作品タイトル不明
300回目 テルゲン王国の情報
【サザンモルト辺境伯、動く!!】
・王国の北西を守護する『サザンモルト辺境伯』が、『ヌヌメルメ王家』に大して反旗を翻した事が解った。
・サザンモルト辺境伯と言えば、ジョルダン王国との間に戦端を開いていたが、冬が近くなったのを理由としてジョルダン王国との間に停戦協定を結んだ。だが調べてみれば、そもそもジョルダン王国との間では小競り合い程度の戦いしか起きておらず、集めた武器や兵糧などが大量に残っているのが解った。
・そのため、実はジョルダン王国との戦争自体が、ヌヌメルメ王家へ反乱を起こす為の準備だったのではという見方もあるのだ。
「……………………フーーン。トップニュースはこれか。内乱は確かに近いみたいだな」
俺が、テルゲン王国に合わせた『ワールドニュース・クラシック』の一面を見てそんな事を呟くと、俺の隣から記事を覗き見ていたラグラフがうめき声を上げた。
「ガモン、おめぇ本当にヤベェの持ってんな。ってかこれ、誰が調べた情報なんだよ?」
「さぁな。☆5のガチャアイテムには神も関わってくるからな、神とか天使とかじゃないか?」
「…………神様は見てるってのは、俺も婆ちゃんによく言われたもんだが。…………実際にそうとなると恐怖しかねぇな…………」
更に新聞に眼を通していくと、テルゲン王国は明日辺りから本格的に雪が降り始めるとか、とある貴族の家宰が長く横領をした末に処刑されたとか、王都に新しく出来たパン屋の話題や、求人広告なども載っていた。
そして読み進めていくと、ついに見出しの中に『カラーズカ侯爵』の名前を見つけた。
【カラーズカ侯爵に造反の噂あり!? 死んだ筈の『勇者』はカラーズカ侯爵家が逃がしたか?】
・最近、ジョルダン王国から不可思議なアイテムが出回っている。
・それらは日用品から高級品まで様々なのだが、一様に品質が高く、利便性に富んでいる。特に日用品は、品質に比べて値段も手頃で人気が高く、店に並ぶなり即完売してしまう程の売れ行きだ。
・なぜこれ程に高品質の物が突然安く出回り始めたのか。その秘密は、実は『勇者』が握っているらしいのだ。
・一般的には知られていないが、テルゲン王国は数ヶ月前に『勇者召喚』を行っている。失敗するものと誰もが思っていた『勇者召喚』だったが、なんの因果か成功してしまった。しかし、それで召喚された勇者は『役立たず』と判断され、処分される運びとなった。
・その処分を請け負ったのがカラーズカ侯爵であり、その後のカラーズカ侯爵家の動きや、ジョルダン王国の動きを見るに、実は勇者は生きていて、ジョルダン王国に逃がされたのではないか、という疑惑が持ち上がったのだ。
うん。まぁ始まりは確かに俺が召喚された事だが、知りたいのは、そんな『あらすじ』じゃないんだ。今現在、ティムたちがどこに軟禁されているのかと言う情報だ。
俺はその情報を求めて新聞を読み進めていき、ついにその情報を見つけた。
「カラーズカ侯爵とティム、そして使用人の数名が、魔法とスキルが制限される状態で軟禁中…………か。魔法とスキルが制限されてるってのが意味解らないな。そんな事できるのか?」
そんな俺の問いに答えたのはシエラだった。
「結論から言えば出来ます。方法は色々とありますが、『軟禁』と言う状況を鑑みるならば、魔力を吸い出す部屋に入れられているのでしょうね。魔法もスキルも、そのエネルギー源は『魔力』です。生命活動にまでは支障が無いように、その部屋の仕掛けで魔力を吸収しているのでしょう」
「魔力を吸い出しているのか。魔力が全く無い部屋、とかじゃなくて?」
「その部屋に魔力がなくとも、人は体内で魔力を作れます。それでは制限は掛かりますが、魔法もスキルも使えてしまいますからね」
なるほどなぁ。『フレンド・チャット』の返信が無いのも同じ理由か? 届いたのを読む事はできても、返信をする事はできない。まるで、電波の入りが悪いスマホみたいだな。
そして今回のこの情報で、カラーズカ侯爵とティムがいる場所も把握出来た。
二人はやはり王城内に軟禁されており、その場所は王城の二階奥にある部屋だそうだ。この部屋の位置については、ラグラフが知っていた。ラグラフが、まだ国に仕えていた頃に、使者としてテルゲン王国に出向いた際に通されたのがこの部屋だったのだと言う。
「自分で言うのもなんだが、当時の俺は全く信用されて無かったからな。万が一にも何も出来ないように、万全の状態にされていたって訳だな。いやぁ思い出すぜ、武器や防具を取り上げられるのはもちろん、嫌がらせにパンツまで剥かれて全裸にさせられた時もあったな。流石にありゃ参ったぜ。とは言え、俺の全裸を見てる方も辛かったらしくてな。そんなのは一度きりだったけどよ」
そう言ってガッハッハッと笑うラグラフ。コイツもだいぶ苦労しているよな。
まあ、ラグラフの悲しい独白は置いといて。カラーズカ侯爵やティム達がいる場所が解ったのは大きい。問題は、『解った所でどうするか』…………いや違うな。『解った上でどう助けるか』である。