軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

326回目 王城の次にデカイ屋敷

「うぇぇ?」

変な声が出た。いやでもしょうがないと思う。だって、ジョルダン王国から渡された俺の屋敷が、予想を遥かに越えて来たのだもの。

「何これ? どうなってんの?」

「こ、これは凄いですね…………」

屋敷のある場所は貴族の屋敷が立ち並ぶ一角なのだが、「こちらが陛下よりガモン様に贈られたお屋敷です」と、商人風のでっぷりとしたおじさんに案内された屋敷は、どう見ても他の屋敷よりも遥かに大きかった。ざっと見て五倍くらいありそうだ。ナニコレ?

「…………なぁアレス。俺が褒美に貰う屋敷を見に来た時。…………たしか元からあった屋敷を取り壊している所だったけど、屋敷一つ分の土地だったと記憶にはあるんだよ」

「ええ、そうですね。俺もそう記憶しています」

俺とアレスが、どういう事なのかと案内役の商人風のおじさんに目を向けると、おじさんは揉み手をしながら説明をしてくれた。

「はい、実はですね。当初の予定では確かに屋敷一つ分の場所を使っての新築、と言う事で話はついていたのです。ですがそこに、我が国の貴族から横槍が入りまして、こうなった次第で…………」

「いやいや、横槍が入ってデカくなるってどういう事ですか。普通、横槍が入ったら小さくなる物でしょう?」

「まぁ、私も横槍とは言いましたが、貴族達の目的はガモン様とお近づきになる事でして…………。ガモン様の持つスキルのアイテム、その恩恵にあやかりたい者や、大魔導士ドゥルク=マインド様の叡智を狙う者やらとが集まった結果でして…………。かく言う私も、ガモン様のスキルから出て来たと言う食材に興味が尽きない者の一人でして…………」

あぁ、そう言う事か。要は群がって来たのだ、甘い密が好きな蟻ん子どもが。この国の貴族連中と言う、ハチャメチャが押し寄せて来た結果がこれなのだ。

商人風のおじさんが指折り数えて説明をする。

・まず『勇者』であり、有用に過ぎるスキルを持っている事。

・『ドゥルクの書庫』どころか、大魔導士ドゥルク=マインド本人の幽霊が付き従っている事。

・魔王の完全なる討伐を成し遂げた事(これについては下位貴族は知らない)。

・アルグレゴ小隊が使っており、王にも献上された装備やアイテムの数々。

・そしてそれらを真に使いこなす為に必須となる『フレンド』という称号。

この屋敷をここまでデカくした貴族達の目的は、主にこの辺りである。

では、どうなって屋敷がデカくなる、なんて事になったのかを説明すると。

まず彼らは、俺の気を引くために自分の存在をアピールしたかった。だが何か物を贈ろうにも、自分が贈れる物でガチャアイテムを越えられる物は見つからなかった。

ならば金か? とも考えたが、それで果たして印象に残るだろうか?

そんな考えが錯綜する中で、ある貴族が打った一手が『土地』だった訳だ。

俺が国から屋敷を貰う話は知られており、更にその屋敷が建てられる予定地も分かっていた。そこでその貴族は、予定地の隣にある屋敷を買取り、そこを更地にした。そして「どうぞここも使って下さい」と提供した訳である。

まあ確かにこれは良い手だと思う。隣に住んでるとか、同時期に屋敷が立ったとかだと、特に印象には残らないが、土地を提供されて屋敷の大きさが倍になったとなれば、流石に印象に残る。

問題は、同じ事をした奴が他に四人いた事である。そんなにいたら印象が薄れる。

ちなみに説明をしてくれた商人風のおじさんも上位貴族で、厳正な抽選の結果、今回の案内役を勝ち取ったのだと説明してくれた。

色々ツッコミたい所ではあるが、まずは一言だけ言いたい事がある。何してくれてんの?

「と言う訳で自己紹介をば! ワシはトチーノ伯爵と申します! 名前だけでも覚えておいて下され!!」

「あ、はい。トチーノさんですね」

覚えていられる自信はないが、意気込んで挨拶をするトチーノには、適当に挨拶を返しておいた。

ちなみに、ここまでデカくなった屋敷の維持費とか使用人やその給料などは、屋敷をデカくした貴族達ではなく、その他に何かやりたいと手を挙げた貴族達が払ってくれるそうだ。

だから安心してくれと言われたが、俺のスキルアイテムとかドゥルクの知識とかを狙っている貴族が派遣した使用人達がいて、何を安心しろと言うのだろう。安心できなくないか?

まあ一応、俺の屋敷で働く人間は厳密に調べ上げるし、もし何かあれば派遣した貴族を厳しく罰すると王様が言っているらしいので、取り敢えずはお任せする事にした。

ただなぁ…………。こんな状態じゃ、拠点としてはあまり使えないかな。とは思う。

その後、出掛けていたシエラ達もやって来たが、皆もこの屋敷のデカさにはドン引きしていました。

ちなみにですが、中身の方も相当に手が込んでいて豪華になっていました。

正直、こんなのいらないなぁ。でも、このデカさが役に立つ事もあるかも知れないと、シエラに宥められたので、取り敢えずは受け取りました。

…………屋敷の中を見て回るだけで、半日は掛かりそうだなコレ。