軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

57.虎の威を借る

結論から言うと秒で返信が来る大商人は仲間を連れて秒でやってきた。さすがだ。

「お待たせ~~! さすが猫ちゃんはひっかけてくるもののスケールが違いますな~~」

「木工と革工なら30あるから、役に立てると思うぜ」

「調薬30は僕もリーもあるから任せて!」

「いらんかもやけど料理も30あるで」

「素材採取もこのLVで要求されるなら、アルテザ近郊より要求LVが上かもねって話してたの。戦闘もフーテンがやるからおまかせよ」

「頼もしいにゃん~!!」

エドさん、ポユズさん、リーさん、ヤマビコさんとみんな来てくれている。

しかもいつメンPTだけではない。

「赤月夜前後は硝子お休みです!てコロップでウロウロしてたから、声かけたら釣れちゃった」

暇じゃないけど来ちゃった!のガラス工2名まで連れてきてくれたのである!

「だってコロップは2度目ですもの。それに種族クエストを放置してるわたくしではコロップのクエストは見つけられないと痛感しましたの…。ガラスと装飾工なら任せてくださいませ!」

「私も! 小人族のクエスト無理難題が過ぎるのよ…。 鍛冶師はサブだから30ないけど、ガラス工と歌ならおまかせです!」

「ありがとうにゃん! みんな頼りになるにゃーん!」

ティアラさんと、楽士でもあるサッサさんである。

「もし他の技能でも必要そうなものがありましたら言ってくださいませね、陶芸やら鍛冶でしたら 伝(ツテ) がありますの」

しれっとバンザイさん(陶芸家)が引き込まれそうな気配を感じる。でも猫は見なかったことにした。何が必要かわからないから、今は人は多いほどいいですにゃん。

「それにしてもファンシーな面子ね?」

着ぐるみ隊プラス元から着ぐるみのような猫でブレーメンしてるからね。夢の共演よ。

「アルテザは着ぐるみで歩くとNPC好感度が上がるらしいにゃん」

「そんなことある!?」

「獣の仮面でもいいらしいにゃんよ~。『獣の神』も加護をくれるって噂にゃん?」

そういえば判定ガバらしいのに猫には加護をくれなかったんですがそれは。

……。今度着ぐるみか仮面つけて再挑戦しよ。

ちょっとコミュ障気味な裁縫師互助会と、お互い軽い自己紹介と、現在の状況説明をする。

やはり互助会の人々はそれなりに名の知れた人らしくて、フーテンさんは顔見知り(顔は知らない)もいたし、エドさんやリーさんは装備を作ってもらったことがあるらしい。

「LVの高い裁縫師は絶対数が圧倒的に少ないからねえ、どうしても顔が広く売れがちよ」

「私たち以外にも孤高の高LV裁縫師はゴロゴロしてるので、群れてる私たちなんて大したことないんですけどもね」

「その孤高の裁縫師たちは店持ちじゃないし、オーダーとかやる人ほとんどおらんからねえ…」

孤高の裁縫師たち、作りたいものを作ってるタイプか…。

『交易』なくてもマケボがあるから商売は出来るし、マケボに手数料を吸われるのさえ気にしなければ、交流一切なしでも生産は出来るんだって。もちろんマケボだけだと素材揃えるのも大変、セット販売とか出来ないので売るのも茨の道なんだとか。

そして用事を済ませたオードリーさんも合流。

「お待たせ…ってずいぶんな大所帯になってるね。お邪魔だったかい?」

「お待ちしてましたにゃん~! 全然お邪魔じゃないにゃんよ~、頼りにしてますにゃん!」

ようこそようこそ!

オードリーさんには、裁縫師互助会にも参加できる月夜イベント(と思われるもの)を教えてくれてありがとう、とお礼を言われてしまった。巻き込んだだけなんだが。

「猫ちゃんにお礼がしたくてアルテザで呼んでもらったのに、これじゃあこっちがまたお礼が必要になっちまうよ」

「にゃん~?」

お礼をもらうことなんてあったっけ??

「貝、あれでずいぶん楽になったからね。他のを狩りやすくなって、時間も短縮、素材も大漁、いいこと尽くめだよ。ありがとうね。素材たんまり持ってきたから、後でまた見繕っておくれ」

「よかったにゃん~! 素材も見るの楽しみにゃん!」

ドリームブレスシェルがうまくいったのは聞いてたし、そのお礼は後の素材のお値引きでもらったと思ってたのだが、それはただの常連さんへのサービスだという。そうだったのか。

海の素材は面白いものが多いから、見るの楽しみだな!

新しく来た人々で別途PTを組んでもらい、アライアンスに吸収。オードリーさんはLVが違うと迷っていたが、フーテンさんたちPTに吸収された。

その後、ひとまずみんなで神殿へ行くことになった。木工や革工のレシピだけじゃなくて、鍛冶やガラス工、その他レシピも出てくるかもねってことで。

「神は強欲ですわ…!」

「これはまたすごいのがきましたね…」

そしてお祈りを済ませた生産スキル持ちの面々はそれぞれ無事、新しいレシピを入手した。

『裁縫』なくても裁縫神から加護をもらえたみたいだから、レシピがもらえるのは特定の生産がLV30以上ある、が条件になってるんかな?

ティアラさんが入手した『???のレシピ』は、妖精女王のようなデザイン画がついていた。総レースにビーズの刺繍、アクセサリーは王冠、王錫、首飾り。 王権継承品(レガリア) っぽいアイテムだなあ。

しかも指定は硝子と宝石らしくて、ティアラさんが強欲と嘆くわけである。

幸いにして硝子の材料には『??の砂』が指定されているし、宝石も『??の魔宝石』と、おそらくイベントダンジョン(あるんだよね?)で入手可能らしき指定がある。

王錫は鍛冶が必要らしく、ティアラ王国の強権が再び発動してしまうようだ。大丈夫? みんなお暇ではないのでは??

「暇は作るものですのよ、ランさん!」

力強いお言葉をいただいてしまった。ちょっと意味が違う気もしたけど、真理!

エドさんが受け取ったレシピはまた系統が違って、木の骨組に革張りして作る人形のレシピらしい。

「これは…サイズ的に考えると、この人形にドレスを着せる感じですかね」

「人形なんて作ったことないんだが、うまくいくもんかね? あー、でも作りは割りと単純なのか。関節部分の削りだけがやったことない作業だな」

人形のレシピが出てきたってことはついにグラスアイのレシピも出たそうで、ティアラさんとサッサさんが踊っていた。なんでそこで部族の踊りアクションを選択してしまうんだ君たちは。シャル・ウィ・ダンスアクションとかいろいろあるでしょ。

荒ぶる鷹のポーズを決めている二人を尻目に、レシピ解読は続く。

「こっちも鍛冶っぽいレシピがあるな。『??真鍮線』……無しで仕上げても問題なさそうな作りではあるが、レシピにある以上必要なんだろうな」

調薬班のポユズさんは木材に使うらしき薬液と、それからドレス用と思われる染料レシピ。

「よかった、思ったより簡単そう。数がいるかもしれないところだけちょっと難点かな」

そしてリーさんはというと。

「ランちゃん! 錬金術っぽいレシピきたわよ!」

「にゃん!!??」

なんでも『?泥玉』というレシピらしい。素材がキリのいい50個とかで大量にいる。

「たしかにこれは錬金術の匂いがするにゃん」

猫には出なかったのに…!と思ったが、どうやら『変成』を使用するレシピらしい。LV30ない猫にはそもそも無理なやつ。にゃあ、おサボりのツケがこんなところで。

「前段階として素材の『圧縮』と『合成』があるみたいだから、ランちゃんにもお手伝いしてもらっていいかしら?」

「もちろんいいにゃんよ~、猫の手貸しますにゃん!」

釜なら3つあります!

ヤマビコさんが手に入れた「???のレシピ」は、クッキーとホットミルクのレシピ。手土産班!

「おー、役目があって助かるわ」

「え、待って俺、盾無しになる感じ?」

「仕方ないから猫が守ってあげるにゃん」

「えったのもし……いや無理でしょ!?」

にゃふん。

『ポヨ』の実力を試してみたい気もちょっとしたが、よくわからないものをいきなり実戦投入はよくないな。

せっかく神殿に来たのでみんなで社殿で獣の仮面(売ってた)を買い、獣の神のガバ具合をお試ししようということになった。

社殿、噂の『愛のハンカチ』も売っていた。意中のあの子をゲットするアイテムらしい。刺繍をすると効果アップなんだって。すでに刺繍されたハンカチも売ってたりして、なかなか業が深い…。

他にも縁切りのために『ハサミのお守り』が売っていたりと、裁縫の神ならではの品があったりして面白い。

ちなみにペチカちゃんはお試しに『愛のハンカチ』、買ってみたそうだ。「刺繍の練習用にちょうどよさそうです!」とかいってた。

獣面はフーテンさんが白猫、ヤマビコさんが黒山猫、エドさんは狼、ポユズさんとリーさんはおそろで白狐黒狐。

ティアラさんはデフォルメされた白熊を水色に塗ってもらうオプション、サッサさんは白いカラスのお面をセレクト。

猫は虎の仮面だ。せっかくなので虎の威を借りてみる。がおー。

『 善面哉(ヨキオモテカナ) …』

…ガバでした。

お祈りしたら獣の神の加護を得てしまった。ええ?

ていうかこれ、オモテって顔じゃなくてお面のことだったりしない? 獣面というより、お面を褒めてもらったような?? なんか変な感じだ。

ちなみに獣の神は獣系種族の神さまだが、特定種族の神ではないからか、石像がかなり変わっている。

下半身が人、上半身が獣の半人半獣だが、左右も混ざっていて、尻尾も異なる種族のものが2本ついている。具体的に何の種族とはいえないように配慮されてるのかね?

みんな加護を得られたのでおののいていた。

「アルテザのクエストってよくつまるから裁縫向けかとあきらめてたんだけど、あれってもしかして裁縫スキルの有無とかじゃなくて、獣面かどうかで判断されてた…?」

「裁縫スキルが関係してるものもあるけど、してないものの方が多いと思うよ」

そう言うオードリーさんはアルテザがホームタウン、レッサーパンダのマイ着ぐるみを持っていた。必要になる場がよくあるので、互助会が作ってくれたんだって。フサフサのよい毛並み。

「最初は恥ずかしくても、だんだん慣れちまうもんなんだよ…。ないとどうにもならないときがあるからさ」

そこに長く滞在してみないとわからないことって、案外あるのかもしれないな。自由都市だって、謎に迷いやすかったりするもんね。

そんなわけで加護も得られたので、レシピを元にPT再編だ。

イベントフィールドに飛ばされてたショーユラさんたちぬいぐるみ班も帰ってきた。おかえりおかえり。

『いやあ、縫い上がったぬいぐるみが綿を入れる前に突然膨らみ出して、びっくりしたのなんのって。何事かと思いましたが、どうやら中身はスプーキー・インプと同じものだったようで』

ぬいぐるみを改良していく内に軽い手振りが出来るようになり、歩けるようになり、ジェスチャーで簡単な意志疎通が出来るようになったらしい。

そのスプーキー・インプがいう(ジェスチャー)には、ぬいぐるみがたくさんほしいそうだ。

そしてリクエスト通りにぬいぐるみを作ると、そのぬいぐるみがまた動き出すのだという。メルヘン工房始まってた。

『さすが小人の靴屋、手伝ってくれるので製作が捗る捗る止まらない待って!とかいってたら材料が切れたのでいったん戻ってこれた次第です。問題は、さっきまで作ってた小人のぬいぐるみたちがどこにもいないことでですね…………』

『大事件にゃん』

イベントフィールドに置き去りになっているならまだいいのだけど、もしこの街中に解き放ってしまってたらどうしよう!?というのと、素材なくてどうしよう!?というので止まっているところだそうだ。