軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

484回目 第二ラウンド

『グオオオオッ!!』

振り下ろされる大魔王の拳を避けながら、俺は巨大な拳を逸らすように拳を繰り出した。

☆5『破壊神の拳』。それは肘から指先までを覆う手甲のような武器であり、青白く輝くそれは、とても何かを『破壊』する為に造られたとは思えない美しい装備だ。

青い鋼に銀で装飾がされ、禍々しい雰囲気などは無く、ただ装飾を囲むように、小さな文字がビッシリと彫り込まれている。その文字は、テキストを見る限り『神語』となっている。神の世界の言語だろうか? それはよく解らない。

この『破壊神の拳』は、かなり取り扱いに注意しなければならない武器だ。魔力を『破壊』の力に変えるこの拳は、触れただけで対象を破壊してしまう事もあるらしい。その為、これを装備すると『サブウェポン』と『腕装備』が装備できなくなる程だ。

そして、この『破壊神の拳』と軌道を変える様にぶつかった『大魔王』の腕は、そのぶつかった部分がバリバリと削れるように破壊される。…………とは言え、魔王の影がすぐに塞いでしまうのだが、破壊の力がある為か、大魔王の巨大な拳を逸らす事には成功した。

が、奈落とてそれで良しとする筈もなく、体を捻り逸らされた右手を地面につき、流れる様に水平蹴りを放って来た!

「ぐっ!? …………うおぉっ!?」

俺はそれを腕を盾にガードしたが、大魔王が振り切った脚にぶっ飛ばされてしまった!

しかも大魔王は、振り切った脚を今度は軸にして、もう片方の脚で回し蹴りの様に追撃までして来る! 宙に浮いた状態でそんなの喰らったら、ダメージもヤバイが何処までぶっ飛ばされるか解らない!!

「ヤバッ!?」

俺は咄嗟に『ヘルメスの靴』に魔力を込める。すると足の裏側に透明な板が現れて足場になり、俺はすかさずジャンプした。

しかし、慌てていたせいで上手く跳べなかった為、まだ大魔王の回し蹴りの射程内に入っていた。俺は腕を盾にして歯を食いしばり、衝撃に耐えようとしたのだが、そこにタイミングよく剣を振りかぶったアレスが突っ込んで来た!

「させるか!!」

『グオォッ!?』

その回し蹴りは、稲妻を纏いながら突っ込んで来たアレスの攻撃によって強制的に下げられ、俺もギリギリの所で直撃を免れた。

「今のはヤバかった!! アレス! 助かった!!」

「間に合って良かった!」

回し蹴りを外された大魔王はたたらを踏み、左腕が無い事もあってバランスを崩し倒れた。そしてそこに降り注ぐ砲撃があった。

『グオオオオッ!?』

それは『大蛇八首』を運んで来た飛空艇『ヒポグリフ』からの射撃だ。『ヒポグリフ』は『大蛇八首』が降りてからも空に待機しており、攻撃できる隙を狙っていたらしい。

『ナ、ナメルナ! キサマラーーッ!!』

大魔王の中から奈落のくぐもった声が響き、大魔王が纏う魔王の鎧から影が鞭のように何本も飛び出した。さらにその影の先端がドリルのように螺旋を形造りながら回転し、次々と襲って来る!

そして上空に浮かぶ飛空艇『ヒポグリフ』へは、大魔王の真上に現れた魔方陣から岩や氷の礫が、マシンガンの連射のように撃ち出され、全ては避けられないと悟ったのか『ヒポグリフ』は船体のダメージを減らす為に、遥か上空へと避難していった。

「うおおおおっ!?」

しかし、地上にいる俺達はそう簡単には逃げられない。俺は空中に足場を作れる『ヘルメスの靴』のスキルを使いながら動き回り、時に影で出来たドリルを『破壊神の拳』で殴って破壊する。

しかしそれは魔王そのものである為、決して完全には破壊出来ない。出来たとしても、すぐに再生してしまう。

この影を相手にしている限り、この戦いに終わりは無いのだ。

「ガモン殿! アレを!!」

「今それどころじゃ…………って! また来たか!!」

俺達を追う、魔王の鞭の動きが悪くなったかと思えば、大魔王の体からまた黒い煙のような物が立ち上った。

それは消えていく魔王の証だ。だが大魔王は、先程のように硬直はせずに、ぎこちなくだが動いていた。

…………先程は硬直時間がやけに長いと気になっていたが、やはりと言うべきか、新たに『郷愁の禍津像』を破壊されても良いように、準備をしていた様だ。

だが、それでも魔王の動きは遅くてぎこちない程度であり、普通通りには動けないが、決して速い動きでもなかった。

「しかし動きは止まらないか! アレス! バルタ! 大きな隙が出来るまで、細かく攻撃を重ねていくぞ!!」

「はい!!」

「へい!!」

大魔王を囲みながら動き、少しずつ攻撃を当てていく中で、唐突に少し離れたあたりから、爆発音が聞こえてきた。どうやら『大蛇八首』が大魔王の左腕でもあった『サワン』を討ち倒したらしい。

ジワジワと、この戦いの状況が変わりつつあった。

そしてその状況の変化は、こことは別の場所でも起こっていた事なのである。