軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

4.錬金術師のお部屋

にゃにゃーん!

そんなわけで『学園都市装備セット』をジョブサモナーで開封。そして早速装備。学園都市装備は『学びし○○の××』という装備名になる。つまりサモナー装備なら、『学びし召喚師の』が枕詞につく。

『学びし召喚師の 狩猟(ハント) コート』を着ると、風猫族のミーさんのようでわくわくだ。それに『ドラゴンフライ・グラス』の青いレンズもサッシュベルトの色に合ってて、いい感じ!

防御力は初心者向け装備に比べればかなり改善されるし、器用と魔力が5ずつ上昇、MP増強はちょっと減ってしまって、+150となっている。これについては魔女帽子が優秀過ぎましたな。

アクセサリーでMP増強、といったら新精霊をムーンキャッチしたいところだが、月明精霊は1匹までっぽいし、悩ましい。ロニが進化したら新しい子が捕まえられるのだろうか? 数の制限とかどうなってるんだろ。まあ精霊以外で探すのが確実ではある。何かあるといいな!

あとは武器である。サモナー装備に入ってた武器はやはり投擲にプラス効果のある手袋だった。ちなみにこの場合の投擲とは『アイテム投げ』のことで、味方にアイテムを投げてフォローすることを前提にした武器だ。リーさんの手袋もそう。

しかし猫、筋力がないので、砲丸投げ方式は全然飛ばないのである。

飛距離は筋力と器用度で決まる、という話が投擲のチュートリアルで出るらしいんだけど、重要なのは筋力の方なんだって。筋力で最低何m飛ぶぞってのが決まり、更に器用でどこまで伸ばせるか、という世界らしい。つまり猫はお呼びでない。

こうなると俄然気になってくるのが、属性銃だ。

存在自体は前から知ってた。でも猫、コズミックシュートで困ってなかったし、これに不満を感じたら買いにいってみようかな、程度の認識だったのだ。そうこうしているうちにばたばたしてて、今に至る、と。

ううん、猫、そもそも戦闘らしい戦闘をしてないのもあって、現状でもまだコズミックシュートで不満がなかったりする。そりゃレイドのときには火力が欲しくなったりもするが、猫が頑張るよりレトのサポートする方がレイドはお役に立てることになってしまったし。

しかし廃都を回り終えて学園都市へ行く頃には、さすがにひよってもいられまい。

……属性銃、目指しちゃおうかな…!

学園都市か魔道具マーケットでしか売られていない武器であり、購入にはあるアイテムとクエストを必要とする上、お高い。猫も散財ばかりせず貯金しておかねば。

たぶんご予算100万で足りるはずだけど、属性銃というだけあってこの武器、単一属性なのだ。つまり最大18個…! いやそんなには揃えないけども。でも2丁拳銃はみんなの憧れだよね?

猫のPTでは今のところレトが回復、ルビーが星、ルイとラージは属性なしと、実は攻撃魔法がない。ラージは色つきジェリだから属性が生えそうではあるが、おそらくつくとしても耐属性だろう。どうみても性能がタンクだもんね。

実はまだアタッカーがいない猫PT、ちゃんと調べて攻撃力高めの属性銃を選んだ方がいいんだろうか。といっても猫はアタッカー向きの性能じゃないから、補助も考えたいし、なかなか悩ましい。

従魔はあと2匹増やせるし、アタッカーももう一度考えないとなあ。

ちなみに属性銃の購入に必要となるアイテムは魔宝石である。魔宝石、あります!

魔宝石を加工してもらうクエストを学園都市で受けねばならないらしいが、錬金術師のクエストらしいので、自由都市でも出来るのでは?と期待。ほら、ポーツの少年に紹介してもらった錬金術師叔父さんがいるしさ。

そういえばレトの杖も作りたかったんだった。件の門前払いされた杖屋さんについてはフーテンさんから「紹介状はもらえたけど使用がLV40からだったわ~~」と残念なお知らせが来ている。遠い…! まあそれだけ上級装備ということで、猫たちにはまだ早かったのだ。

こちらも詳しく調べたら属性銃と同じ経路で作れるようだし、錬金術師に弟子入りして何とかならないかな~と期待。

そこで、だ。

今日はこれから、ポーツの漁師もとい醤油屋の少年マルコくんから教わった、錬金術師の叔父さんへ会いにいこうと思う。お預かりした『貝殻』の『小包』を持って、いざ!

錬金術師の叔父さん、GPSによると鳩ポッポ商店街の方の奥地にある錬金術店……の更に奥の、住宅街にお住まいだ。住宅街はGPSがないと入ってはいけない場所だ。迷子になるから。

ちょっとドキドキしつつ、商店街の角を曲がっていく。地図によると来たことのない通りだが、なんか見たことのある感じが続く。だからこそ迷うんだけどね!

おっと、『測量』しておこう。『地図作成』しておけば迷わなくなる。やる前はめんどくさそうと思ったけど、気がついたときに四方へ掛ければなんとかなるので、想像していたよりは『測量』も楽だ。街中とかフィールドしかやったことがないからかもだが。

猫としてはせっかくのホームタウン、地図を埋めて全制覇が夢ではある。『ニャッコの寝床』とか本屋さんみたいな、隠れたお店も探したいし。

ちょっと通りの雰囲気が変わった。なんだか大きな建物がある。これは教会…? じゃ、ないな。どうやら孤児院らしい。生け垣と塀の向こうには小さな畑が見える。おお、自給自足。質素倹約って感じだろうか。お肉の差し入れクエストとかありそう。今度ちょっと調べてみようかな。

ちらっと見えた門柱に刻まれていたのは豊穣神だった。やはり神の名の元に保護されてる、て雰囲気なのかね?

孤児院を通りすぎて、更に奥地へ。GPSのピンが指し示すのは、何の変哲もない民家の一角だ。アパートなのかな? 3階を指している。なかなか入るのハードル高いな~…。

いやいや、猫は甥っ子さんの荷物をお届けに来た猫の宅配便だもの、問題ないはず。

たーのもー!

…。

……。

お留守だった!

せっかく勇気をふりしぼりましたのに! しかし留守なのは仕方ない。

ここで待つか、それとも一旦マイルームへ戻るか、悩ましいところ。

…あ、そうか、マルコくんからのクエストになってるんだから、留守なのはクエスト進行かも。てことは探しにいく? あるいは、やっぱり待つ? ていうのも選択肢か。

むう、探しにいくっていっても、候補なんて錬金術店くらいしかないしな。錬金術店は自由都市内にふたつだけど、鳩ポッポ商店街のが近いし、まずはそっちへ行ってみよう。

ポコポコとルイに乗って移動。孤児院を曲がって、通りを行きつつ、たまに『測量』。花壇を綺麗にしているお家もあれば、すごい蔦に覆われた家などもあって、街歩きも面白い。いやはや、迷わないってのは心の余裕だね。『地図製作』のおかげである。取ってよかった。

足元でモニモニと揺れつつも結構なスピードのラージは、まだ吹き出しが全くでないので考えていることは何もわからない。

わりと好奇心旺盛なタイプではあるようで、サッサと進んでは花を眺めてミョンミョンしていたり、日陰でじっとしていたりする。なかなかフリーダム。ジェリは自己主張のない子がほとんどだと掲示板で見ていたから、ちょっと意外だ。ある方がもちろん嬉しいけども。

ルビーは基本的に安全運転でふよふよと猫の横を飛んでいる。ショーユラさんいわく「ロバちゃんとの旅ですから、ロバが全力で駆けるくらいの速度は出るようになってますよ!」とのことだったが、ルイより前に出たことがない。ちゃんと調整できてえらい!

レトは絨毯の上でキョロキョロあちこちを見回して、いつでも忙しない。たまにルビーのお怒りに触れてヂヂーッと怒られている。たぶん安全管理なんだろう。たまに危なっかしいからね。

一度は通った道なのでそう時間もかからず鳩ポッポ商店街の錬金術店へやってきた。

さて、ルイから降りて店へ入ろうか、と思ったとき、ふとすれ違った人の顔に目が吸い寄せられた。…に、似てる! マルコくんそっくり!

しかし背が高い。ということは足が速い。猫が気づいて声をかけようと思ったときには、もう見失いそうなくらい遠くへ行っていた。速すぎる!

これはもしかして、出待ちしてたら錬金術師とニアミスすることもあるけど追いつけない、みたいなNPCだったのかもしれない。持っててよかったGPSと地図。

ルイに乗ってポクポクと来た道を戻る。

…あれ? マルコくんそっくり推定叔父さん、孤児院の門扉の前でなんかしてる?

と思ったら門が開いて、修道服のシスターらしき人物が出てくる。何かを交換してる? シスターが深い感謝を示す礼をして、叔父さんはいやいや気にしないで、な素振り。

ううん、寄付かな? それにしてはシスターも何か渡してたし、売買? 叔父さんが錬金術師なことを考えると、不用品を売ってもらったんだろうか?

猫が首を傾げている間に叔父さんはたったかと道を進んでいく。おっと、一応追いかけねば。

案の定GPSの通りの家へ入ることを見届けて、いざお届けもの再び!

「やあ、君がそうか。マルコから話は聞いているよ」

呼び鈴を鳴らした直後は不審がられたものの、クエストアイテムである貝殻を見せてマルコくんからの紹介だと話すと、叔父さんはにっこり笑顔になった。

「君も錬金術師なんだって? ああ、立ち話もなんだから、どうぞ上がって」

「お邪魔しますにゃん~!」

アパートの3階、叔父さんの部屋は……なんというか、うん、ダメなおじさんの部屋だった。

散らかり放題、座る場所がない、かろうじて動線だけ生きてる。

「いやあ、ごめんねちょっと散らかってて」

ちょっととかいうレベルではないような気がします。

「ええと、もし来たら見せてあげようと思ったものがあったんだけど、どこへやったかな」

叔父さんはきょろきょろと部屋の中を探している。

猫、知ってる…! これ、部屋の片付けクエストでは?

ささっとメニューに目を走らせると、クエスト表記が『錬金術師の探し物』に変わっていた。

「猫の手貸しますにゃん?」

「ああ、お願いするよ。茶色い封筒に入れて赤い紐でまとめてあるはずなんだ」

知らない人を家に上げて家捜しをさせるとは無用心極まりないのではないか? ゲーム内だと都会のセキュリティまで崩壊しているのか?ちょっと宇宙猫になりかけたが「金目のものは置いてないので気にせず探しても大丈夫だよ」と言われてしまったので納得することにした。うむ。

猫も知らんおじさんの家に上がってるわけだし無用心という点では一緒だ。

細けえこたぁいいんだよ、ってやつよ。

さて、探し物なんだけど、この机(?)からソファ(?)から棚(?)からあふれかえる紙類の束をどうにかしなければなるまいよ。ちなみに疑問符が乱舞しちゃうのは紙とか雑多なものの山で本体がよく見えないからである。

「まずはお片付けからにゃんね~」

「ハハハ…まだ片付いてる方なんだけどね」

ほら道がある、じゃない。床は道があって当たり前なの!