軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

453回目 意思を持つ世界樹

「必要な素材は、『世界樹の若葉』『世界樹の樹液』『世界樹の花弁』『世界樹の果実』『世界樹の種』、そして『世界樹の朝露』か。この内、種と朝露は有るんですね?」

「ああ、種は保存してある物があるし、朝露は毎日採れるからな。…………と言うか、朝露は文字通り朝にしか採取できないから、どちらにしても今は採れん」

それを言ったら若葉とか花とか果実も、季節の物じゃないのかと思うが、この世界樹では採れる場所を移動しながら、ほぼ通年で全てが採取できるらしい。

「取り敢えず若葉はすぐに採れる。枝の先端まで行くと葉が三枚重なっておる物がある筈だ。その中心にあるのが『世界樹の若葉』だ」

「三枚重なっている真ん中ですね。ガモン殿、俺がちょっと行って取って来ます!」

言うが早いか、アレスが素早く枝を登って行き、あっと言う間に帰って来た。

そして、イマメルバーンの前で手を開き、とても小さい葉っぱを見せた。俺もそれを覗いて見たが、あまりにも小さいそれは、まるで三つ葉の葉を一枚ちぎった程度の物だった。

「三枚重なった葉っぱの真ん中とは、これの事ですか? 他に見あたらなかったのですが」

「ああ、それだ。だが見ての通り小さいからな。十枚はあった方がいい」

「十枚ですか。わかりました、では道すがら探しましょう」

そんな訳で『世界樹の若葉』はアレスの担当になった。アレスなら身体能力も高い上に☆5『聖騎士の神装』の翼で枝から枝に飛び移る事も出来るからな。若葉を探すならうってつけだろう。

「じゃあ、若葉はアレスに任せるとして、俺達は樹液と花弁と果実か。アレス、枝の先の方に花とか実は無かったのか?」

「いえ、見当たりませんでした。見落とした…………と言う事も無いと思うのですが…………」

「それは大丈夫だ。あの若葉のある所に花は咲かないからな」

「え? そうなのか?」

「花と若葉では世界樹での役割が違う。多少移動はするが、自生する場所もしっかりと分けられているのだよ。花はその時に必要な虫を集められる場所に、若葉はその時に最も光と魔力を吸収できる場所にあるものだ。なにせこの世界樹には、『意思』があるからな」

…………そんな樹木なんて聞いた事が無いが、まぁ世界樹だから、普通とは違うのだろうな。

その後も、俺達は出て来るモンスターと戦いながら、世界樹のダンジョンを移動した。

そしてその間にイマメルバーンが話してくれた世界樹の更に詳しい説明によると、このエルフ達が世界樹の為に用意した空間は、元々は宇宙ではなく自然溢れる星の一部を間借りしていた物であったらしい。

自然溢れる星で、のびのびと枝葉を伸ばす世界樹。しかしそう言った場所には、必ず世界樹の敵がいた。

それは、植物の葉や皮を食料とする、いわゆる草食系の動物やモンスターである。

ちょっと考えてみて欲しい。自然あふれる豊かな星は、まさに生命に溢れている。そんな中で、突然に出現して、ぞんぶんに枝葉をひろげる世界樹。

世界樹と言うのはエネルギーに満ち溢れ、そこに存在するだけでも様々な恩恵が得られると言う、とんでも植物だ。

そんな物が手の届く所で枝葉を広げていたのなら、その星に住む草食系の動物やモンスター達は、当然食べる。世界樹と言う名の栄養価の高い 食(・) 材(・) は、その動物やモンスターたちに大変喜ばれた。

だがそれは、世界樹にとっては迷惑極まりない事であり、世界樹は自らの意思で、その環境を変える事にしたらしい。

何を隠そう、その結果があの『宇宙空間』なのだ。なんと世界樹は、その自らの意思でエルフの作った『亜空間ゲート』に干渉し、自身を脅かす敵のいない場所へと勝手に移動したのだ。

「当時の記録によると、その時の世界樹は今の物よりも遥かに小さかった。苗木と言う事ではなく、単純に大きく育つ為のエネルギーが足りていなかった。この宇宙空間は、その足りないエネルギーを魔力から吸収する上でも役に立った訳だ」

ここまでも、十分に驚愕に値する話だったが、この次に言われた一言は、更に衝撃だった。

「なぜそんな事が出来るのかと言えば、この世界にいくつかある『世界樹』は、その大元を辿るなら異次元からやって来た『方舟』なのだそうだ。実際にそれに乗って来た『神獣』の話によると、だがな。元が神々の造りし乗り物であるならば、とんでも無い植物であるのは、むしろ当然なのだろうな」

ここでも『方舟』が出て来るのは、ちょっと予想外だった。