かして体当たりで蹴散らしてくれる。

その間、ルビーは『地団駄』で応援してくれて、ルイは我関せずで食事。レトはやることがないと転がってじたばたしてたりする。ふて腐れてるのかもしれない。いまだに投擲を諦めてないところがある。シュート系の魔法を覚えられればいいんだけどね。

森ピクシーはレアで『妖精の羽根』というダンジョンから脱出するアイテムを出す。しかしそれ以外のドロップは一切出さない。『妖精の羽根』は『リターン』で代用が効く。

ゲーム的には多種多様なデバフのお披露目と、ダンジョンからの貴重な脱出アイテムを持つmobとして華々しく登場した森ピクシーも、今となってはハズレmobの代名詞だ。

そのため特に相手にされず、適当にトレインして放置されていることも多い。ときどき妖精だまりがあるので要注意と攻略サイトで見た。

まあ眠りやら毒やらかけてくる分には、何匹いようと敵じゃないんだけど、目眩とか暗闇をかけてくるやつは群れるとなかなかに大変。まあ、森ピクシーのデバフは5秒と長続きしないと知ってるから相手に出来るけど、知らなかったらパニックになっていただろう。

もしこんなときにブラックニャッコに襲われてたら強制送還だったかもしれない。

ちょっとはらはらする瞬間はありつつも、問題なく森を越えた。

短い道中だったがラッキーなことに『ニャルコール』も採取できた。『ニャッコの木の実』も一緒に手に入るかと思ったら、『ニャルコール』の生えてるところにはないみたい。種類そのものも違うのかも?

ちなみに『ニャッコの木の実』は『植物の種』の表記があるらしいので、こっちは栽培可能なんだって。『ニャッコの木の実』てことはこっちもマタタビなのだろうし、好みの度合いが違うんだろうか?

『妖精の羽根』も、結構集まった。レアといっても感覚的には5匹に1個くらい。

森を抜けると、左手に切り立ったごつごつとした崖が現れる。崖にはゆるやかな登りの坂道があり、そこをポクポクと上っていく。やがて岩肌の色が赤茶けてきたころ、ドゥーアの街が見えた。

ドゥーアは山のなかに築かれた、洞窟都市だ。鉱山の街や採掘の街などさまざまに呼びならわされるが、洞窟の街と呼ばれることは、なぜかない。

なんでもこの洞窟を掘ったのは元々は別の異種族で、今いる住民は採掘中の仮住まいのつもりで移り住み、そうしているうちに元の異種族はいなくなってしまった……といういわば先住民を追い出してしまった話が背景にあるから、らしい。

洞窟の街に住んでいたのはその異種族だから、ここを洞窟の街と呼んでしまうと完全に乗っ取ったようですわりが悪い、のだとか。

その辺はメインストーリーやお使いクエストで触りだけ聞いた。

でも結局のところ、異種族が本当にいたのかもわからないらしく、謎のままなんだって。

廃都のメインストーリーって、全部そんな感じだ。

元々はいたらしいものが今はいない、今は伝説だけが残る、今となっては真実を知るものはない…というような。どこかでタイムリープでもするんじゃ??とか言われていたくらい、もう触れない過去の話が多いのだ。

その上、現在のプレイヤーはイベントとして起きたメインストーリーも参加出来ない、とあって、廃都のストーリーってかなり不評なんだよね。

まとめを読んでると本当に怪談話みたいな、「えっ、それで結局なんだったの?」という肩透かし系の話が多く、これはたしかに、ゲームとして辿るのはストレスだろうなあ、と納得できる。

林檎の幽霊とかも林檎 奪(と) られるだけだしね。

だから話をまとめて聞くだけのお使いクエストが出来たともいう。

廃都のメインストーリーは、元々はクエストじゃなくて背景ストーリーだったから、という説もある。やるもやらないも自由なフリークエストだったんだって。

それが自由都市導入でメインクエストと呼ばれるようになったとか、なんとか。

ゲームにもさまざま、歴史があるということだ。

なお猫はメインストーリーは林檎の幽霊まで進めたことになっちゃってるし、お使いクエストもアルテザまで進めちゃったので、ドゥーア以南のクエストはすでに終わってたりする。

クエストの関係ない、気楽な旅路だ。

さて、ドゥーアに到着!

洞窟の中の街ではあるが、天井がずいぶん高く、またランタンがあちこちにぶら下がっていてなかなか明るい。建物が並んでいる通りには天井画も描かれており、ちょっとしたアーケード街のようにも見える。

かと思えば大通りを外れると急に暗くなったりして、なかなか明暗の激しそうな街である。

街の中では、コボルトやゴーレムをよく見かける。NPCの契約する召喚獣だったり、プレイヤーのだったりいろいろだ。

第一エディションでは『召喚』は匂わせだけで実装されてなかったものだから、どうやっても『使役』出来ないゴーレムやコボルトの存在はかなりプレイヤーを悩ませたところらしい。実装済のシークレットスキルなんじゃないかと探し回った人もいたんだとか。

先のコンテンツちら見せって逆に混乱を来すところがあるよね。

今ではゴーレムもコボルトも、プレイヤーに大人気の召喚獣だ。猫も欲しい。

さて、まずはいつも通り荷下ろしして、冒険者ギルドでホーム更新。

うーん、アルテザからドゥーアの荷運びは、近いわりに報酬額がいい。ドゥーアからアルテザへは同じ道ではない(一応迷いの森なのでね)からまだなんとも言えないけど、しばらくはここで稼ぐのもいいかも。

アルテザからドゥーアへのお届け品は主に薪や木材商品、それからやはり工芸品。逆にドゥーアからは鉄工品や、金属ボタンなどの加工素材、それにハサミや斧などの道具類となる。

薪は安かったので猫も交易しやすかったんだけど、ドゥーアからのアイテムはちょっとお財布と相談になりそうだ。小物ならなんとかなるかな?

しかしまずは街観光したい。あとで考えよう。

冒険者ギルドでは、『ニャルコール』が納品できるようだった。10個で2000z。樵ギルドで買った価格と一緒ということは、アルテザとドゥーアでは買取値が違うんだろう。ふむ?

『ニャッコの木の実』の方は納品依頼もない。『ニャルコール』が特殊っぽい。

とりあえず最小単位の10個を納品してみたが、特に何も変わらなそう。納品はこれだけでいいかな。

こうやって納品控えをするから冒険者ランクが上がらないのはわかってるんだけど、ジェリ水の例もある。

あ、「森ピクシーの討伐」は帰り道用に受けておこう。行き? 忘れてたにゃん…。

次へいこう!

ドゥーアで初お目見え、『採掘』の採掘ギルド。ようやく『採掘』のジョブにつくことが出来た。

『見習い採掘工』になった。掘るぞ!

ギルドの売店には鉱石専用の箪笥(普通の箪笥よりちょっと安い)『鉱石コンテナ』や、さまざまな『ツルハシ』、『スコップ』なんかが売られている。お、『猫車』。一輪の押し車、これは鉱石専用の荷車みたいなものかな。色々なアイテムがあって面白い。

クエストは鉱石の納品や採掘回数系。『石ころ』の納品なんてあるんだな。猫にとっては『石ころ』は大事な収入源なので納品しないけども。『投石玉』はぼちぼち売れるアイテムだ。

他にはゴーレムの討伐依頼なんてものがある。

ゴーレムは出てくる鉱石毎に色や形が違う。一番弱いのが石ゴーレムなのかな? これの討伐依頼と、銅ゴーレムの討伐依頼が出てる。このくらいが初心者にオススメなのだろう。

上位のゴーレムになると弱点が決まっていて、それ以外の攻撃を無効化するものも多い。そのかわり弱点攻撃では一撃で倒せたりする。多種多様な攻撃が求められるってやつだ。

鉄ゴーレムなんかは雷弱点なので、出てきた当初はなかなか倒せない強い魔物として恐れられ、プレイヤーは逃げ回るしかなかったらしい。しかし今となっては鍛冶師に日々追いかけ回されて乱獲されている。かなしいね。

猫も『初心者ツルハシ』を卒業して新しいツルハシにしておこうか悩んだけど、思ったより高い。

うんんん、悩んだけど、保留! 初心者ツルハシでも掘れないことはなさそうだし、これでしばらく耐えます。ランクアップしたら新しいの買お。

「にゃん、『崖崩れ注意』?」

「ああ、今、山道で崖崩れが起きて通れなくなっているんですよ」

「山道っていうと、 異界の扉(ダンジョン) の?」

「いえ、そちらではなくて森へ下る道の方ですね」

ドゥーアからアルテザへ行く迷いの森ルートってことかな?

なんと、塞がれることなんてあるんだね。

「にゃん~、じゃあしばらく通れないにゃんね」

「はい、復旧工事が行われているのでしばらくかかりますね。人手不足なんですよね」

ピロンと「工事の手伝いをする」という選択肢が出た。

なるほど依頼を受けるとすぐ開通する仕様。

あとあとアルテザとの間で交易するときも出るようなら、工事依頼をやることにしよう。今はいいや。

「いいえ」と選択肢を消す。

「山のなかに影響はなかったにゃ?」

「中は普段通り静かなものですよ。最近は外の方が騒がしいくらいですね。不思議な植物が見つかったとか、普段は見られない花が咲いたとかいう話も最近はよく聞きますし…」

なにか植物に異常が起きている、とな?『ニャルコール』もその一環だったりするのだろうか。

いや、でも崖崩れに植物は関係ないか?

ちょっと謎。月夜のクエスト関係かな。

ドゥーアはダンジョンの中に白月夜の精霊スポットがある、珍しい場所だ。有志によって前回発見された。

なんでもダンジョン内で月が見える場所があるそうで、そこが精霊スポットになっているそうな。山の中腹から見る月ということで絶景らしく、なかなか楽しみである。