作品タイトル不明
493回目 とあるゲームの世界観
そのゲームはロールプレイングゲームだった。
プレイ出来るのは、従兄が高校生の頃の最新ゲーム機で、俺から見ると何世代も前の『ドリームなんちゃら』と言うゲーム機。従兄が「一瞬しか盛り上がんなかったけど、俺はこれが一番好き」だと言って貸してくれたゲーム機だ。やってみた感想としては、俺も嫌いじゃなかった。
で、肝心のゲームの方だ。
それは星を丸々一つ使った壮大なゲームだった。そういうのは昔からあることはあるが、丸々遊び尽くせると言う意味では、そのゲームは凄かった。
その星の環境も特殊であり、その世界観をとても上手く使っていた印象が今でも残っている。それまでロールプレイングゲームは一周やって終わり、もしくはラスボスの寸前で飽きる事が多かった俺が、そのゲームは三周している。別に強くてニューゲーム的なのや、追加要素があるわけでも無いのに、三周してしまったゲームは、それが初めてだった。
ゲームの世界観としては、陸地は全て空飛ぶ島として浮いている世界だった。
海についてあまり言及は無かった気がするが、ゲームの後半でアイテム回収の為に入った海は死の世界で、生き物が存在しない、暗くて底には汚泥が積もっている海だった。
なら海の生物はどうしているのかと言えば、魚は空を泳いでいた。鳥も同様に飛んでいるのだが、高度の差か何かで棲み分けは出来ている印象だった。
移動手段は飛空艇。エネルギー源は空に六つもある星から落ちてくる星の欠片。
飛空艇が飛び交う世界なので、海賊はいないが空賊がいる世界。主人公はその空賊の少年で、自分の船を持って一人前の空賊になるべく、仲間と共に旅立つ、みたいな話である。
思い出せば思い出す程、面白いゲームだった。
戦闘はターン制で、生身でも戦うが飛空艇に乗って他の空賊船や、空を飛ぶ大王イカのような巨大モンスターとの戦闘もあったのは最高だった。
…………そして、この昔やったゲームの夢を見た事で、俺の中に『世界を創り変える』と言う案が生まれた訳だ。そう、まさにこの世界観に。
いや、ゲームを現実にしようとするな! と思うかも知れないが、これなら陸地を全て空に上げた後の『海』を、丸々戦いの場に出来る。どんなに海が汚染されても関係ないから、遠慮なく『方舟』と『幻獣』と『魔王』を相手に出来る。海を足場に変えるのも、例えば『光を反射する全ての物を結界に変える』と言う効果を持つ☆5『鏡面の結界』とかの☆5アイテムを使えば不可能では無いだろう。
さらに戦いの時には、空飛ぶ島を星の反対側に避難させておけば、人も大地も護るのが容易になる。
どう少なく見積もっても、『方舟』との戦いは総力戦だ。それも世界を丸ごと巻き込んだ総力戦。『方舟』自体はラスボスになるとしても、俺達だけでは『幻獣』はともかく『魔王』の相手まではしてられない。
当然『魔王』の相手は『ノーバスナイト』や『メガリス』、アルグレゴ小隊などに任せざるを得ない。ひょっとしたら、『幻獣』の相手すらも、任せなくてはいけなくなるかも知れない。
ならば、やはり場所は重要だ。足場が水ならば、形を変えて俺達に有利な場所にする事も不可能ではない筈だしな。
◇
「陸地の無い『海』よりも広い場所がこの世界にあるか? 陸地も生物も居ない海を戦いの場に出来るのなら、何も考えずに戦えるだろう?」
「…………ガ、ガモン殿。本気ですか? 本当にそんな事が出来ると?」
「とんでもねぇ事を考えやすね。正直、あっしには旦那の頭がどうにかなっちまったとしか思えやせんぜ…………」
「全ての陸地を空に? …………全く想像出来ないわね」
「…………そ、そんな事、神がお許しになるでしょうか…………」
『ミロ、貴様ノ仲間デスラ困惑シテイルゾ?』
まぁ、そりゃそうだろう。皆は、この世界をこのまま護るつもりでいたのだろうから。
だがそれは不可能だ。俺も色々考えたが、どうしても無理がある。『大魔王・ナラク』を相手にしているだけで、この西の大陸は瘴気や暴れた跡で酷い有り様だからな。この上他の魔王や幻獣まで相手にするのは明らかにキャパオーバーだ。空気も汚染されるし大地も死ぬ。
だが俺の案なら、空気の汚染も影響は少ないだろう。何せ汚染される空気は海の表面であり、陸地は遥か上空なのだから。
ちなみにこの案が実現可能かどうかと言うと、俺はいけると思っている。
「おそらくは不可能じゃない。現状で持ってる☆5を並べて、これから出てくるであろう☆5も加味したら、だけどな」
俺の話を聞いた仲間の反応は『絶句』だ。あんまりにも突拍子も無い話に、固まってしまったようだった。