軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

301回目 フレンドクエスト『ティム』

テルゲン王国の王城内に、カラーズカ侯爵とティム、そして使用人達が魔法やスキルが使えない状態で囚われているのが解った。

「『ワールドニュース・クラシック』での情報だけど、まず無事である事が解ったのは良かった。部屋的にも、貴族としての扱いみたいだしな」

「ガモン様の言う通りですね。囚われている事には変わりありませんが、ひとまずは安心、と言った所ですね」

今もまだ、ラグラフの部下達が☆5『ワールドニュース・クラシック』を分析中だが、テルゲン王国は国軍を出してカラーズカ侯爵領を手中に収めようとしているらしい。

国軍にカラーズカ侯爵領を取られたら、カラーズカ侯爵を擁護する貴族達も手を引いてしまうかも知れない。彼らにも志はあるのだろうが、まず第一に護るべきは家族と領民だろうからな。

カラーズカ侯爵を擁護しているのは、現在の国の運営に疑問を持ち、それを何とか改善しようと動いている貴族達なのだが、いつの世も、悪辣な事をしている奴らの方が地位も金もあるものだ。

何せ、その為になりふり構わず悪事に手を染めているのだからな。そしてそんな連中に、力を持たずに歯向かうのは蛮勇でもなく愚かだ。護るモノが多い者ほど、手を引くのは早いだろう。

「…………国軍を抑えるだけなら簡単だよな。☆5『◇天空城『レナスティア』』を使えばいい。上空に大陸が現れたら、止まらざるを得ないもんな?」

「カラーズカ侯爵領に行くのも、ガモン様の言っていた女神のダンジョンなら、『拠点ポータル』で移動出来ますからね。ですがそうなると、ティム達が気掛かりです」

「…………明らかにカラーズカ侯爵領への進行を止めようと出現する訳ですからね。人質にされるならまだしも、『◇天空城『レナスティア』』の情報を得るために、ティム殿達を拷問にかけるという可能性は大きいでしょう」

「テルゲン王国はそういう国よね。ジョルダンでも、口の悪い貴族は『テルゲンでは頭が悪い方が大臣になれる』とか言ってるくらいだもの。自分達の地位を護る為となれば、それこそ手段を選ばずになんでもやるわよ」

シエラ・アレス・カーネリアの三人が持つ、テルゲン王国の印象が悪い。まぁ、俺だって良い感情は持ってないけどな。

ラグラフの部下達によると、手持ちの情報から推測するに、国軍がカラーズカ侯爵領へと向けられるには一週間程度は掛かるようだ。

なら、その前にティム達を救い出せれば、ミッションクリアだろうか。北西の方で王位の簒奪を狙っている奴がいるから、ソイツを刺激してしまいそうだが。

…………最悪、内乱が早まったとしても、ティム達を助けてカラーズカ侯爵領まで逃がせれば何とかなるか? たとえ王位がヌヌメルメからサザンモルトに変わっても、今より悪くなる事なんて流石に無いだろ。

…………そんな事を考えていられたのは、何気なくスキル画面を開いてソレを見つけるまでだった。

《フレンドクエスト・ティム》

『カラーズカ侯爵によるテルゲン王国の平定。(期限:三日から百日)』

・テルゲン王国と周囲の国の平和のために、現・王家を打倒し、カラーズカ侯爵を新王につけよ!

《達成条件》

一、ティムとカラーズカ侯爵達の救出(三日以内)。

二、カラーズカ侯爵領の防衛(七日以内)。

三、サザンモルト辺境伯の説得、もしくは討伐(三十日以内)。

四、ヌヌメルメ王家の打倒、及び処刑(六十日以内)。

五、カラーズカ王の即位(百日以内)。

依頼主:ティム=カラーズカ

「……………………嘘でしょ?」

…………えぇーーーー。現・王家を倒して、さらにカラーズカ侯爵を王に据えるの? 要するにクーデターじゃん。それって勇者のやる事か?

いやいや、それ以前に平和ボケした日本人である俺に、本格的に戦争をやれってか? ティム、無茶振りしすぎだろ。

…………だけど、…………だけどだ。前にフレンドクエストが発生した時の話をバルタに聞いたが、この内容自体は、俺のスキルがバルタに提案した物らしい。

こういう依頼を出しますが、どうですか? と言わんばかりに、自分の目の前に出て来たのだと、自分はそれにイエスと答えただけだと、バルタは言っていた。

つまり、今の現状を鑑みた俺のスキルが、ティムを救うにはこれが最善だと判断し、ティムがそれを了承した形になる。…………要は、これが必要なのだ。

「ガモン、どうかしたの? まさか! 『緊急クエスト』じゃないわよね!?」

「いや、ちが…………違………う? …………厄介さでは負けてないどころか上回っているな」

「なによそれ、どういう意味?」

聞いて来たのはカーネリアだが、これは全員で共有しておいた方が良さそうだと、俺はその場にいる全員を集めた。

すでに俺のフレンドとなっているメリア達はともかく。フレンドクエストだし、何より他国の事だからと、ラグラフ達を巻き込むのはどうかと思ったのだが。

「いまさら水臭ぇ事を言うんじゃねぇよ。フレンドにはなってやれねぇが、俺はお前をダチだと思ってんだ。遠慮なんかされたら寂しいだろうが」

と、ラグラフが言ってくれたので遠慮なく巻き込む事にして、俺はその場にいる全員に向けて、『フレンドクエスト『ティム』』の内容を説明した。

え? その説明を聞いた皆の反応? そりゃもちろん、『絶句』でしたよ。