軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「レイピアの間合いはこれくらい」

カッロが2メートルくらい離れて構えた。

俺も両手で木刀を持ち中段に構えた。

俺は自分の木刀を持っていないので樽に沢山刺さっていた練習用の木刀の中から一番短いのを選んできた。

カッロは俺の構えを見てちょっと意外そうな表情をした。

「盾を使うのはやめるかい? メイスは片手で使うことが多いけど、うん、でも力の無さを両手でカバーするアイデアは悪くないよ」

そういうとカッロはゆっくりと剣を突き出した。

「レイピア使いはこうやって手だけの突きで牽制してくる。そして隙を見せればこうして深く踏み込んでの突きを出してくる」

今度は深く踏み込んできた。

「これって逸らすのは意外と簡単なんだ。ちょっと練習してみよう」

カッロは元いた場所に下がってまた構えた。

「僕の攻撃を逸らして」

俺は突き出される切先を左右に弾く。

「そう。もっと小さい動きで」

カッロのゆっくりとした攻撃は続き俺はそれを逸らし続ける。

「じゃあ、少しずつテンポを上げていくね」

ひたすらに突きを捌いていくが、テンポが上がってくると当然だが繰り出される突きのスピードも上がってくる。

ちょっと目で切先を追うのが難しくなってきた。

「じゃあ、今度は踏み込みを織り交ぜながらやるよ?」

「はい」

カッロはパコがやっていたように前後にステップを踏み、フェイントを入れながら突いてきた。

踏み出すスピードが乗るからか切先の速度が格段に上がる。

もう目では追えない。

木刀の先を見るのはやめ、俺はカッロのステップに意識を集中させフェイントも全部弾くつもりで捌いていく。

大きく動く必要はない。小さく最小限の動きで切先を逸らしていく。

「いいよ、上手い。じゃあ今度は正中線だけじゃなくて肩も狙っていくよ」

ああそうか、今までは身体の真ん中だけを狙ってくれてたのか。

右、左、右、左、ときてまた左。

しまった。

俺は俺の左肩を狙った突きを右に逸そうとしてしまいカッロの鋭い突きを右肩を喰らってしまった。

俺は激しい衝撃と痛みを覚悟したのたが、それは信じられないほど軽いものだった。

「うん、惜しかったね」

「え、今の全然痛くなかったんですけど、、、、?

見るとカッロは木刀の端を持っていた筈なのだが今は中心辺りを握っていた。

切先が俺に当たる瞬間に握りを緩めたのか。

これが真剣だったらこの深さで俺の肩は貫かれていたのか。

俺はちょっと怖くなった。

「上手いよ、オミくん。初心者は相手の攻撃を切先で大きく弾きたがるんだが、切先を動かさず根元寄りで逸らせてて。君、誰かに教えてもらってたんじゃないかい?」

そう言われてみれば高校時代、剣道部の奴に少しだけ教わったことがあるのを思い出した。

俺の通ってた高校は男子校だけあって体育の時間に柔道をやらされたのだが、武道場には竹刀なんかもあって休み時間になると「剣道対柔道」とかそういう荒っぽい遊びをしていたのだった。

レスリング部や柔道部の奴には総合格闘技を嗜んでいる奴も多くいてしょっちゅう異種目交流をして遊んでいて俺も色々教わっていたんだ。

もちろん、ちゃんとやってる奴とはフィジカルが比べものにならないからふざけてやってただけだが、高校での一番楽しかった思い出といえば武道場でのおふざけだったかもしれない。

どれが一番強い格闘技なのかというのが目下熱い話題だったのだが、結局はルールに依るよねという結果になったのは割と興味深かった。

ルールは一切なしという想定で、竹刀を真剣と見立てれば剣道が一番強く、そうでなければ柔道がかなり有利、裸であればレスリングとボクシングが強かった。

柔道が強いと言うのは意外かもしれないが、格闘において服を掴まれると大変厄介なのだ。

特に総合格闘技で有名になったブラジリアン柔術というのは服で相手をコントロールする技術が段違いに進化していてコレをやってる奴に服を掴まれたらもう何も出来なかった。

裸だと強いのはレスリングだったが、校外のジムで総合をやってたレスリング部が言うには強いボクサーは距離を取るのが上手く触らせてくれないから良いように殴られて敵わないとのこと。

残念なことにフェンシング部はなかったから剣道とフェンシングのどちらが強いのかは全くもってわからない。

想像ではチクチク刺すフェンシングよりもザックリ切る剣道のほうが殺傷能力が高そうだが、この世界のあまり切れない剣ではフェンシングの方が良く刺さりそうだ。

画鋲が指先に刺さるだけであんなに痛いんだからフェンシングの先っちょがブッスリ刺さったらもう戦い続けることはできないと考えればフェンシングは最強かもしれない。

しかし、さっきから皆の試合を見て、そして自分でもやってみて思うのは片手剣って微妙じゃね? ってことだ。

振りは遅く、グリップは弱く、軌道修正も難しい。フェンシングに至っては突きしかない。

多分、俺は無意識に日本の剣道の優位性を感じ取ったのだ。

まあ単純に剣といったら剣道しか経験がないだけとも言えるが。

「そういえば、両手剣と格闘技を少しだけ教えてもらったことを思い出しました。子供のおふざけですけどね?」

「忘れてたのかい?」

「ええ、本当に子供のお遊びでしたから、剣術と結びつきませんでした」

「ふむ」

「ちょっと色々やってみていいですか?」

「もちろん」

「お願いします」

俺は深々と礼をした。