軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

563回目 『転世の会談』

普通に生きていたのなら、絶対に無いと断言できる神々との邂逅。

神とは敬い畏れを抱く対象であり、その圧倒的な存在を前にして、進んで口を開ける者など誰もいなかった────。

…………なんて事になるかと思っていた時期が、俺にもありました。しかし、蓋を開けてみればそんな事は微塵もなく。

「…………なんと! あの魔法にその様な解釈があったのですか!!」

「…………なるほど! ありがとうございます! これで長年の謎がひとつ解けました!!」

「ほほぅ。てっきりあれはただの毒草と思っておりましたが、そんな使い方があったのですか。これは話が聞けて良かったです!」

流石は王侯貴族と言うべきか。彼らのコミュ力は俺の想像を軽く越えて来た。彼らは多くの神々の自己紹介を受けてその全員を把握し、それぞれが自分達と話が弾みそうな神の元へと挨拶にいって歓談をし始めた。

しかも、神々や自分達がルカタルトの料理を食べる隙も絶妙に生み出し、それもまた歓談の材料にしている。

王侯貴族ともなれば、多くのパーティーを経験しているからだろうか、その動きに淀みは無い。さらには王侯貴族同士での連携も凄く良く出来ている。互いの話を邪魔しないように、場を盛り上げるようにと全員で協力しあっている感じか。俺には真似出来そうにないな、アレ。

…………と、ここに招いた神々と王侯貴族の様子も気になるが、そうも言ってられない。

俺と仲間達は、盛り上がっているパーティー会場を見下ろす形になる島のひとつで、創造神と運命神を相手にテーブルを囲んでいた。

この場にいるのは、俺とパーティーメンバーの四人に、ドゥルク。神側は創造神と運命神の二柱だけである。

『さて、ようやく顔を合わせる事が出来たな、ガモンよ。私が創造神だ。名前は…………、そうだな『ジーウス』とでも呼んでくれるかの』

「ジーウス様、ですね。はじめまして、ガモンです」

『ウム。まぁ、お主らの事はよく見ておったから、初めてと言う感じでも無いがのぅ。よろしく頼む』

俺達が顔を合わせた理由。それは世界を改変する算段をつける為だ。

元々、俺には世界を変える為の腹案があり、それは既にダイスを通じて神々にも打診している。☆5『魔神のサイコロ』を使う方法だ。

『お主の考えは運命神から聞いておる。『魔神のサイコロ』と言うな。あれは本来ならば使える筈もない欠陥品よ。それをあえて使うと言う、その策は面白い。あれは人間が使えば間違いなく破滅をもたらすアイテムだが、我らならば確かにその破滅を避ける事ができる。その点には協力しよう』

「やっぱり使っちゃダメなヤツでしたか、そんな気はしてましたけど…………」

『正直、ガモンがすぐに封印を決めた時には驚いたよね。使わないまでも、切り札として手札に数えるかと思ってたよ』

「いや、それは完全に日本の漫画やゲームの英才教育だよね。ゲームの話だけど、あれ系のアイテムで痛い目に合うのなんてよく見るもの。…………まぁ、結局は切り札にしちゃってるんだけど」

『ウム。だが、もはやあれ程の神器でも使わねば、この世界はどうにもならん。正直な所、我々はお前達の世界の事は、半ば諦めていたからのぅ…………』

おいおい、神がそれを言うか? とは思うが、それも仕方ないかも知れない。『魔王』から『幻獣』から『方舟』と、問題がてんこ盛りだからな。現状としても、魔王が地上から『方舟』に戻っただけで、脅威が減った訳じゃないし。

『さて、本題に入るが。お主の『世界を作り変えて『方舟』と世界を賭けて真っ向勝負をする』と言う案に、我々は賛成する。お主が『魔神のサイコロ』を使うと同時に、その方向性を調整し、不具合になる所を修正する所も、我らが請け負う』

「ありがとうございます!」

『…………だが、不十分よな。いくら神器とは言え、世界を作り変える──、それも世界の在り方から法則まで丸ごと変えると言うには、如何に『魔神のサイコロ』と言えど不可能よな』

「……………………」

「「ふ、不可能!? ほ、本当に…………!?」」

創造神ジーウスの言葉に仲間達は驚いたが、俺は無言でドゥルクと視線を交わした。俺もそうだがドゥルクの眼も『やっぱりか』と、雄弁に語っていた。

『…………お主らは驚かんのだな。想定の範囲だったか』

「…………まぁ、ドゥルクと対象とする範囲が大き過ぎるかも知れない。とは話し合っていました」

その俺の言葉に、仲間達から『なぜ黙ってたのか』と言う視線が送られて来るが、これについては俺とドゥルク、更にはアルジャーノンや女神ヴァティーをしても『確証は何もない』話だったから、いたずらに広げるのを避けたかったのだ。

仲間が広めるとは思っていないが、こういう噂は、『仲間内での立ち話を偶然聞いた』とかで広まる事があるからな。壁に耳ありってヤツだ。

『ああでも、このままでは不可能ってだけだからね。可能にする方法はもちろんあるからね、安心していいよ』

『運命神の言う通りよな。だがガモンよ、これはお主には多大な負担を強いる話でもあるのだがな…………』

「…………俺に? ですか」

『ウム』

俺と二柱の神の間に緊張が走った。そして俺は、何となくそれで察してしまった。多分これは、俺のスキル『ガチャ・マイスター』に関わる話なのだろう、と。