軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

458回目 無茶ブリ

「初めまして世界樹様方。僕はアルジャーノンと言います。ガモンくんに皆様の話を聞いて、駆けつけました」

「「ア、アルジャーノン様!?」」

円卓のある広間で席にも座らず、立ったままでお喋りをしていた世界樹達に近づき、アルジャーノンが優雅に挨拶をした。

すると、ほとんど幽霊のような存在である世界樹達をどうにかもてなそうとしていたエルフの長老達が、驚きの表情と共にアルジャーノンの邪魔をしないように後ろに下がった。

『あっ! もしかしてゼルミニーニャちゃんの子供のアルジャーノンくん? 久し振りに顔を見たわね!』

『もしかして知ってるエルフなの?』

『エルフ? それにしては気配が違うわね』

『魔力もずいぶん多いわよ』

『背が小さいからドワーフかと思った』

『アルジャーノンくんは、エルフのゼルミニーニャちゃんとドワーフのドドベルダくんの息子なのよ』

『エルフとドワーフのハーフって事?』

『その種族間でよく生まれたわね』

『へぇーー、珍しい』

『そうある事じゃ無いわね』

『それに見た目も可愛いわ!』

ワラワラとアルジャーノンを囲みはじめる世界樹達。どうやらアルジャーノンどころか、その両親についても知っているらしい。

流石は世界樹。アルジャーノンがどれだけ長く生きていたとしても世界樹には敵わないな。

それに、いくらアルジャーノンとは言えエルフの血も継いでいる以上、世界樹相手には逆らえないみたいだ。

世界樹達には体がある訳じゃないので揉みくちゃにはされないが、世界樹達は空中に女性物の服、それもセーラー服なんかを投影してはアルジャーノンに合わせて着せ替えを楽しみ始めた。

アルジャーノンは男だが、中性的と言うよりも少女に近い顔立ちをしているので違和感はない。アルジャーノンも世界樹達が楽しんでいるのを止められないのか、されるがままである。

あーー、でもアルジャーノンの眼が死んできているな。そろそろ助けるか。

「あの! 世界樹様がたは体が欲しいんですよね? そこにいるアルジャーノンならば何とかなるかも知れないので、相談してみたらどうでしょうか?」

『え? アルジャーノンくんが体を?』

「は、はい。上手くいくかは解りませんが、説明をさせて貰いますね」

何だが既に疲れているアルジャーノンが、世界樹達に体を作る方法を説明する。その際に幽霊の状態でホムンクルスに憑依しているドゥルクが、一例として役立っていた。

世界樹達はフムフムと頷きながら聞いていたが、話が終わった後でドゥルクの抜けたホムンクルスを見ながら首を傾げた。

『この方法しかないの? これだと無理なのは、アルジャーノンくんも解っているでしょ?』

「…………やはりそうですか」

「え? 無理なの?」

まさかの無理と言う結論。えぇーー、『運命神』が出来ると言うんだから出来るんじゃないの?

「僕の作るホムンクルスは、本人の体を元にして作る、言わば『セカンドボディ』だからね。ヴァティーにしてもドゥルクにしても、違和感なく長時間憑依していられるのは、それがあくまでも自らの情報を元に作った『自分の体』だからなんだよ。でも世界樹様の本体は…………」

「…………『樹木』か。それだと人の体は作れない?」

「うん。生命としてのあり方が違い過ぎるからね。今、世界樹様方は『精神体』の姿だから自由に体を動かせる。これは人で言えば空想をしている状態なんだ。空想はどこまでいっても空想でしかなくて現実じゃない。例えるなら、頭のなかで竜の姿にはなれるけど、実際に竜になったら上手く体を動かせない。体の構造が違い過ぎるからね」

『それにもし作れたとしても、それだと本体がこの場に無い私達は作って貰えないしね』

『あなたはまだこの星に本体があるからいいでしょ?』

『そうそう、アタシなんてかなり離れた星に本体があるもの』

『体を作るなら全員分は欲しいよね』

『そうそう、私達も協力するんだし、欲しいわよ』

キャッキャッと盛り上がる世界樹達。そこで俺はふとある事に気がついた。この世界樹達は、人数が増減しているのだ。ほら今も、一人がフッと消えたかと思うと、別の二人が急に現れた。

これがどういう事なのか? 俺は思いきってその疑問を世界樹の一人に聞いてみた。

『え? うん、人数は変わるよ? 私達ってこの世界に散らばった『方舟』の破片から発芽したから無数にいるもの。でも、全員で集まると大変でしょ? だから意識の共有をした上で順番にに出て来てるの。あ、人格は別だけど、意識の統一はしているから受け答えには違和感無いはずだよ?』

「…………だよ? って…………」

とんでも無い事を軽く言われたんだが? え? つまり無数にいて、それでいてコロコロ変わる世界樹の体を作らないといけないの? …………いや無理だろ。いくらアルジャーノンだってそれは無理だ。

『ところで、体を用意するのってアルジャーノンくんなの?』

「え? …………いや、正直なところ僕の手には余るかと…………」

『だよね。『運命神』様によると、私達に体を用意してくれるのはガモンくんだって話だものね』

俺!!?? いやいやいやいや! 無理でしょそんなん!? どんな無茶ブリだよ!!

「…………フム。なるほど、前提が間違っていた、と。ガモンくん、これはガモンくんに与えられた試練のようだよ?」

「えぇーー…………?」

無茶ブリ中の無茶ブリだろ。え? マジで? 俺のスキルで何とかなる問題なのか、コレ?