作品タイトル不明
405回目 飛空艇『アベルカイン』
☆4『飛空艇・『アベルカイン』』
それが、☆5『飛空艇造船所』で建造された飛空艇、第一号の名前だ。それが今、造船所の整備用ドックの一つに浮いており、俺はそれをニヤニヤしながら見上げていた。
いや、意識せずに顔がニヤケちゃうよね? だってこれ、俺がデザインを選んで建造させた、俺の飛空艇なんだぞ?
俺の船! いい響きだよな、俺の船!! しかも空を飛ぶ飛空艇だぞ? 最高だよね!!
ドックに浮かぶ俺の船はこんな感じだ。
青と白でカラーリングされた船体はすらりと長く、剣をイメージして未来的なデザインだ。帆船型という選択肢もあったのだが、俺は昔やったとあるゲームの主人公が乗っていた空の海賊船、つまりは『空賊船』をイメージして、未来的デザインにした。
スピードとバランスを重視したデザインだが、ちゃんと主砲や副砲は積んであるし、ホーミングミサイルまで積んでいる。
ちなみに燃料もそうだが、これらの装備には弾数に限りがあり有料で、しかも補充するためには『飛空艇造船所』のドックに入れないといけない。そこでガチャポイントをつかって整備すると言う、微妙に面倒臭い仕様になっている。
なんでそんな仕様になっているのかは解らないが、ガチャアイテムって便利過ぎるのが多いから、俺はそのちょっと面倒臭い仕様がなんか好きです。
ああそれと、名前は俺がつけたけど特に意味はありませんよ? フィーリングです。完成した飛空艇を見て思いついたヤツをつけました。個人的には、凄くカッコイイ名前をつけられたと自負しております。
『マスター、『ドール騎士』の飛空艇のクルーとしての 教育(インストール) が終わりました。彼らを『飛空艇・アベルカイン』のクルーとして登録しましたので、これでいつでも飛べます』
「ありがとうレティア。ドール騎士団が動けるのは十日間だったか?」
『はい。戦闘がなければ、ですが。一応、予備として五体程をスリープモードで『アベルカイン』に積んでありますので、もしもの時はそちらをお使い下さい』
「ああ、解った」
飛空艇を手に入れた俺は、飛空艇の入口へと続くタラップを歩き、扉を開いて中へと入った。
中は無骨な金属の壁に囲まれている…………なんて事はなく、壁も床も天井も、まるで貴族の屋敷かのような造りになっている。床には赤絨毯も敷いたし、壁には調度品も飾られている。天井に等間隔に設置されたライトだけが現代風。だが、やはりいいね。
飛空艇のデザインも、これらの内装のデザインも、飛空艇を造る際にこと細かく選択出来た。無骨な軍艦のようなデザインにする事も、帆船の様なデザインにする事も、かなりの自由度で可能だった。
俺は自分の飛空艇をデザインする事があまりに楽しくて、ウッカリ徹夜してしまった。本気で気づかずに朝を迎えてしまい、シエラに怒られたのが記憶に新しい。
『マスター、ブリッジまでご案内します』
艦内を進んでいると、軍服のような物を着たドール騎士が俺を出迎えてくれた。二つの穴だけが空いたのっぺりとした顔はそのままだが、言葉を話したのに少し驚いた。
飛空艇『アベルカイン』のクルーとして配属されるにあたって施した教育で、言葉も喋れる様になったらしい。…………てっきり話せないもんだと思ってた。
「あ、ああ。頼む」
俺は多少ドキドキしながらもドール騎士に案内され、この飛空艇のブリッジへとやって来た。
広いブリッジは正面側の壁を大きくガラス張りにしてあり、外の景色がよく見える。いや、実はこれがガラスではなく、壁一面の大型モニターに外の風景を映しているだけだってのは、デザインをした俺が一番よく解っているのだが、このスケールだとガラスと変わらないな。
そしてブリッジには、この船のクルーである軍服姿のドール騎士が何体もおり、その中で一番豪華な服を着たドール騎士が俺に近づいて来た。
『マスター・ガモン! 私がこの『アベルカイン』の艦長を勤める者です! 以後お見知りおきください! 可能であれば、個体名をつけて頂きたく願います!!』
「お、おう。じゃあえっと、…………カンベルで」
『個体名『カンベル』。登録しました。ありがとうございます!!』
ロボットなのに熱い奴だ。
俺はカンベルに薦められて一番高い所に位置する艦長の椅子へと腰掛けた。そして、進水式ならぬ進空式を行うべく、多少の気恥ずかしさを飲み込んで、大きな声で命令をした!
「飛空艇『アベルカイン』! 発進!!」
『ハハッ!!』
俺の号令に続きカンベルが指示を出し、飛空艇『アベルカイン』が空へと飛び立った。
その姿はきっと、雄大に見える事だろう。『アベルカイン』は天空城を飛び出し、『レナスティア』の上を進んでいく。
このまま『レナスティア』を飛び出し、遥かなる空の旅を少し楽しんで来ようか? などと俺が眼前に広がる空へと夢を馳せていると、『フレンド・チャット』にメッセージが届いた。それも連続で。
「……………………あーー、カンベル? ちょっとドックに戻ってくれるかな?」
『ご命令とあらば』
レナスティアの大陸の端で大きく旋回して天空城へと戻る『アベルカイン』。
そして俺の目の前には、飛空艇『アベルカイン』の進空式を一人でやって、そのまま空へと飛んで行こうとした俺に対する仲間達からのお叱りのメッセージが、次々と表示されていた。
ああーー、そうだよねぇ。食事の時とか、俺、自慢しまくってたもんねぇ。そりゃ乗りたいよねぇ。
飛空艇『アベルカイン』の進空式は、仲間を集めてから、やり直しになりました。