作品タイトル不明
124回目 地下墓所ダンジョン・二階層
トルテの兄ちゃん達のパーティー『ノーバスナイト』を救い出した俺達は、少し休憩を取った後、もう一組の救助対象パーティー『サリアナイト』を探すべく地下墓所ダンジョンの二階層へと向かう事にした。
「なあガモン、俺は兄ちゃん達のパーティーに入って行きたいんだけど、いいだろ?」
「うん? まあ向かう先は一緒だしな。良いぞ」
首尾よく助け出す事は出来たものの、トルテとしてはまだザッパから離れ難いのだろう。そんな事を言って来たので、俺は軽く許可を出しておいた。
まあ、トルテもクリムゾン・アント戦をへて大分強くなってるし、ガチャ装備があれば、このダンジョンなら大丈夫な気がする。
それに、ここの清掃・管理の依頼を定期的に受けている以上、ザッパ達もアンデッドとの戦いには慣れているだろうしな。今回はあくまでも異常事態に巻き込まれたのであり、多勢に無勢だったから戦えなかっただけだろう。
「いや、ちょっと待ってくれ。トルテ、お前はガモンさん達のパーティーにいるべきだ」
「え!? な、なんでそんなこと言うんだよ、兄ちゃん!!」
「危ないからだ! いいかトルテ、俺達はまだ消耗しているからお前を護りながら戦えない。ガモンさん達ほどの余裕が無いんだ」
そう言いながらザッパがチラリと見た相手は、俺ではなくバルタだった。
なるほど。ザッパはバルタの事を知っている訳だ。だから弟を出来るだけ安全な所に、バルタの近くに置いておきたい、と考えている。
ザッパがトルテを心配する気持ちは解る。でも、そりゃちょっとトルテを舐めてるな。今回は暴走気味だったが、普段のトルテは結構やれる奴だ。
「いいかトルテ。ダンジョンがEランクからしか入れないのは、それだけ危険だからだ。俺達だって死にかけた場所なんだ。Fランクのお前は、本当ならまだダンジョンに入れもしないんだぞ?」
「それなら大丈夫だよ兄ちゃん。だって俺、もうDランクだから」
「は? いやそんな訳ないだろ。あのなトルテ、ダンジョンは本当に危険なんだ。そんな冗談が…………」
「本当だって!! ほらコレ! 俺のギルドカードだ!」
「「「はぁっ!?」」」
ザッパ達『ノーバスナイト』の三人が、大きく『D』と表示されているトルテのギルドカードを見て驚愕している。
確かザッパ達はEランクだったか。…………つまり、後追いで冒険者になった弟分に一瞬で追い抜かれた形な訳だ。…………これは可哀想だな。
「は? はぁっ!? い、いやちょっと待て! だ、だってトルテ、ついこないだFランクになったって言ってただろ!? そ、それが何で!? D!? Eランクはどうしたんだ!?」
「へへっ、FランクからいきなりDランクになったんだ
よ」
「おいトルテ。どういう事かちゃんと説明しろ」
「そうだよ。それだけじゃ解らないだろ」
トルテが既に自分達のランクを抜いていると知って、ザッパ以外の二人もトルテに詰め寄った。ただ、三人に囲まれたトルテは凄く得意気な顔をしていた。
「おいおい。トルテがDランクになってるのが気になるのは解るけど後にしてくれ。取り敢えず移動するぞ」
「わかったよガモン。兄ちゃん、後でちゃんと説明するから、今は行こうぜ」
「あ、ああ。…………そうだな。今はまず『サリアナイト』の三人を助ける事が先決だ。…………トルテ、実力があるなら、ウチの斥候役は任せるぞ。いいな、二人とも」
「おう」
「まぁどういう事なのかは、後でたっぷり聞かせて貰おうかな」
結局、気を取り戻した『ノーバスナイト』にトルテは組み込まれ、俺達は次の階層へと繋がる階段のある部屋までやって来た。
ザッパによると、この階段自体はダンジョン化する前の地下墓所と同じデザインであるようだ。ただ、同じなのはデザインだけで階段の広さとか長さとかは変わっているらしい。
…………って言うか、この階段の壁に空いた穴に積まれている蓋付きの壺って、やっぱ骨が入ってるヤツなのか? 確かめる気にはならないけど。
「旦那、ちょいと様子を見てきやすんで、あのダンジョンマップを貸してくだせぇ」
「ああ、よろしく頼む」
二階層へと繋がる入口の前でバルタがそう言ったので、俺はバルタに『初級ダンジョンマップ』を渡した。
正直助かった。だって階段が終わった所に二階層へ繋がる入口があるのだが、扉も無いのに向こう側が見えないのだ。
中に入っていきなりモンスターと遭遇とかキツイと思っていたが、バルタが偵察してくれるなら安心だ。
そして少し待っているとバルタから『片付きましたぜ』というフレンド・チャットが届き、俺達は二階層へと突入した。…………って言うか、やっぱりいたのか。モンスターが。
「ありがとうな、バルタ。それで、二階層はどんな感じだ?」
「何て言うか、丸ごとモンスターハウスって感じですぜ」
そう言ってバルタは、既に二階層のマッピングが終わったダンジョンマップを出して来たのだが、俺達はそれを見て絶句した。
「バルタ、これマジで?」
「まあ、スタンピードが起きるってダンジョンでやすからね、想定はしてやしたぜ」
バルタから見せられた二階層のダンジョンマップは、俺達がいる入口と北側のわずかな隙間を残して、ほぼ赤一色だった。青い点も三つあるから『サリアナイト』の居場所も解ったけど。…………ヤベェじゃん。