作品タイトル不明
586回目 VS『方舟』・開幕
「それじゃあよろしく頼むぞ! この戦いの成否は、君達に掛かっていると言っても過言じゃないのだから!!」
『『『『『はい!! お任せを!!』』』』』
☆5『◇天空城『レナスティア』』にある天空城の射出孔には、五機の『神威』が並んでいた。
☆5『◇創造神の『神威』工房』にて、☆5『神罰の鎖』から造られた機動兵器『神威』。目の前に並ぶそれらは、アレス達が乗った時とは全く違う姿で浮かんでいた。
その姿を一言で表すならば『人魚型ロボット』である。
全体的に見ても魚のヒレの様なパーツが所々に見られるが、その一番の特徴はやはりなんと言っても尾ビレだろう。本物の人魚の様に、下半身が丸々魚の形状をしているのだ。
なぜそんな形状をしているのか。その答えは簡単だ。乗っているのがマーメイド族だからである。『神威』は特殊な機動兵器なので、乗っている人物の特性に合わせて外見が変わる。それにマーメイド族が乗ったらどうなるかは、見ての通りである。
今、世界は改変され、陸地が空に浮かび魚の生息地も空になった。それに合わせて、マーメイド族も普通に空を泳げる様になっていたのだ。
だからこその『神威』である。
この五機の『神威』は、☆5『神罰の鎖』から造られた物であり、その力を宿している。と同時に、『神罰の鎖』の制限も受けているのだ。
それは『神罰の鎖』を使用して敵を絡め取っている時には、自分も動けなくなる。と言う制限である。
本来であれば、地上に立って『神罰の鎖』を使うので、使用者はまるで根でも張ったかの様にその場を動けなくなる。それは空中でも変わらなかったのだが、動けないという制限が付くのは、あくまでも使用者と絡め取られた者であり、周囲には影響しなかった。
要は、空中で動けなくなった『神罰の鎖』の使用者を、第三者が動かすのは可能だったのだ。
これを地上でやると、脚が地面を離れようとしないので難しいのだが、空中にいる場合のみそれは可能になった。絡め取られた側は移動できないのに、である。
となればだ、使わない手は無い。
それに、☆5『◇天空城『レナスティア』』にある浮島の一つ、『軍務の浮島』にあるダンジョンでは、『魔導兵器』のパーツと、それを組み上げる施設があった。
パーツ集めも、望む『魔導兵器』を造るのも一筋縄では行かなかったが、『軍務の浮島』のダンジョンでは『方舟』との戦いの為に集められた騎士達が常に訓練をしていた為、既にあるパーツの方が多かった。
それで造られたのが、マーメイド族専用魔導兵器『 海闘士(マリーナ) シリーズ』である。
これは言うなれば、人魚型の『神威』を真似た量産機であり、もちろん『神罰の鎖』の機能など持たない、空を泳ぐのに特化した魔導兵器だ。
これを、『神威』のサポートに付ける事によって、移動と、乗組員の交代を行う。
これから始まる『方舟』との戦いは長くなる。それはもう、気が遠くなるほど長くなるのが目に見えているのだ。交代は必須である。
「よし! 行け!!」
『『『『『ハッ!!』』』』』
威勢の良い声を上げて、五機の『神威』と、それに追従する魔導兵器達が飛んでいく。彼らはそれぞれ、『神威』一機の班に魔導兵器四機の編成で別れ、それぞれが配置についた。
彼らの側には、小分けにされた『神聖樹の森』の小島もあり、そこには☆4『コンテナハウス』を拠点として置いてある。
「展開、☆5『闘神『ガルネシア』の闘技場』!」
俺がスキル倉庫から☆5『闘神『ガルネシア』の闘技場』の本体である野球盤の様なジオラマを取り出すと、そのジオラマを拡大した物が、何も無い海上から少し浮いた所に展開された。
俺はすぐに闘技場の設定を開き、使用者顕現を『レティア』に移譲する。これにより、闘技場の舞台環境や、そこに立てる者の指定をレティアが行える様になる。
「俺達の命、預けるぞレティア」
これは比喩ではない。戦える者と相手を選ぶのはレティアであり、岩場や草原などの闘技場舞台の設定や、戦う者達の撤退や交代も、全てレティアの考えの元で行われるのだ。
その俺の言葉を聞き、ルービックキューブのような姿で浮いている『レナスティア』の管理AIであるレティアは、強く明滅しながら答える。
『お任せください。マスター!!』
その返事は、機械とは思えない程に強い決意を感じさせる物だった。
「…………!! 来たぞ!!」
仲間の誰かが上げた声に、俺達は空を見上げた。
そこにあるのは、赤く燃えながらも、禍々しい瘴気の尾を引いた流れ星。
その見た目だけで破滅を思わせるその流れ星こそが『方舟』だ。その船体の所々からは、幻獣の巨大な身体すらも、もはや肉眼で捉える事ができる!
「開戦だ!! 『方舟』を落とせーーーーっ!!」
俺の開戦を告げる声はフレンドチャットにより仲間達に届き、五機の『神威』から一斉に☆5『神罰の鎖』が撃ち出された!
それは一瞬で雲を突き抜け、大気圏の表面を撫でる『方舟』を幻獣や神獣ごと絡め取り、一気に俺達の待つ海上へと引き寄せる!!
『オォオオォォーーーーッ!!』
『グガガガガッ!!』
『ギャギャギャッ!!』
『グォーームゥーーーーッ!!』
様々な声や音を放ちながら、『方舟』は船体を真っ赤に染めて落ちて来た。
その姿は途轍もなくデカイ。全長何百メートルになるのか、日本で見た事のある巨大タンカーよりも、遥かにデカイと断言出来る。
その巨体が海に落下した事で大きな津波が起きたが、それと同時に、海の表面を輝く結界が覆っていく。
それは北と南にいる『双極龍』の結界だ。これにより『方舟』は、『双極龍』の結界と5機の『神威』が両腕から放った十本もの鎖によって、島一つない海にその身を固定されたのだった。
まずは第一段階。俺達は、『方舟』を幻獣や狂った神獣ごと、捕らえる事に成功した。