軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

227回目 『魔王討伐ガチャ』

ミーティングが終わった後、アレスはすぐにシエラ達やザッパ達と相談を始めた。アレスの手には『禍津像探知機』と地図があるので、照らし合わせて向かうダンジョンの候補を絞っているのだろう。

その話し合いに俺は加わらず、『ガチャ・マイスター』を起動する。クランの事はアレスに任せたので口は出さない。ドゥルクも近くにいるから安心だ。

だが、俺も最難関ダンジョンに挑むが、仲間達もダンジョンに挑む以上、手札は多い方がいい。もちろん普通の装備ガチャや生活ガチャなども回すが、一番はやはり『魔王討伐ガチャ』だ。

現状『禍津勾玉』が三つあるからな。重要アイテムっぽさがあるのでもう少し取っておくつもりだったが、こうなったら回してしまおう。☆5が三つも手に入るのはデカイからな。

俺は『魔王討伐ガチャ』を開いて、『禍津勾玉』を一つ押し込…………もうとして手を止めた。

…………カッコイイんだよなコレ。俺はそもそも勾玉が好きだし、これは☆5を引けるアイテムだし、出来ればここぞと言う時まで取っておきたかった。

理想としては、『禍津勾玉』のネックレスとか作って、大ピンチの時にそれをブチッ! と取ってガチャを回し、出て来たアイテムで大逆転! …………とかをやってみたかったのだ。

ところが、この話を仲間達にした所、全員に呆れた表情をされてしまった。

「…………ガモン殿。さすがにそれはどうかと…………」

「ガモン様。大ピンチの時には、ガチャを回している暇など無いと思いますよ?」

「だいたい必要な物が出なかったらどうするのよ。大きな隙を作って殺されるだけじゃないの?」

…………もうボロクソに言われましたよ。正論だけど。アレスあたりは、このロマンを理解してくれるかと思ったのにダメだった。真に命懸けの戦いには、ロマンは邪魔でしかないようだ。ちょっと反省。

「…………よし、やるか!」

俺は嫌な記憶を気合いで吹き飛ばして、スキルに「禍津勾玉」を投入した。

すると画面が切り替わり、多くの動物がごちゃ混ぜに重なってくっついた様な、濃い紫色の禍々しい像が現れた。

そして、その手前のいつもガチャに向かって弾くコインがある位置には『禍津勾玉』が浮かんでおり、その上には『弾け!』という表示があった。

この辺はいつものガチャと同じだな。なんて思いながら『禍津勾玉』を弾くと、それは放物線を描いて飛んで行き、禍々しい像の真ん中にあった牙の生えた大きな口に咥えられ、そのまま咬み潰されて弾けた。

そして弾け飛んだ『禍津勾玉』の破片が光と共に一つになり、光が収まると、虹色に輝くカプセルが浮いていた。

「…………なるほどな。中々に凝った演出をしてくれるじゃないか」

しかしまさか、『禍津勾玉』自体がカプセルに変わるとは驚いた。『禍津勾玉』一つにつき☆5が一つか。『禍津勾玉』は本当に☆5アイテムの基だった訳だ。

「『魔王討伐ガチャ』なのにガチャマシーンが魔王みたいだったのは納得いかないけど、とにかくまずは一つ目だな」

「こないだ旦那が見せてくれた『時神の懐中時計』って言うヤベェアイテムも、☆5でしたね?」

「まあな。でも流石に、あのクラスのアイテムはそうそう出て来ないと思うぞ?」

俺が持つ切り札として、☆5『時神の懐中時計』をバルタに見せて説明した時、バルタは口を大きく開けて絶句していたからな。

でも、流石にアレは別格だと思うのだ。時間を止められるとか、そうそう出て来られても持て余してしまうって。

「…………いくぞ」

気を取り直して、俺は虹色に輝くカプセルをタップした。そして出て来た物は…………。

「…………何コレ。…………チェス盤?」

虹色のカプセルから出て来たのは、ボードゲームの『チェス』と、そのプレイ盤だった。生活ガチャのアイテム…………って事だよな? 見たところは普通のチェスでしかないけど。…………何だろ、これで遊ぶと何か起こるのだろうか?

まあ、取り敢えずは説明を見ようか。

☆5『モンスター・チェス』

・チェスの駒とプレイ盤のセット。チェスの駒はそれぞれモンスターを『召喚獣』として登録でき、チェス盤は敵を駒として認識させる事で、ルールに則ってその動きや性質を縛る事が出来る。

・チェスの駒には、それぞれ『マスターピース』があり、その『マスターピース』にモンスターの魔石を登録する事でその種類の駒が全て登録モンスターの駒に変化する。

・登録できるモンスターは白の駒六種、黒の駒六種の計十二種。一度登録した駒でもモンスターの変更は可能だが、その場合は全てをリセットする必要がある。

・駒の希少性と登録できるモンスターの強さは比例する。

…………ほほぅ、これは面白いな。モンスターを登録して召喚獣として使えるのか。それはちょっと、俺の中にある中二心が刺激されるなぁ。

しかしモンスターの魔石が必要って事は、そのモンスターを倒して手に入れる必要があるよな。…………うーん、ゴブリンとかスライムとかを登録してもアレだし、どうせならドラゴンとかゴーレム…………『ルーク』だな。ゴーレムは『ルーク』一択。

新しく手に入れた☆5アイテムに、俺はワクワクが止まらなかった。しかも後でドゥルクに相談した所、『ドゥルクの書庫』に様々なモンスターの魔石が収集されていたのも判明した。

ドゥルクが集めた魔石には、ドラゴンやゴーレムの物も当然あるのだ。…………これは本当に面白くなりそうだと、俺は『モンスター・チェス』を眺めた。