軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

149回目 家族の再会

打ち上げが終わってノーバスナイトとサリアナイトが帰っていった後、俺はマナーについて教わっていた。

一応今回、俺はティムの紹介でターミナルス辺境伯の城に招かれる立場だ。貴族は人を招いたら必ずもてなす。もてなす方法は色々あるのだが、その最上位は自室に招く事、そして次が家族を交えて食事を共にする事なのだそうだ。

もてなし方によっては、家に泊めて食事も良い物を出すが、一緒には食べない。話をする場所も応接室で、といった感じになるそうだ。

「今回ガモンを紹介したのは娘の許嫁である僕だ。だから会食はもちろん、家族が暮らすフロアにも招かれると思う」

「お、おぉう、マジかぁ…………」

「まあ、僕も一緒に行くからあまり心配しなくてもいいけどね。いい人達だよ。ターミナルス家の人達は」

ティムによるマナー講座は夜まで続き、風呂に入って寝る前にも一通り復習をし、朝起きて顔を洗ったてもまた復習をした。…………まあ、この調子でいけば一日だけなら、ちゃんとやれると思う。数日たつと忘れそうだけど。

そしてターミナルス辺境伯家へと行くのを明日に控えた夜。カラーズカ侯爵家の屋敷に一人の客がやって来た。

「アレマー! アレス! アリア! アラム! 会いたかったぞ!!」

「あなた!!」

「父さん!!」

「「パパ!!」」

訪ねて来たのはアルグレゴというガッシリとした体躯の男で、ターミナルス辺境伯家で剣術の指南役をやっている剣士であり、アレス達の父親だ。

家族は顔が見えた瞬間に駆け寄り、ガッシリと抱き合って再会を喜んでいる。

「中々会いに来れなくてすまなかった。お前達の事は数日前に聞いてはいたのだが、ターミナルス家の私設兵団の演習で街を離れていたんだ。お前達が村を離れて街に来ていると聞いた時は驚いたが、とにかく無事で良かった」

「ええ。私も、あなたに会えてようやく安心出来ました」

アルグレゴ達の抱擁はしばらく続いたが、アルグレゴがやっとティムに挨拶もしていない事に気づき、ティムがいる俺達の方へとやって来て頭を下げた。

「ご挨拶が遅れて大変失礼いたしました。ティム様! 私の家族を救って下さった事、なんとお礼を申し上げていいか分かりません。本当にありがとうございました!」

「アルグレゴ、それは違う。アレス達を助けたのは、ここにいるガモンだよ。バルタが調べた所によると、ガモンがアレス達の所に行ってなかったら四人とも死んでいた可能性が高い。お礼なら、ガモンに言っておいた方がいい」

「そうでやすね。アレスなんかは特に、ガモンの旦那がいなければ死んでたらしいですぜ」

「なっ…………!?」

俺が居なければ死んでいたと言う話を聞き、アルグレゴはアレス達に視線をやり、アレスとアレマーさんはその視線を受けてしっかりと頷き、アルグレゴはそれを見て俺の手を両手でガッシリと掴んだ。

「ガモン殿ですね!! 息子を、いや家族を救ってくださりありがとうございます!!」

「あ、いえ。俺にも理由があっての事でしたし、アレスとは一緒に冒険者として助け合ってますので、お互い様ですよ」

「おお、なんと謙虚な…………! この私にやれる事などたかが知れていますが、私に出来る事があれば何でも言って下さい! 必ずや力になると約束します!!」

「い、いえそんな…………」

「お、そりゃちょうど良いですぜ。旦那、せっかくだからアルグレゴ殿に稽古をつけて貰いなせぇ」

「…………は? 稽古?」

バルタのやつ、いきなり何を言ってんだ? なんの稽古だ。俺は別に兵士とかになる気はないぞ。

「おいバルタ、何言って…………」

「ああ、いいねそれ。そうしなよガモン」

「ティムまで!?」

なんとこの話にはティムまで乗ってきた。いや何で稽古だよ。俺のステータスはガチャ書籍で上がるもんだし剣術とかはスキルがあるし、稽古なんか要らないだろ。

「旦那、旦那の考えている事は大体わかりやすぜ。スキルやステータスがあるのに、なんで鍛えなきゃいけないんだ。って思ってやすね?」

「スキルに恵まれた冒険者にありがちな思考だけど、スキルやステータスに恵まれても身体をしっかり鍛えておかないと十分な力は出せないんだよ」

「基礎体力訓練はもちろんですが、たとえ『剣術』や『槍術』のスキルを持っていたとしても、そりゃ基礎的な動きや力の入れ方に補助が入るだけで修練を積んでいる人と積んでない人じゃ明確な差が出るもんですぜ。いざとなれば、これまでに流した汗が勝負を分ける事なんかザラですぜ」

「そうですな。お二人の言う通り訓練は大切です。『剣術』スキルを持っているからこそ、『剣術』の修練を積むのです。そうすればスキルの成長も見込めますし、何より鍛えた体は応用が利きます」

なるほど。言われてみれば確かに。って言うか、なんか俺、ちょっと天狗になってたようだ。そうだよ、鍛えないとダメだって事は、俺だって分かってたはずだ。

トルテやシエラだって、依頼を受けている間も必ず柔軟体操をして装備の手入れをしていたな。俺は装備の手入れは、一度スキルの倉庫に入れて出せばキレイになってるから必要なかったからだけど、柔軟とかは申し訳程度にしかしてなかった。二人がやってたから、やらなきゃダメかな? ってくらいに。ちなみにアレスはガッツリ体を動かしてた。

…………そういえば、この間みんなで『◇キャンピングカー』の大浴場に入った時、みんな腹筋がしっかり割れてたんだよな、トルテですら。土魔法使いのブームンは太っていたけど、ガッシリはしていた。

これ、マジでちゃんとした鍛練が必要なやつだな。

「…………アルグレゴ殿。よろしくお願いします」

自分の浅はかさを自覚した俺は、アルグレゴにしっかり頭を下げてお願いした。ここでちゃんとしておかないと、ズルズルとダメ人間になりそうだったからだ。

「承りました。辺境伯家の訓練に混ざれるように話を通しておきましょう。まずは体作りからですな!」

…………取り敢えず、明日からランニングは始めておこうかな。