軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

224回目 バルタの悲願

「これアレだな。本格的に装備を作ろうと思ったら時間と金がメチャクチャ掛かるな」

☆5『技巧神の大工房』。これさえあれば☆4作りたい放題だぜ! なんて思っていたが、現実は甘くない。なにせ現状、ほとんどの物が作れないのだ。日用品は幾つかイケるし、装備もスキルを無視すれば作れるが、スキルの無い普通の装備なら買った方が安くて早い。作る意味が全く無いのだ。

取り敢えずトイレットペーパーやティッシュの製造工場は作っておこう。材料も手に入る物は普通に手に入れて、そうでない物は大工房から買う。人手もゲンゴウの方で信用できる者を揃えてくれるそうだ。

まずは紙からだ。この世界は紙が少ない。その大きな理由はモンスターが多すぎて紙の原料を入手出来ない事なのだが、大工房では原料を買う事が出来る。

人員は必要だが、作業員と言うよりは大工房を動かす為の、言うなればスキルを制御する為の人員らしい。ボタンを押していけば、あとは機械がいい感じにやってくれるようだ。夢の機械である。

今までトイレットペーパーは『ガチャ・マイスター』の生活ガチャから偶然出て来た物を供給していた。一回金貨一枚、日本円にして十万のクソ高いトイレットペーパーである。

しかしこの『技巧神の大工房』なら、原材料費と人件費だけで無限に作り出せる! トイレットペーパーもティッシュペーパーもマジに助かる! 日本人には必須のアイテムだからな!

他にもちょっと設定を変えるだけで普通の紙も作り出せるので、これだけで巨万の富も築ける。

そうなればガチャも回し放題なので良い循環が生まれそうだ。

と、言う訳で。☆5『技巧神の大工房』はしばらくの間、紙製品の工場になりそうだ。いずれは☆4の装備やアイテムを作るために腕のいいドワーフやエルフを連れて来るが、それはまだ先の話だな。

取り敢えず『技巧神の大工房』の設置を終えた俺は、自分の部屋に戻って来た。戻ったのは俺とバルタの二人だけだ。

バルタは自分の目的を果たす為に、カラーズカ侯爵家を出て俺の所に来た。バルタの目的を知っているティムや、元は同じパーティーにいたと言うギルドマスターのモンテナにも、バルタの手助けをしてやってくれと頼まれている。

そして何より、俺のスキル『ガチャ・マイスター』にすら、『フレンドクエスト・バルタ』と言うクエストが出ているのだ。

個人的にもバルタには世話になってるし、俺もバルタの手助けをしたい。その機会が、やっと訪れたのだ。

「じゃあ、話を聞かせてくれよバルタ。俺は何をすればいいんだ?」

テーブルの上にペットボトルの水を二本出してバルタにも勧めて、俺はそう切り出した。

「そうですね。まずは、これを見てくだせぇ」

そう言ってバルタは、首から下げて服の中に入れていたペンダントを外して、俺に手渡した。

ペンダントは筒状で結構な大きさと重さがあり、筒の横には留め金があった。どうやらロケットになっているらしく、バルタに視線を向けると頷いたので、俺はそれを慎重に開いてみた。

「…………石像?」

バルタのペンダントに入っていたのは、小さな白い石像だった。二人の少女が抱き合う姿で、それはまるで互いに庇い合っているようにも見えた。

「…………あっしの妹達です。名前は『トレマ』と『イオス』。双子の姉妹でさぁ」

「バルタに妹がいたのか。この石像のモデルが、その二人なのか?」

「いえ。その石像が、本人達でさぁ…………」

「…………は?」

バルタの言葉に、俺はもう一度石像を見てみた。…………いや、確かによくできた石像だとは思うけども、…………本人?

「…………あっしはここから結構はなれた国の出身でしてね。母親は妹達が生まれた時に亡くなり、父親もそれから数年で事故で死にやした。小さな町で、知り合いも多かったんで何とか生きていけやしたが、けっこう苦労したんですぜ」

幼い妹達を抱えての生活ならそうだろうな。バルタはそこで一度水を飲んでから、続きを話し始めた。

「あっしの両親は、どちらも冒険者の斥候職でしてね。あっしもいずれはそうなろうと、色々教わりやしたね。両親が死んでからも腕を磨いて、結局は妹達と三人で冒険者になりやした。妹達も、それなりの斥候なんですぜ?」

斥候職三人の冒険者パーティーは珍しいが、バルタ達はその特異な組み合わせを駆使して、敵情視察やダンジョンの地図作りなどの仕事をしていたらしい。

だが駆け出しの三人はまだ若く、冒険者らしい冒険に憧れていた。

だから発見されたばかりの難関ダンジョンにお宝を求めて入り、そこで取り返しのつかない失敗をする。

結果として、バルタは何とか生還したものの、妹達は強力な呪いに掛かって石化した。それも、強力過ぎて世にある方法では決して解除出来ない程の呪いに掛かったのだ。

「つまりバルタの目的ってのは…………」

「ええ、妹達の解呪でさぁ。あっしはその為に、呪いに特化したダンジョンに潜り続けていやす。この世にある方法で解呪できないなら、未発見の方法を見つけるまで。そして、その最有力ダンジョンが『邪眼族の螺旋迷宮』だったんですが、…………ガモンの旦那のおかげで、それが間違いでなかった事が証明されやした」

「…………確かにそうだな」

フレンドクエスト・バルタ。その達成条件となっているのは、『解呪の秘宝』の入手である。それがフレンドクエストになっている以上、このアイテムがあればバルタの妹達の呪いは解けるはずだ。