軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

564回目 大きな代償

『この世界の改変は、神器である『魔神のサイコロ』を使用しても、簡単に行える事ではない。それも、ガモンの思い描いた世界に変えるのであれば、尚の事な』

『逆に言うと『魔神のサイコロ』以外ではそれを検討する事も出来ないんだけどね。良くも悪くも』

創造神ジーウスが髭を撫でながら言い、運命神ダイスは苦笑しながらそれに続いた。

☆5『魔神のサイコロ』は壊れた神器である。それは『性能が壊れている』と言う☆5のガチャアイテムの全てに言えるやつとは少しズレて、性能面だけでなく神器としても単純に壊れている。まぁ、単純に言えば不良品だな。

どうやらこれ、神々にしても予想外の壊れ方だったらしく、これを手掛けた魔神も廃棄した筈が『何故か』俺のスキルに紛れ込んでいたらしい。

…………そんな事あるか? と、ふと運命神ダイスに目を向けると、ホンの少しだけ目が泳いだ気がした。もしかしたら、魔神が廃棄したと口で言っただけで、実は紛れ込ませていたとか、そういうのがあるのかも知れない。

『ガモンの言う様に世界を変える事自体はできる。陸地を浮かせる事も、その世界の法則を変えて生物の性質や住む場所を変える事も『魔神のサイコロ』ならばできるであろう。だが、やはりそれが及ぼす影響と法則の書き換えが世界に定着するまでの時間が問題よ。我らがこの世界に直接干渉してしまえば、その反動は、取り返しのつかない厄災となって牙を剥くだろう』

『要するに、僕達が君のスキルを通して『魔神のサイコロ』の方向性を定める事は出来るけど、それはあくまでも一時的なものなんだよ。でも、流石に世界規模の改変ともなれば、その一時的な介入だけではどうしようも無いんだよね』

「…………かと言って継続的に力を貸すとなると、今度は神々の力にあてられて世界に別の影響が出て来る、と。…………なるほどなぁ」

実際問題、俺はかなりの無茶を通そうとしているのだ。そんな事、ノーリスクで出来る訳もない。

「でも、どうにかする方法もあるんですね?」

『ウム。我ら神の世界からお主らの世界に直接繋ぐのが問題ならば、その中間にある物を経由すれば良い。我ら神々の力にも、お主らの世界にも馴染むものがあれば、そう大きな影響にはなるまい』

『もちろん、並みの物ではダメだよ? 僕ら神の力にも耐えられる物でなければ、瓦解してしまうからね』

創造神も運命神も、その物について言及はしなかったが、俺はその『物』に、思いきり心当たりがあった。…………だが、それを取り上げられると言うのは…………。

俺は覚悟を決める為にも、眼を閉じて静かに何度かの深呼吸を繰り返した。そしてしばらく後に眼を開いて、答えを口にした。

「…………俺のガチャアイテムですね? それも、☆5以上の…………」

『…………そういう事よの。さらに言えば、お主の魂に刻まれたスキルの為の回路も少し組み換える必要もある。それによって、お主のスキルは大きく弱体化する事になるであろう事も、言っておく』

『具体的に言うと、世界を作り替えると同時にほぼ全ての力が使えなくなる。二つや三つなら残す事も出来るだろうけど、『魔王討伐ガチャ』や、個別のガチャ、それに装備やスキルの合成も出来なくなるだろうね』

「…………そんなにか」

『逆に言えばその程度で済むのだ。世界を作り変えるのにその程度ならば、むしろ喜ぶべき所であろう』

「それは…………、そうかも知れませんね」

『…………どうやら、少し飲み込む時間が必要だね。ルカタルトの料理も気になるし、僕達も食事を楽しもうか』

ダイスによる提案で、俺達は少し休憩する事なった。正直、俺の頭も結構限界に近づいていたから、この申し出はありがたかった。

『では運命神よ、我らも他の人間と親交をして来ようではないか。…………ガモンよ、しばらくしたらまたここで話そう』

『代償については、全てが無くなる訳でもないからね。でも、あまり多くは残せない事も覚えておいてね』

俺達に気を使ってか、ジーウスとダイスは飛空艇に乗り、別の島へと飛んで言った。俺はテーブルの上にずっとあって、すっかり冷めてしまったコーヒーを飲んで、じっとこっちを見ている仲間達に声をかけた。

「…………とりあえず、俺達もなにか食おう」

「…………そうね。じゃあガモン、一緒に料理を取りに行きましょ?」

「ああ。そうしよう」

俺とティアナが席を立つと、アレス達も料理を取りに行くべく席を立った。

ただ、誰一人として、今回の食事を楽しみにしていたドゥルクでさえも、この島からは出ようとせずに、島の上にある料理だけを選んでいた。

まぁ、この島の上だけでも長テーブルの上に食べきれない程の種類と量があるから、十分ではあるんだけどな。

そうして俺は、仲間から相談の不十分さを少し責められつつも、この日の為の料理を存分に楽しんだ。

こういう、仲間とのかけがいのない時間があるから、この世界を失う訳にはいかないんだよ。