軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

379回目 やたらデカイ

『現在スタンピードは弱い群れを喰らい尽くし、その狂暴性に磨きをかけて突き進んでいます』

偵察用ドローンに入った状態のキャンパーが、アームを伸ばして地図の上に置かれた駒を動かしながら、俺達に現状を説明してくれている。

キャンパーが遠距離偵察用ドローンや、長距離攻撃用ドローンなどで生きた情報をくれるので、情報の部分では俺達に分がある。

ただなぁ、やっぱりスタンピードの規模がデカイ。フリント王国やバゴス王国で仲間達が対処したスタンピードとは、質も量も違うのだ。キャンパーが空中に投影する映像からも、それが良く解る。

『スタンピードの群れの主な構成としましては『フォレストオーク』が四割、『フォレストボア』が二割、『エルダーウルフ』が二割、『ドラゴンスネイク』が一割、『エルダーマジシャン』が一割、そして群れのボスとして『ロックジャイアント』が一体、ですね』

「……………………デカイな、全体的に」

キャンパーの出す映像には、通常の二倍はありそうなオークと簡単に人を丸呑みしそうなヘビが映し出され、その後には竜のような頭を持つこれもデカイヘビと、全身が木で出来ている上に浮遊している魔法使い。そして最期には岩で出来た、まるで山が動いているかの様に見える巨人が歩いていた。

…………ちなみに最期の一体だけの巨人が、このスタンピードのボスであるようだ。

「あのボスを集中攻撃で沈めれば終わり、とかにはならないのか?」

『既にスタンピードとして暴走している状態ですからね。あれがダンジョンのボスクラスである事は確かでしょうが、この群れを率いている訳ではありません。しかし、早めに倒してしまうのは賛成です』

「なら、まず攻撃用ドローンで集中攻撃しようか?」

「ああ待て。ガモンよ、先に潰せるなら『ドラゴンスネイク』と『エルダーマジシャン』を先に潰してくれや。あれらは火を吐いたり魔法使ったりするからよ、被害がデケェ」

「ふむ、そうだな。よし、キャンパー! スキル倉庫にある『弾丸』を好きに使っていいから、先にそっちを潰せ!」

『了解しました。ついでに『ロックジャイアント』には『ロードローラー』を落としておきます』

「いいなそれ、任せる」

キャンパーはやはり頼りになる。『◇キャンピングカー』を持って来ておいて本当に良かったぜ。

「さて、これで『ドラゴンスネイク』と『エルダーマジシャン』は何とかなると思う。流石に『ロックジャイアント』が『ロードローラー』で潰れるとは思えないけど、火を吐く奴と魔法使いがいないなら、だいぶ楽だろう?」

「ええ。後はここからどう戦うかですが…………。ガモン殿、私からひとつ提案があります。ここから先を、我々に任せては貰えませんか?」

「残りのモンスターの討伐を、アルグレゴ小隊にか? …………ちょっと多くないか? 全体的にデカイし。それに、あの『ロックジャイアント』ってのは厄介そうだぞ?」

「いえ、もちろんラグラフ王国の方々の手も借りますが、この戦いは長くなると思います。ガモン殿は、ここだけに構ってはいられないのではないですか?」

そういう事か。アルグレゴ達も俺が緊急クエストの真っ最中だと知っているから、ここは自分達に任せて天空城に戻れと言ってくれているのだ。

「解った、お言葉に甘えるよ。アルグレゴ、ここは任せる! ラグラフ達を助けてやってくれ!」

「ハッ! お任せを!!」

俺の言葉にアルグレゴが胸に右拳を当てる騎士の敬礼を取り、小隊のメンバーもそれに続いて敬礼した。

ザザンッ!! と音がするほどに揃えられた敬礼は見事だったし、まるで俺自身が貴族として騎士団を持ったかの様な錯覚も覚えて、少し気持ち良かったのはナイショだ。

アルグレゴ小隊が身に付ける装備は☆3だが、それでも強化はしてあるので強い装備だ。それに食事でのバフも掛けてあるので、そうそう負ける事はないだろう。

スタンピードのモンスター数は大体二千。要塞に護りつつ戦うなら、なんとかなるかも知れない。

「じゃあ俺は行くけど、リメイアはどうする? 一緒に天空城まで行くか?」

「いえ、私もこの場に残るわ。でもガモンには、一つお願いがあります」

「なんだ?」

「『ロックジャイアント』。あれだけは取り除いて行って欲しいわね。私の見立てでは、あれが一番のネックですもの」

「…………そうだな、任せておけ。ちょうど何とかなりそうな物を、いま思い出した」

深い森を踏み固めながら突き進むモンスターの群れ。大群と言っていいそれは、数の上ではざっと二千弱。

キャンパーのドローンによる一斉攻撃で『ドラゴンスネイク』と『エルダーマジシャン』を失いはしたが、それでも十分な数がいる。

肩から背中の上側に背の低い木が生えたような姿をする『フォレストオーク』。深い緑と深く見える黒の模様を持つ大蛇『フォレストボア』。

老いるまでに沢山の獲物を屠り、喰らう事で進化をし続けた高齢の狼『エルダーウルフ』。

そして、その中においても群を抜いて強い『ロックジャイアント』。

(……………………ジャラリ…………)

『…………ヴァ?』

何かの気配に気付いて下を見たロックジャイアントは、自分の足元に広がる、ジャラジャラと音を鳴らしている鎖を見て、首を傾げた。

その途端! 『ロックジャイアント』の足元にあった鎖が高速で動き、アッと言う間に『ロックジャイアント』をグルグル巻きに捕らえた!!

そして、そのまま引きずられて行く『ロックジャイアント』に、スタンピードの群れは全く気がつかず、ボスを置き去りにして先へと進んで行ったのだった。