軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「それはまことですか?」

「いや、どうだろうな。ただの噂だ」

噂かいな。いや、でも何だか変に具体的で信ぴょう性があるな。

ボッシ氏は寮内を見回ってる。黙ってドアも開ける。生徒の男色行為を見てしまう可能性はあるよな。

「その噂話はどちらで?」

「写本室だ。女たちがぺちゃくちゃとうるさくてな。我の咳払いで黙らせてやったが」

「その女生徒の素性なんかはお分かりになりますか?」

「知らぬ。しかし女なぞ大抵、魔術兵志望であろう」

そうなのか。いや、そうだろうな。

剣士を目指したり騎兵を目指したりするのはファンタジー世界だけだ。男に混じってマジの暴力で生きていくなぞ非現実的な話だ。

これは前世の現代社会的の話だが、男女平等を目指して陸軍の前線に女性を配備する試みが某国で行われ、上手く行かなかったらしいのだ。

それは体力差や戦力差の話ではなくて、女性兵が怪我を負った時に、普通なら見捨てなければいけない場面で、野郎共は生命を張って女性兵を助けようとしてしまい、部隊を壊滅させる危険行動に出てしまうというのだ。

まあ、それとは別に性暴力の問題もあったらしいが、、、。

とにかく、戦場で男女をミックスするのは上手くワークしないらしい。やはり女性は後方支援が向いているようだ。

この世界での魔術兵の仕事は拠点防衛が主になるらしいが、拠点防衛が後方支援に当たるかどうかは微妙だけども、やはり役割分担は必要だと思うのだ。

話が逸れた。

ともあれ、俺たちはアンドレ王子の部屋を辞するとオッタヴィアーノ王子の部屋で作戦会議となった。

「また別の噂話になっちゃいましたね」

「しかし今度のはより悪質だな。ボッシ先生を追い落とそうとするなど、退学確定だな」

「男色の方はどうなんです?」

やっぱゲイは昔のキリスト教みたいに重罪なのかしら?

「微妙だな。法学者のなかでも意見が分かれるところだ。経典の中で『神は男と女が愛し合うように作られた』との記述があってな。同性同士が愛し合うことを禁じてはいないが、神のご意志に背く行為として認識される」

あー、なんか揉めそう。

あ、そういや魔女はどういう扱いなのだろう。

「魔女はどういう扱いなんです?」

「魔女については教典ではこれといった記述はない」

「無いのに忌み嫌われてるんですね」

「病気や飢饉の原因とされるが、要は生け贄だな」

原因が分からない嫌なことが起きた時にそれを誰かのせいにするってパターンか。

頭の悪い連中は碌でもないことを考えつくよな。

「それよりも、この先どういたしましょう?」

王子が話の軌道を正した。ゴメン。逸らしたのは俺だ。

「その女生徒を特定して話聞きたいところだが、まあ無理だろうな」

「ですよね」

写本室のその女生徒が噂の発生源とは限らないしな。

「しかしどういう経緯で生まれた噂話かは想像がつく。ボッシ先生が寮を見回るのは消灯後か昼間だ。だがお主らのフロアで夜に寮でボッシ先生を見たことがあるか?」

「ないですね」

そういえば夜にドアを開けられた記憶はない。

「となれば、昼間に見られたのだろう」

「昼間?」

「授業を体調不良か何かで休んだ貴族の生徒とそのお付きが居たとして、ボッシ先生はその生徒を見舞ったのだろう」

そっか。夜はそういう行為をしてたら隣室に聞こえてしまう可能性があるか。

それに寮長が元薬学の先生なら病欠をした生徒の様子を見に行くのはごく自然な行動だ。

「え、ところで女生徒の噂はどうやって生まれるんです?」

「魔術の授業を休んだ生徒が突然、寮長の噂話なぞ吹聴し始めたらおかしく思うだろう」

そうか。それに女性は人の嘘を見抜く力が凄いもんな。聞いた話だけど。

で、『アイツら怪しくない?』となるのか。

男同士が付き合ってるのとかもめっちゃ見抜きそうだしな。

「では最近、体調不良で魔術の授業を休んだ貴族の生徒が判明すれば犯人が分かりますね」

「そうだな」

「魔術の授業って幾つくらいあるんですか?」

「数多だ。属性でも別れるしそれぞれレベルが幾つもある」

じゃあ結局のところ犯人特定は難しいな。

俺と王子が肩を落としたところで、オッタヴィアーノ王子が大きく溜め息をついた。

「少しばかり気が進まぬが、、、仕方あるまい。我の立場を利用するしかないようだな」

お、何か特権事項でもあるのだろうか。

「我が生徒の中から新しい付き人を探したい、と申し出れば出席状況を含む成績表を見ることができるだろうな」

「おお!」

それなら話は簡単じゃないか!

「しかしな、そんな事を言えば、アカデミー側も本気になって誰や彼やを推薦してくるということだ」

今度はオッタヴィアーノ王子が肩を落とした。

そっか。こないだやっとお付きを追い出したみたいなこと言ってたな。実験のための大きい机を置く場所が欲しいんだっけ?

写本に使う小ぶりな卓とはちょっと違うよな。

「寮に広い部屋ってないんですかね?」

「なんだオミ、何故広い部屋なのだ」

「オッタヴィアーノ様はこの実験机と薬品棚と本棚を置ける部屋が必要なんですよ」

「ああ」

王子は頭を傾け、腕を組み、拳を顎に付けた。

そのまま暫し考える。

そして手を打った。

「実験用の部屋を所望してはいかがでしょう?」

「そうは言ってもそうそう都合よく空き部屋なぞ、、、」

そうか。空き部屋ならある。