作品タイトル不明
294回目 再び、山賊の国へ
◇メリア
《まだこっちに来られないのかい? ガモンの話をしてから、アタシのパーティーメンバーのユミルもネリスもガモンが来るのを楽しみに待っているよ!!》
「…………しまった、忘れてた」
仲間達と地図を広げながら、ダンジョンに眠る『郷愁の禍津像』をどう回収していくかを話し合った日の夜。
山賊の国であるラグラフ王国のメリアから、『フレンド・チャット』が届いた。
ラグラフ王国は、バルタと共に『邪眼族の螺旋迷宮』に向かう際に、ひょんな事から寄ることになった山賊の国。
そしてメリアとは、そのラグラフ王国を治めるラグラフ王の妻の妹、つまりは義妹だ。
その性格は男勝りで豪快。そしてもの凄い…………爆乳である。
いやね、別にそれがどうこうじゃないんですよ。ただ、それがメリアの悩みの種であった事も事実だ。その抗い難く視線をもっていかれる爆乳のせいで、メリアは装備できる防具が特注になってしまっていたのだ。
そこで俺の出番だ。元々、ラグラフとの繋がりを持つ為にメリアとフレンドになったのだが、そのおかげでメリアはガチャ装備を使えるようになった。
装備する相手によってサイズが勝手に調整されるガチャ装備に、メリアの抑制されていた装備への思いが爆発し、ファッションショーが開かれたのは良い思い出だ。
そして、そのメリアと『メガリス』という女三人だけのパーティーを組むユミルとネリスもまた、別の原因で装備が制限されているらしく、俺とフレンドになりたいと言っているのだ。
本来なら『邪眼族の螺旋迷宮』をクリアした帰り道で寄るつもりだったのだが、『拠点ポータル』を使って一気にタミナルの街まで帰ってしまったからな。
立ち寄る約束をしていたのに約束を破ってしまった形になった。…………しかも。
◇メリア
《あれから近くのダンジョンを幾つか攻略して、『郷愁の禍津像』ってのを二つ手に入れたよ。ウチの国から近いヤツだったからもう破壊したけど、その時に水晶みたいな装飾品が出て来たよ。これ、欲しいヤツだろ。ちゃんと保管しているからね》
…………メリア達は俺との約束を守って『郷愁の禍津像』を探してくれていたらしいのだ。いや、それにしても『メガリス』は相当優秀な冒険者パーティーみたいたな。戦力としても頼りになりそうである。
それはともかくとして、約束もあるし『禍津勾玉』も二個あるとなれば行かないという選択肢はない。ラグラフにも『方舟』の話をしておきたいしな。
◇ガモン
《ありがとうございます。ラグラフに話したい事もあるので、近い内にそちらに行かせてもらいます!》
◇メリア
《はーーい。待ってるからね!》
今度こそしっかり約束を果たすべく、俺はラグラフ王国へと行く事を決めた。
◇
そんな訳で、ラグラフ王国へ向かうとアレス達に伝え、久し振りに冒険者パーティー『G・マイスター』として活動する事になった。
目的地であるラグラフ王国は、ランブルクルーザーで向かって一日の距離である。そんなに長く空ける訳でもないし、『◇キャンピングカー』は今回も置いていく。
バルタが俺の『トゥルー・フレンド』となり、今はバルタに『スキル倉庫』と『ガチャ』の権限を与えているので、いざとなればチャットでバルタに連絡し、『◇キャンピングカー』をスキル倉庫に収納してもらって俺の方で出す、なんて事も出来るのだ。
これは、自身が『◇キャンピングカー』の管理AIであるキャンパーには出来なかった事だ。それが出来るようになったのはデカイよな。
「では、今回は俺が運転しますので、ガモン殿は道を教えてください」
「わかった。じゃあ俺が助手席な」
助手席の俺のナビでアレスが運転、シエラとカーネリアは後部座席に決まった。
こちらの世界に車の教習所などは無いが、ガチャ書籍からは車の教習本が出ていたので、それで覚えたようだ。
まあ、俺だって前に運転の基礎くらいは教えたが、ガチャ書籍を元にしっかりと教習をしたのはキャンパーである。キャンパーさんマジ有能。
そしてアレスの運転で出発したのだが、アレスは運転にあまり慣れていない事もあり安全運転だ。
いや、良い事だとは思うけど、ここは道路ではないし他に車がいるわけでも人が歩いているわけでもないので、もうちょいスピードを出してもいいとは思う。
まあ、アレスは真面目だから、教習本にあった時速五十キロを守っている様なので、余計な事は言わないけどね。
俺はモンスターの位置まで解るカーナビを見ながら、アレスに道を教え、前に山賊モドキに囲まれた場所でアレスに車を停めさせた。
「よし、ここからは歩きだ。森の中を突っ切るから、気を抜かないようにな!」
「森を抜けるんですか? 行き先はラグラフ王国との事でしたが、場所は解るんですか?」
「ああ、確かアッチの方だ」
「「……………………アッチの方?」」
俺の仲間達は俺が指差す森に眼を向けて、しばらくしてからまた俺を見た。
「…………ガモン。アッチって気軽に言ったけど、方角的には解ってるの?」
「え? …………北?」
「ダメだわ大雑把すぎて信用出来ない」
俺の返答を聞いて首を横に振るカーネリアに、ちょっとイラッとしたので、俺はスキル倉庫から『方位磁石』を出してそれを見せつけてやった。
「方角が解るのは良い事だけど、その国の正確な位置は解るの?」
「……………………北?」
俺の返答を聞いて、三人は揃って溜め息をついた。どうやら、ダメだったらしい。
結局、『フレンド・チャット』でメリアに連絡を取り、ラグラフ王国の兵士に迎えに来てもらった。
ちなみに迎えに来たラグラフ王国の兵士には、「食料確保のために、森には罠も多く仕掛けているので、不用意に入ると死にますよ」と、注意をされました。