軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

568回目 もしも世界が…………

話しは少し前に遡る。

俺達と共に『方舟』と戦うと、そう声を上げて集まった志願者達。

その出自は様々で身分も様々だ。だが、ちょっとした試験を行い仲間達が面接も行った所、特に不信な点も見つからず、☆4『導きの龍水晶』の結果もシロだった。

だから、そのまますんなりと受け入れようかと思い、割り振りを話し合う為にレナスティアの主要人物を集めた会議を開いたのだが、そこでただ一人、ラグラフが異を唱えた。

「まあ待て。その☆4『導きの龍水晶』ってのが便利なのは認めるが、どんなに優れたアイテムや魔法でも、効果が固定されたヤツってのは必ず対策される。結論を出す前に、最後の詰めを俺に任せといてくれや」

「それは良いけど。何か敵意がある奴を見抜く魔法とかスキルでもあるのか?」

「うーーん、…………ある意味スキルではあるな。いわゆる『直感』ってヤツだ」

「直感かよ!?」

「ガモンよ、直感ってヤツはバカに出来ねぇんだぜ? 特に俺らみてぇな、裏の裏を這い回ってたような奴らの直感はな。まぁ、結果を見といてくれや」

自信に溢れた様子でニヤリと笑うラグラフに、『まぁ良いか』くらいの軽い気持ちで最後の詰めを任せたのだが、これが大正解だった。

悪意を持って俺達に近づこうとしていた者達は、確かにいたのだ。

その目的は様々で、宝を奪う為とか、情報を手にする為とかなら可愛い方で、中には冷戦中の他国を貶める為とか、レナスティアの戦力を奪う為なんてモノまであった。

正直、放っておいても『レティア』が気づいたとは思うが、気分のいいものではない。その不届き者は捕縛してすぐに国に送り返し、厳重抗議も行った。

おかげで高かった士気が少し下がった気がする。だが、ラグラフのおかげで、被害らしい被害は、何も起こらなかったのだ。

…………しかし、この話には続きがある。

それは、ラグラフが見つけた奴らの後処理が終わった後の話だ。

俺は礼を兼ねて、天空城の中にあるラグラフの部屋を訪れていた。

「ラグラフ。今回は助かったよ。これ、報酬に用意した酒だ。部下達と飲んでくれ、ツマミになりそうな物も置いていく」

「おう。ありがたく頂くぜ」

俺が、ラグラフ達への報酬として用意したガチャ産の酒やツマミを置いていくと、ラグラフはそれを嬉々として受け取った。…………のだが、俺はそこで、ラグラフが何か言いたげな顔をしている事に気がついた。

「…………どうしたラグラフ。何か言いたい事でもあるのか? 言ってみろよ、聞くだけ聞くから」

「…………あーー、うん。そうだな、俺の手には負えねぇし、やっぱお前に丸投げするしかねぇよな」

「うん?」

「いや実はよ。悪意って訳じゃなく俺の感に引っ掛かった奴がいてよ。どうしたら良いか決めかねてたんだよ」

「どうしたらって、報告しろよ」

「まぁそうだよな。でもよ、そいつ悪意があるわけでもねぇし素行も良い方なんだよ。配属先では真面目に働いているって報告も受けているしな」

「うん? 悪意がなくて素行も良くて、真面目に働いている? …………解らないな、何が問題だってんだよ?」

首を傾げて先を促す俺に、ラグラフは詳しい説明を始めた。

「…………前置きが長くなるが、お前さん『ベルニウム』って国は知ってるか?」

「『ベルニウム』? …………いや、知らない。似た名前の国なら知ってるけど。確か『ベルセイム』と『ベルトール』だっけ?」

「ああそっちは知ってるんだな。なら話しは早い。ベルニウムってのは、そのベルセイムとベルトールが分裂する前の国家だ」

ラグラフによると、十数年前、南の帝国が滅びた時の余波が世界中に広がった時に、一番変動が激しかったのが、このベルニウムと言う大国だったそうだ。

ちょうどその頃、ベルニウムでは国王が病により急死し、次代の王を巡って勢力争いが起きており、国内は荒れに荒れていた。

この時は、王の子供だけでなく、王家の血がわずかに混ざった有力な貴族達も、次の王位を狙っていた。国内は混乱し、至る所で内乱も起きていた。

だがこの混乱は、更に大きな混乱に飲み込まれて消える事になる。どういう事かと言うと、ベルニウムの南にある『ドトールン』と言う国が、この機に乗じてベルニウムに攻め込んだのだ。

「元々分裂し掛かっていた事もあってベルニウムは決定的に分裂し、間に楔のように入り込んだドトールンを壁としてベルセイムとベルトールって二つの国に別れてしまった。以来、西のベルセイム、真ん中のドトールン、東のベルトールは、絶えず戦争状態だ。まぁその争いも、世界がこんなになってる今は冷戦状態だけどな」

「そうなのか。…………で、それが今回の事に関係あると?」

「大ありよ。俺が見つけた『訳あり』ってのはベルトールの姫さんでな。ベルセイムからの戦力として国から送り込まれている婚約者だった男に会いたい一心で、『方舟』との戦いに志願してきた女だったんだよ」

「なるほど、そう繋がるのか…………」

「『世界がどうなるとしても、もう一度あの人に会いたい』その一心でやって来た根性のある女だ。何とかしてやりてぇじゃねぇか」

志願者として来た女性と、国から戦力として派遣されてきた元・婚約者か。国同士が冷戦中と言う事もあって、ラグラフも簡単には会わせられないとした訳だな。

…………ちょっと仲間に相談してみるか。