作品タイトル不明
439回目 『リミテッドゲート』
「しかしこれだけの店揃えに対して、街が閑散としているのが何とも勿体無いですな」
「うーん、まだ本島の方に住人を入れてないですからね。浮島の方にはマーメイドが住んでいるし、別の浮島にはドワーフも住む予定にはなっていますが、本島まで来れるのはフレンドに限定されているし、まあこれからじゃないですかね?」
「フム。…………少々悠長に過ぎませんか? 人を呼べる街と言うのはガモン殿の資金集めにうってつけだと思いますぞ? 『方舟』と言う驚異が迫る今、悠長に事を構えていると何もできなくなりかねません」
「む? …………確かにそうかも…………。でも、フレンドを簡単に増やし過ぎるのもなぁ…………」
「マーメイドとドワーフとて全員がフレンドと言うわけでもなく住んでいるのですよね? ならば、街の方に限定的に人を入れる事も可能なのではありませんか?」
…………なるほど、一理ある。確かに浮島の事を考えると可能性があるな。
「…………レティアに聞いてみる」
◇
『…………つまり、マスターのフレンドでない人物でも『レナスティア』に入れるようにしたいと?』
俺は一度自室に戻り、ゲンゴウと話した事をレティアに伝えた。ルービックキューブの様な形をしているレティアは、そのブロックを広げたり動かして明滅させたりと、いつもよりも忙しなく動いている。
「いや、あの。誰でも入れたい訳じゃないんだよ。悪人とか犯罪者が来ても困るし、あまり大勢に一気に来られても対処できないだろうし」
『それでは限定的に、と言う事ですね。『レナスティア』の中でも場所を限定的に、例えば街にだけ入れるようにして、天空城への入城は認めない。そんな風に設定すると言う事でしょうか?』
「うん。まあ目的は街での買い物や観光で金を落として行ってもらう事だからな」
『解りました。仕組みを作り上げます』
「え? …………こう言っちゃなんだけど、出来るの?」
『私は☆5『◇天空城『レナスティア』』です。完璧ではありませんが、マスターのやりたいように自身の仕組みを変える事も出来ます。もちろん、マスターに危険が及ばない範囲で、ですが。取り敢えずは街へ直通の扉を作り、その扉を使う為の鍵を一定数作ります。それをマスターと協力関係のある各国に設置して、しばらく様子をみましょう』
「…………よろしくお願いします」
そんな訳で俺の希望を聞いたレティアは、俺の安全が保てる範囲でフレンド以外の人間も受け入れてくれる事になった。
レティアが設計したのは、『レナスティア』に来るために必要となる真っ白な扉と、その扉を通る為の鍵であるカードだ。
まずこの扉を各国に設置し、カードは百枚ほど用意した。カードは使いきりの物であり、管理するのは国王である。
このカードは魔力を通すと使えるようになり、これを扉に差し込む事でカードに登録した人間のみが一度だけ扉を通る事が出来る。
同じ事が帰りにも必要なため、カードは往復で二枚必要になる。つまり、各国に与えられたのは五十人分となる訳だ。このカードは三十日毎に補充される。
そして、もしこのカードを行きにしか使わなかったり、故意に破棄したり、擁護できない理由で失くした場合には、国には送り返すが同時にその国にペナルティーが課せられる。
具体的には一人につき十枚のカードが、次の補充分から消えるのだ。そしてこの補充分がゼロになった国からは扉が消えるのだ。
地上の人々にとって、『レナスティア』は魅力的だ。街に行けばガチャアイテムが安く買えるのも魅力だが、何よりも『空飛ぶ大陸に行った』と言うのは、羨望の眼差しで見られるには十分な価値がある。
せっかくの天空城『レナスティア』。一度は行けたその場所に行けなくなる、と言うのは苦しい。各国は自国から『レナスティア』へ行く者達を、厳しく選別する事になるだろう。
『仕組みが出来上がれば、☆5『技巧神の大工房』で作る事は出来るでしょう。各国へ取り付けるタイミングはどうしますか?』
「うーーん、そうだな。…………人を呼ぶとなると、あの街では少々物足りない。せっかくだから飛空艇での遊覧飛行とかも付けたいしな。だから準備が整い次第となるが、通知だけはしておこうか」
『では、マスターの婚約式の時に通知をし、準備が整い次第、各国に扉を設置しましょう』
「おう。それで頼む」
取り敢えず話はこれで纏まった訳だが、扉とカードは、その後アルジャーノンの手によって作り上げられた。
☆4『リミテッドゲート』
・☆5『◇天空城『レナスティア』』の街へとつながる扉。一度に通行出来るのは一人で、鍵となるカードに登録された者のみが通行できる。
・カードを差し込まない限りは実体を持たないので、破壊は不可能であり、『スキル倉庫』を持つ者しか扉を移動させる事は不可能である。
☆3『リミテッドカード』
・☆5『◇天空城『レナスティア』』の街へとつながる扉を開く鍵。使用出来るのは一枚につき一度であり、登録した人間以外が使う事は出来ない。
こうして、この世に存在すらしていなかったアイテムが作られるまでになった。
新たなアイテムの制作。…………これは『方舟』との戦いにも、影響を及ぼすかも知れない。