軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

46.燃え尽きたぜ…

さて、それでは自由都市巡りと行こうかな。まずは執事さんことセルバンテスさんが露店しているそうなのでお邪魔しよう。久しぶり…でもないな、ダイアモンドの谷で会ったから。でも露店に寄るのは久々だ。

露店通りの流れにソイヤと乗って、あちこちの露店をチェック。

初心者から脱したら物欲も落ち着いてお金貯められると思ってたけど、全然そんなことはないな。買った端からあれやこれやと新しい情報が出てきてちっともお金貯まらない。これは不具合、不具合に違いない。くっ。

ロマン羽根で儲けているうちにいろいろ買うぞ!

GPSでもらった露店に到着。

おや、テント?? 露店通りでテントタイプの露店は珍しいな。というか執事さんたらゴザ以外も持ってるんじゃんね。

閉じてるタイプのテントなので、中を開けて失礼しますよ…、???

「こんにちはにゃ、ん…?」

真っ暗だ。

それでも声をかけてみると、頭上からパッとスポットライトがついた。

ライトの下にはセルバンテスさんが項垂れて座っている。

なん??

「燃え尽きたぜ……真っ白にな…」

「ジョー…!?」

往年の漫画演出…!

ぱぱっとライトが戻る。

ログを見て気づく、スポットライトアクションなんてあるんだね!?

「フフフ、さすがにご存知でしたか」

「有名どころにゃん」

内容はさっぱり知らないけど、燃え尽きるとこだけ知ってます。

いそいそとテントを仕舞ったセルバンテスさんは優雅に椅子に座り直す。このためにわざわざテント用意したのか…。さすが手がこんでますな。

「さて本題なのですが」

「なんだか予想が出来ちゃったにゃんよ」

「ご想像通りと申しましょうか。先日のアプデでロマン羽根が 下方修正(ナーフ) されたようです」

「にゃん~~!」

やっぱり…!

「レイド前の修正で界隈の暗黒夜はまさに暗黒時代の幕開け、阿鼻叫喚でございました」

「にゃん…!」

それはたしかに阿鼻叫喚もやむなしだ。レイド前のシークレット修正はずるい。

「そのようなわけでして、ロマン羽根の価格は大暴落、これまで通りとは参りません」

「それはそうにゃんね~」

「残念ながら我々の企みもこれまでのようです…」

「悪の結社みたいにゃん」

「ククク…ロマン羽根は滅びぬ…!といいたいところですが」

「滅びたにゃんね」

「滅びる前に言いたかったですな」

「いや、むしろこれは滅びてから言うのがお作法にゃん?」

「なるほど、それもそうかもしれません」

うむ。

いや、何を真面目に話し合っているのか。

「もうロマン羽根作成はしないにゃん?」

「いえ、ロマン砲といえるほどの破壊力がなくなっただけで、まだまだ威力としては申し分ないようです」

たしかにロマン砲って過剰戦力だったから、ちょっとくらいナーフされたところで実用性は問題ないのか。

「それに、修正のされ方もまた絶妙でしてな」

「にゃん?」

詳しく聞いてみると、羽根型指揮杖は全体的に弱体化し、装備の上昇値がすべて属性値とクリティカルに変更されたらしい。

「魔法装備のクリティカル値上昇は珍しいにゃんね?」

「はい。更に属性値増装備のクリティカルということは、かかるのは属性係数です。弱点攻撃となったときの上げ幅を考えると、ナーフ前の威力がクリティカル的には出そう、ということらしく」

「ガチャ攻撃にゃん!」

「まさしくまさしく。ロマン砲界隈にはその辺がぐっと来るようですな。価格はさすがに落ちますが、そちらからの需要がなくなることはなさそうです」

「さすがロマン砲界隈はお金持ちの集まりにゃん~」

「セレブの遊びですからな」

執事さんとしては羽根が細々とでもそれなりの価格で売れるなら万々歳。ということで、価格は見直すものの、これまで通り指揮杖羽根の製作依頼はくれるそうだ。

猫としても、安定的に収入があるのはありがたい。

実はもなにも周知の事実ではあるが、猫は戦闘力が低い。ゆえにドロップアイテムでお金稼ぐっていうのが出来ないのである。生産依頼はあればあるだけ嬉しい。

しかし、そもそもだ。

「前までがすごかったからたしかにナーフではあるけど、全然まだ強いにゃんね??」

「はい。杖単体として見ても他の上級杖より上ですし、クリティカルが出なくても魔法師の御守りになるアイテムでしょうな」

「前までが強すぎたにゃんね~」

「ついでに高すぎましたから、新しい価格もまだ定まらないようで」

マケボで売り出されているロマン羽根はまだまだかなり値幅がある。ちょうどいい価格帯に落ち着くまでしばらくかかりそうだ。

それまでの間は猫がセルバンテスさんから羽根を購入して、作り貯めておくことにする。なにせ中級釜でも8時間かかるアイテムだ。そう簡単に量は増やせない。

これまでのように錬金術師がロマン羽根を大生産とまではならないだろうから、市場在庫は徐々に減っていき、最終的には最強の威力となる『大陸鳥の魔羽根』でも30万前後に落ち着くのではないか、というのがセルバンテスさんの考えだ。

「しかしそこは錬金術師の胸ひとつですな」

「素材の羽根があってこそにゃん~」

「ホッホッホ。頼りにしてますぞ」

「こちらこそにゃん~!」

…なんか今ちょっとお代官様と越後屋みたいじゃなかった? 猫の気のせい?

気のせいということにしておこう!

先日預けた分の精算を行って、これがひとまず最後の猫のおこづかい、150万z。

それから、悩んだけど素材の羽根を50万分購入させてもらうことにした。どれだけ落ちてもこれ以下にはならないだろうってことで1000zで1枚、いろいろな鳥の羽根を合わせて500枚分。

これで50枚のロマン羽根と思うと、まあこのくらいは投資だ。いずれ化けるはずよ。

それに、猫が使う(使ってもらう)分も欲しいしね。やはり御守りは必要だ。

それにしても500枚分をポンと底値で売ってくれるのだから、セルバンテスさんは気前がいい。

「いえ、少々タンスが爆発しまして」

「にゃん~?」

「妖精種には鳥型が多いのですよ。希少種が多く出まして、無事大爆発でございます。そうそう、そんなわけで暗黒夜の魔道具マーケット開催メール、大変助かりました、ありがとうございます」

「お役に立ったならよかったにゃん!」

タンスは重量制限じゃなくて種類・数量で容量が決まるから、ちょっとずついろいろなアイテムが出てくるとすぐいっぱいになっちゃうんだよね。

セルバンテスさんのような弓師は矢や弓も各種揃えてないといけないので、持ち物欄もタンスも常にいっぱいいっぱいだと伝え聞く。エドさんもかなりやりくりに苦労してるみたいだったしね。

いろいろなところで戦闘する人は、それだけ違うアイテムが溢れかえるので大変なのだ。

猫は相場の変動についてそこまで詳しくないのでまたロマン羽根の値段が落ち着いたら連絡するということで今回はお別れした。

くぅ、さらば猫のおこづかい制…! この100万zでしばらくはやりくりしないといけない。

……100万zなんて大金だったはずなのに最近はこれ以上持ってることが多かったしばんばん使ってたから、なんかすでに懐がさみしいような気がしてしまうぜ。

猫ったらいつのまにか心まで成金猫に……いや、そんなことないもん! 猫だって慎ましやかに生きられる! はずよ!!

セルバンテスさんの露店をお暇して再びどんぶらこ。

ちょうどいい隙間を見つけてイン!

今回は完全に買取のための露店だ。売るものは全然ないんだけど、最低品質素材をかなり使ってしまったので補充しないといけない。もちろん後で冒険者ギルドの素材取引所にもいってくるけど、露店は露店で別腹(?)だ。

GPS送信メールはどうするかな?

この前みんなと会ってきたし、新しいアイテム販売もないし、まあいいか!

今日はまったり露店。

買取はいつもの最低品質素材、七宝系素材、それから『貝殻』。こんなもんかな? あ、枠が開いてるし『石ころ』も買取しておこ。『カーバンクルの魔宝石』の最低品質も入れちゃえ。今なら懐も暖かい。ちょっと、いやかなりお安めの値段で入れちゃうけど露店ってそういうもんだから。

さて後は本でも読んで………、しまった読む本がもうない。教本また見てこないといけないな。その前にどの本読むかの目星もつけておかないと。

魔法といえば、『光属性魔法』どうしようかも悩んでいるのだった。いや、あれからやはり運送神の加護が気になってしまって…。

積載量に応じて移動速度が増えるのは猫向きだし、攻撃力が出るのもちょっと嬉しい。あとは猫がドーンと突っ込んでいけるかだが、ルイはかなりやる気なので、大丈夫そう。

『光属性魔法』の習得方法には2種類ある。

ひとつはスキルリストに出して取る方法。

もうひとつは属性変換クエストを受ける方法。

『光属性魔法』ってスキルリストにはじめからあるわけじゃないから、正攻法は後者の属性変換クエストだ。猫は『生活魔法』から『灯』覚えて裏技的にスキルリストに表示しちゃったけども。

属性変換クエストは、なかなかめんどくさいらしいと聞く。しかし光の属性変換クエストは、神官になるために必須って言われているんだよね。

今のところ『生活魔法』から『光属性魔法』を取って神官になった人の報告例がないもんだから、単純にスキルリストから取ればそれで済むのかどうかわからないという。

ん~~、まあ今すぐ神官になりたいわけじゃないし、のんびり属性変換クエストやろうかな。たしか 廃都(ルイネ) のクエストだったはず。またちゃんと調べてみようっと。

「すんませーん」

「にゃん?」

掲示板を見たりして調べつつ考えていると、店の前に人が立っている。

おや? 買取露店だから声掛けられることはないと思ってたんだけど。

「いらっしゃいにゃん~、買取の相談にゃん?」

「そっす、この『カーバンクルの魔宝石』なんすけど」

話しかけてきたのはルイネア男性。アクセサリーをピアスに集中させているのか、とてもお耳がジャラジャラしている。ゆるめの服装なのもあいまって、なんだかチャラい。

「この価格で構わないんで、すでに加工済の『カーバンクルの魔宝石』って、引き取ってもらえます?」