軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

131回目 ドゥルクは見ていた

『…………ふぅ。いやぁ、久々に満足じゃ。儂、幽霊じゃから元々食う必要は無いし腹が膨れる訳でもないんじゃが、ただただ満足じゃ』

「まあ、満足して貰えたなら作ったかいがありましたよ」

『ウム、ありがとの。…………さて、ではそろそろ本題に入ろうかの』

食後のお茶を飲んで一息ついた所で、やっと本題に入るらしい。いや良かったよ覚えてて。これで帰られたら、俺の中でドゥルク=マインドの評価が『英雄』から『ぬらりひょん』に変わる所だった。

ちなみに『ぬらりひょん』は、俺の知識だと『勝手に家に入って、飲み食いしてくつろいで帰る妖怪』である。

『儂が来たのは他でもない。儂の依頼をひとつ解決してくれたので、報酬を渡しに来たのじゃよ。いやあ、目の前に突然『勇者に依頼を出しますか? YES/NO』というヤツが出た時には何事かと思ったが、乗ってみて良かったわい』

「そんな感じでクエストって発注されるの?」

ドゥルク=マインドによると、その表示に従って緊急クエストを発注し、ついでに自分の個人的な依頼も出したいと願ったところ、ストーリー・サブクエストを発注できたのだと言う。

ただし、ストーリー・サブクエストを発注する際には『報酬』を要求されたので、報酬として『ドゥルクの書庫の鍵』を出す事にしたらしい。

なるほど、個人で依頼を出す時には報酬がいるのか。へぇーー。

「ああ、そうだ! ノーバスナイトにサリアナイトの皆! お前達をこのダンジョンから救出する依頼を俺に出したのは、ここにいるドゥルク老師だぞ! しっかりお礼言っとけ」

俺の言葉に、ノーバスナイトとサリアナイトの6人は驚愕の表情となって一斉に立ち上がり、口々にお礼を言った。

「えっ!? そ、そうだったんですか!! あ、ありがとうございます! 光栄です!!」

「ガモンさんのスキルに救助依頼があったとは聞いていたが…………」

「ま、まさかドゥルク様が依頼を出してくれていたなんて…………」

「わ、私達もですか? てっきり、ザッパ達を助けるついでに助けられたのかと…………」

「私達、ドゥルク様のおかげで助けられたんですね。感謝します」

「で、でも何で私達を…………?」

『お主らを助ける依頼を出した理由か? そりゃ、お主達の仕事ぶりを見ていたから、だの』

冒険者ギルドから出されている『共同墓地の清掃・管理』の依頼はアンデッドとの戦いがある可能性が高いため、Eランクの依頼である。

ただし、他のEランクの討伐依頼などに比べると、報酬も低いし期限も長い。アンデッドを倒したから終わり、なんて事も無いため依頼を受けた期間中は共同墓地で寝泊まりする事もある不人気依頼だ。

しかし不人気だからこそ、定期的に受ければギルドの評価も、街の人達の評価も高くなる。

ノーバスナイトは、その評価が欲しかったのはもちろんだが、アンデッドと戦う力を持っていたのでこの依頼を受けた。

サリアナイトの方は、アンデッドと戦う力を持っていた事に加え、主に生まれ育ったタミナルの街への恩返しの為にこの依頼を受けているのだ。

『共同墓地の依頼を定期的に受けていたのはお前さん達だけじゃ。それも、仕事ぶりも真面目でのぅ。コヤツらはな? 依頼には直接入っていないだろうに、儂の墓を丁寧に掃除してくれたのには感謝しておるよ。お供え物もよく持って来てくれるしのぅ』

「あ、いやそれは。…………確かにギルドからの依頼にはありませんが、共同墓地の依頼を受けるとタミナルの街の人達に頼まれるんです。ドゥルク様のお墓の清掃をしてくれと」

「私達もザッパ達と同じです。お供え物だって、街の人達から預かった物で、私達がお供えしていた訳じゃないんです」

ザッパとサナがそう釈明すると、ドゥルク=マインドはニッコリと笑って頷いた。

『解っておるとも。お前さん達は必ず、誰に頼まれた掃除だとか、誰から預かったお供え物だとか、しっかり報告してくるからの。その心根が嬉しかったのじゃよ』

ノーバスナイトもサリアナイトも、正直に頼まれた事だと言って丁寧に墓の掃除や草むしりを行い、タミナルの住人に頼まれたお供え物を置いては、その住人の思いを代弁して祈っていたらしい。

凄くいい奴らだな。ドゥルク=マインドが助けたいと思ったのも頷ける話だ。

『そうじゃったの、儂も礼を言わねばならんかったな。儂の願いを聞いてくれてありがとう。心から礼を言うわい』

「いえこちらこそ。あなたがクエストを出してくれなかったら、ザッパ達の救出は間に合わなかったかも知れません。ありがとうございました」

頭を下げてくるドゥルク=マインドに、俺も頭を下げて返した。

実際、もしストーリー・サブクエストがなければ、緊急クエストに合わせてもっと長く準備時間をとっていた可能性がある。それこそ、冒険者ギルドを通して大規模なクエストに発展していた可能性があるからな。そうなれば、救出期限が短かったザッパ達の救出は、間に合わなかったと思うのだ。

『…………ウム。お主なら、儂も安心して『書庫』を託せるの。では、報酬を渡すとしようか。ただ、もうひとつの依頼も、よろしく頼むぞ。タミナルの街の存続にも関わるでな』

そう、実はまだ終わってないのである。何せアンデッドが大量に湧いているこのダンジョン自体を無くすという『緊急クエスト』が残っているからな。